ばったすいみんぐすくーる

公開中の映画作品を中心にネタバレ全開で独断レビュー。 映画興行収入などの映画情報も紹介。

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『ワールド・オブ・ライズ』レビュー 【映画】

◆評  価   8.0点
◆おススメ度  B+(個人的には好きな作品だが、薦められるかどうかは微妙)

やはり、リドリー・スコット監督は本物の超一流の監督だ。
久々に“映画”を観たという充実感を味わうことができた。
リアリティがあり、迫力があり、緊張感があり、全く先が読めないストーリーには引き込まされる。

ストーリーが面白いと感じさせるのは、ディカプリオが演じるフェリスとそれぞれの登場人物との関係が一蓮托生ではなくて、極めて脆い側面をもつ点だ。

まず、フェリスと彼のボスであるホフマンの関係が面白く描かれている。
現場を知らない上に傲慢なホフマンが、まさに「アメリカ」を体現しているかのようだ。
上から目線で、ヨルダン情報局のハニに対して彼のスパイを独占したいという強欲さを押し出している。
現場の作戦や風習を無視して、自己の都合と自己の利益のために勝手に動くことによって、全てを乱している原因になっているということに気付いていない。
ホフマンの強引さに、フェリスが振り回されており、その挙句にフェリスを助けることもできていないというところが皮肉的だ。
出番は多くはなかったが、さすがにラッセル・クロウは上手く、一癖あるキャラクターを上手く演じきっている。

そして、フェリスとヨルダンの情報局のハニとの関係も非常に微妙に描かれている。
目的は同じであり、お互いに信頼関係を重視しているようだが、一つの“嘘”というほころびがラストの悲劇的な展開を生んでしまっている。
また、フェリスのアメリカ的ではない“正直さ”もまた一つの衝撃的なラストを生んでいる。
彼らの関係が、アメリカと中東との関係の微妙さをそのまま描かれている。

最後に、フェリスと看護師との関係にも見所がある。
周囲からは奇異な目で見られている二人であり、結局は結ばれることはなかった。
アメリカと中東の国々が仲良くしたいのだが、それが簡単には上手くいかない。
環境がそれを困難にしていることを描いているようだ。

このようなそれぞれの関係がいずれも強固ではなく微妙なために、展開がかなり危うくなり、ストーリーが面白くなっている。

さらに、CIAとテロリストグループとの間で、荒唐無稽で非現実的な化かし合いが繰り広げられるのではないという点も面白い。
フェリスが仕掛ける“嘘”も、ラストの“嘘”もリアリティが保たれたものであり、極めてシンプルなものとなっている。
派手さはないものの、この丁寧で絶妙なリアリティが実に心地よい。

フェリスの嘘も、ホフマンの嘘も通じず、誰の嘘が勝ったのかを考えると、なかなか痛快な作りとなっている。
中東においてはアメリカ的な手法や、近代的な装置や設備が通じないということを明らかにすることによって、アメリカという国ややり方を皮肉っているようだ。
アメリカ万歳映画ならばヒットしただろうが、この内容ならば、アメリカ人が本作を無視したというのも分かる。
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『地球が静止する日』レビュー 【映画】

◆評  価   4.5点
◆おススメ度  C(何も感じられない作品)

オバマ次期大統領が「CHANGE」と言って、人々がそれを信頼するのは本当に実行してくれるという期待があるからだろう。
本作にも何度も「CHANGE」が連呼されているが、生き残るためのただの苦し紛れの言い逃れにしか聞こえない。
「CHANGE」と言うのは簡単だが、人々はそう簡単には変われない。
「CHANGE」をするためのEVIDENCE(証拠)を明らかにしないと、宇宙人はそれを期待できないのではないか。
本作には、宇宙人が納得できるEVIDENCEが何も描かれていない点でマイナスだ。

「地球が静止する日」というものは、人類によって行われるべきものではないかと個人的には考えた。
人類が、地球や環境のために、クルマを乗ることを止めたり、工場を停止したり(地球最後の日を迎えようとしているのに働いている人がいるというのは変な話だが)、地球に負荷を一切掛けない日を設けるといった人類の「CHANGE」のEVIDENCEやムーヴメントを描くべきではなかったか。
現実には無理かもしれないが、映画の世界だからこそ、地球のためにできる人類の理想を描いて欲しかったところだ。

本作を見て、地球のために何かをしようと思う者がいるだろうか、恐らくいないだろう。
そういう意味において、本作のメッセージ性はかなり弱いと考えられる。
したがって、評価はしにくい映画だ。

最後の球体に対する総攻撃も全く意味不明な流れとしか思えない。
あれでは人類は「CHANGE」をしないということを、声を大にして宣言しているようなものだ。
あの爆撃を食らって、クラトゥが人類を滅亡させないという選択をする意味が分からない。
キャシー・ベイツも多少は苦悩していたようだが、攻撃命令を下す大統領をむしろ説得するくらいの「CHANGE」を見せて欲しかった。
何のために、大物をキャスティングしたのか分からないキャラクターになっている。

また、宇宙人が感心した“人類の素晴らしさ”という面も弱すぎる。
バッハの素晴らしい音楽という文化的な面、親子の愛情という感情的な面が描かれているものの、あの程度では宇宙人は「CHANGE」しないだろう。
未知なものや相容れないものを恐れる人類の“弱さ”や破壊的で利己的な面を描くとともに、自己を犠牲にしても助け合うような姿や愛や絆などの人類の“強さ”をもっとアピールして欲しいところだ。
ただの壮大なSFだと思っていたのに、意外と泣けたり、感動できたりするようなオチにもっていけると評価は高まっただろう。

ジェニファー・コネリーの息子役に、ウィル・スミスの息子を起用したのもあまりプラスとは思えない。
実の親子という設定の方が、本作には効果的に働いただろう。

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『1408号室』レビュー 【映画】

◆評  価   7.0点
◆おススメ度  B+(おススメするには、ちょっと怖すぎるかもしれない)

スティーヴン・キング原作だけあり、かなりぶっ飛んだホラー作品だ。
現実的とはいえない部分も見られたが、全てが非現実的な部分だけではなくて、現実的な部分と非現実的な狭間を上手く描かれている。
完全な作り物とはいえない部分が面白い。

殺人鬼やゴーストなどが登場する映画は、基本的には視覚的な刺激やびっくり音による刺激に終始している。
しかし、本作は「幽霊」「幻影」などによる“視覚”、「耳が突然聞こえなくなる」「ラジオの突然の音」「フロントとの恐怖の電話の会話」などによる“聴覚”、「雪」「水」「凍えるような寒さ」「汗が滲むほどの暑さ」などによる“触覚”、(「チョコ」や「酒」による“味覚”)といったようにほぼ五感をフルに刺激させるような作りとなっている。
ジョン・キューザックの上手さもあるが、様々な“恐怖”を丁寧に描いている。

五感を刺激するだけではなくて、「無限ループ」「抜け出すことの出来ない閉鎖性」「親族の登場」といったように精神的なダメージまでをも食らわせるという優秀なホラー作品と評価できる。
自殺するまでやむことのない地獄を味わせるという“恐怖”が描かれている。

ラストも個人的には好みの仕上がりとなっている。
表面どおり見る人には、「1408号室」に打ち勝ったハッピーエンドと考えることもできる。
テープは、主人公の単なる妄想ではなくて、現実だったということを強調しただけかもしれない。
しかし、深読みする人には、まだまだ「地獄は続いている」とも考えることはできる。
見る人によって、解釈が異なるラストは悪くない。

部屋の秘密は明らかにはなっていないが、何もかも明らかにする必要もなく、神秘的なものは謎のままの方が“恐怖感”は高まるのではないか。

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『SAW Ⅴ』レビュー 【映画】

◆評  価   3.5点
◆おススメ度  C(グロさよりもストーリーが駄目)

本シリーズのもともとの脚本家リー・ワネルが脚本を手掛けていないⅣから本シリーズの質がだいぶ落ちてきたという印象を持つ。
Ⅳもイマイチだったが、Ⅴも何をしたかったのかがさっぱり分からないものとなっている。

「ホフマン刑事VSストラムFBI捜査官の対決」「後継者誕生の瞬間」「5人の男女によるゲーム」がメインとなっているが、どれもこれも中途半端な仕上がりだ。

「ホフマン刑事VSストラムFBI捜査官の対決」に関しては、盛り上がりなど、何も描かれていない。
こういうものは、犯人が追いつめられてこそ、盛り上がるものではないか。
追いつめているようで、逆に追いつめられている。
追いつめられているようで、逆に追いつめている。
このようなハイレベルのバトルを期待するのは無理だった。
携帯一つと写真だけでFBIがワナに嵌まり、ミエミエの策略に引っかかるFBI捜査官には呆れ果てるだけだ。
驚きも何も感じられない決着であり、あれがオチといえるのだろうか。

「後継者誕生の瞬間」に関しても、杜撰な内容といえる。
妹を殺した犯人が釈放後に殺された際に、この映画の世界では家族が疑われないらしい。
あまり細かい部分に突っ込んでも仕方がないので、この部分は目をつぶれるとしても、後継者があまりにも知的ではなく、カリスマ性がないのは気になるところだ。
もっと華のある後継者が登場しないと、本シリーズが続かなくなってしまう。

ジグソウは「殺人」と「更生」の違いを強調しておきながら、後継者はストラム捜査官を二度にわたり、殺そうとしているので、ジグソウの意志は引き継がれていないようだ。
アマンダ、ホフマンと後継者を何人も誕生させておきながら、その後継者には資格がないとの理由を付けて、どんどんと後継者を殺すことによって、本シリーズを続けさせるつもりだろうか。

「5人の男女によるゲーム」は、それぞれが分担することによって、それぞれが責任を持たない放火殺人を行ったことに対するゲームのようだ。
だからこそ、協力して生き残ることを試していると思われる。

最後のゲーム以外は協力しないでおきながら、全ゲームをクリアできる途があるというのは理解に苦しむ。
最後は少なくとも三人以上いないとクリアできないようなゲームにしないともはやゲームとはいえない。
単なるショッキングシーンを描きたいだけの映画となってしまい、テーマも哲学もメッセージも何もかも見失いつつあるような気がする。

ジルに託されたジグソウの遺品が明らかになるのは、次回という流れも好ましくないものだった。

テーマ:SAW5 - ジャンル:映画

『トロピック・サンダー 史上最低の作戦』レビュー 【映画】

◆評  価   5.5点
◆おススメ度  B-(大爆笑できる映画ではないが、変わった映画が見たい人には向いている)

ニヤニヤとはできるが、自分も含めて観客の中で大笑いしていた者はいなかった。
コメディ映画にも関わらず劇場が静まり返っていたのは印象的だ。
本作は、ストレートで分かりやすい笑いで構成されているのではなくて、基本的にはマニアックな笑いで構成されている。
パロディの元ネタが分からなければ、そもそも笑えなく、ハリウッド風刺に対しても、その知識がなければ、笑えない。
日本人には合わないような笑いがメインではないか。
瞬殺された監督の死体をいたぶるシーンなどは、むしろ分かりやすい方であり、日本人にも理解できる笑いだ。
本作に描かれた“笑い”がアメリカ人の笑いのツボだとすれば、アメリカと日本はユーモアの質はかなり異なるといえるだろう。

ベン・スティラーはアメリカ的な笑いとも異なる“笑い”を描こうとしたように個人的には思う。
単純な笑いを追求するのではなくて、コメディ映画という枠を取っ払って、リミッター限界の際どい世界をベン・スティラーは描こうとしたのではないか。
ベン・スティラーの世界観に対して、理解も共感もできないが、個人的にはそれほど嫌いな作品ではなかった。

マジメなプロ選手の試合ばかり見ていると飽きてくるものだ。
こういうプロ選手による暴投や乱闘だらけの見たことのないメチャクチャな試合を見るのも面白い。
アマチュア選手による暴投や乱闘だらけのメチャクチャな試合ではない点がポイントだ。
プロフェッショナルがどこまでバカになり切れるのか、どこまで限界まで到達できるかを競っていたように思われた。

トム・クルーズの存在が本作にとっては大いなるプラスに作用している。
ベン・スティラーやロバート・ダウニーJr.の暴走をトム・クルーズがなんとか引き締めているようにも感じられた。
本作に描かれた例えを引用すると、ベン・スティラーやロバート・ダウニーJr.は「アイ・アム・サム」のショーン・ペンであり、トム・クルーズは「フォレスト・ガンプ」のトム・ハンクスであるような気がした。
ベン・スティラーのように本物のバカになりきるのではなくて、本物のバカを演じているのはトム・クルーズだ。
トム・クルーズがベン・スティラーとは異なるタッチで演じたために、本作のマニアックさがやや和らいだような気がする。

ベン・スティラーやロバート・ダウニーJr.の暴走に対して、ジャック・ブラックの影が薄かったのも印象的だ。
スローモーションでケツを痛がるシーン以外に見所なし。
彼にも付いていけない世界だったのかもしれない。

テーマ:トロピック・サンダー - ジャンル:映画

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