ばったすいみんぐすくーる

公開中の映画作品を中心にネタバレ全開で独断レビュー。 映画興行収入などの映画情報も紹介。

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「フェイク」DVDレビュー

◆評  価   7.5点
◆おススメ度  B+(一風変わったマフィア映画)

ジョニー・デップがマフィア(に潜入した捜査官)を演じた作品。

実話をベースにしているということもあり、非常に生々しく描かれているのが特徴となっている。
ブルーレイの特典をみると、監督はこの映画のためにマフィアと直接交流したと語っており、そういう努力の効果がみられる。
通常のマフィア映画には、どことなく華やかで金回りがよく、ドンパチをすき好んでいるというイメージがあったが、本作のマフィアはせこくてしょぼい。
決して、華やかな世界というわけではないということがとても面白い。
作り物のフィクションとは異なり、苦労や人間味を感じられるため非常にリアルだ。
ドンパチの当然の帰結として死体処理を当人たちがせざるを得ないというのも、意外と新鮮ではないだろうか。

マフィアの実態だけではなくて、潜入捜査の実態もリアルに描かれている。
常に限界ギリギリの精神状態にある様をジョニー・デップが非常に上手く演じている。
夜間に自分の部屋のモノを突然ぶち壊していたが、そうしたくなる衝動が伝わってくる。
いつバレるかと不安な日々を過ごし、いつ殺されてもおかしくない追い込まれた状況に陥る。
逃げたくてももはや逃げることすらできず、本物のマフィアのメンバーになり切るために自分自身を殺して、自分の精神までも汚していかざるを得ない。
「靴を脱ぐ脱がないという日本料亭でのいざこざ」「船の記事」「自分の知り合いとの突然の出会い」といった断片的ではあるが、そういったエピソードが彼を追い詰めていることもよく分かる。
彼も追い詰められているが、もちろん彼を支える妻もまた追い詰められているのがよく分かる仕組みにもなっている。
いつ連絡がくるのかも分からない、イベントがあっても家に戻ってくるのかも分からない、いつ殺されるのかも分からない、いつ捜査が終わるのかも分からない、そういう不安定な精神状態が続いている様をアン・ヘッシュもまた上手く演じている。
家族の存在が、ジョー(ドニー)の支えかもしれないが、それほど簡単には支えられるものではないという家族の苦悩も垣間見られる。

また、ドニーとレフティの関係も一つの見所となっている。
ヘタレのレフティをアル・パチーノが上手く演じており、マイケル・マドセンなども含めて、本作の演者は本当に上手い。
お互いを信じられないマフィアという世界において強固な絆・信頼性を築くというのは本当に難しいことだろう。
純粋なマフィアではなくて、潜入捜査官だからこそ出来たのかもしれないが、こういった矛盾がまた面白い。
「お前だから許せる」というレフティの言葉がとてつもなく重く感じられる。
本来ならば、マフィアの中では“駒”として生きなくてはいけないが、逆にFBIの中で“駒”として生きており、マフィアの中では“仲間”として生きている。
FBIとマフィアというどちらの組織でも生きている者の役割もまたユニークに感じられる。
レフティとは親友や親子のような絆を築けたが、FBIではメダルと現金のみという締め括りも皮肉めいている。
成果をあげた捜査ではあったが、何かがおかしいと投げ掛けているようだ。
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「死霊のはらわた」DVDレビュー

◆評  価   3.0点
◆おススメ度  C(評価はかなり高いようだが)

面白いと感じる気持ちはなくはないが、自分には合わないタイプの作品。
『(意味などはもともとないだろうが)意味が分からん』『いったい何と戦っているんだ』という感想しか出てこなかった。
作品の良し悪しというよりも、合うか合わないかという世界だろうか。
ホラー映画の傑作という評判だが、この手のホラーよりも猟奇的な殺人タイプのホラーの方がまだ自分の好みのようだ。
ただ、他では見られないタイプのホラー作品なので、ファンが多いのだろう。
怖い(個人的には怖さは感じないが)けれども、ちょっとおかしいというバランス感覚を理解できれば、ハマれたかもしれない。

怖さを感じるのは死霊が具象化されるまでで、いざモノが出てきてしまうと後はそれほど怖いとは思えなかった。
グロさなどにも自分には多少の耐性があるので、特に問題はなかった。
見る人によって異なるとは思うが、“追い込まれ感”や“本当の地獄”というレベルには達していないような気がする。
逆にもっとできるだろうという思いさえ感じたが、“時代”や“技術の水準”を考えると、この程度が最高レベルだったのだろう。

冒頭の池のようなところから、「どうやってカメラを動かしているのか」「どういう仕掛けをしているのか」という技術的なことが気になる作品でもある。
映画監督志望の者が見るには良い教材となりそうだ。
最近は全てCGで処理できるようになってしまったため、本作を見るとイマジネーション力を駆使してアイディアを捻りだすということが少なくなってしまったようにも感じられる。
技術の進歩は歓迎すべきだが、それによって製作サイドの知恵が足りなくなってしまっては困ってしまう。

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「霧の旗」DVDレビュー

◆評  価   7.0点
◆おススメ度  B+(現代では製作できないような映画、不快かもしれないが一見の価値はある)

松本清張生誕100周年及び「ゼロの焦点」公開記念、松本清張原作作品。
後味の悪さが後を引く作品。
これは確信犯的なものだろう。
人間の残酷さ、冷酷さ、恐ろしさ、理不尽さといったものを描き切っている。
さすが松本清張・橋本忍・山田洋次という才能のある者が関わった作品だ。
タイトルにあるように霧に包まれたようなボンヤリとした状態が続き、最後までその霧が晴れないという気持ち悪さを存分に味わえる。
凡人ならば、大塚弁護士を悪徳弁護士の設定にして、もうちょっと彼に非があるようなものにしてしまうだろう。
そのような設定にすると、印象もがらっと変わってしまう。
「復讐が成功した」という晴れ晴れした気分となるが、単なる復讐劇でしかなくなり、すぐに忘れ去れてしまう作品となるだろう。
大塚弁護士を悪徳弁護士の設定にすると、本作のような気持ち悪くなるインパクトが相当に薄れてしまうのである。

東京の高名で多忙な弁護士が九州の事件を断るというのは当然の流れである。
弁護料と称して金だけぶんどって事件を解決しないという類ではない。
事務員が断ってもいいものをあえて面談して比較的丁重な断りを入れている。
その後も事件を独断で調査するというようなところをみせており、大塚弁護士自身は非常に仕事熱心であり、有能な人材ということがよく分かる。
そのような彼が不当な扱いを受けなくてはいけないということが、人間や人生というものの奇妙さ・不可思議さ・理不尽さが垣間見られる作品へと昇華させる。

本作に描かれた2件の殺人事件は同じようなケースである。
桐子の証言や物的証拠がなければ、有能な大塚弁護士でさえも無罪や釈放を勝ち取ることができないということは、裏を返せば九州の事件も大塚弁護士は解決できなかったといえるのかもしれない。
左利きの者が犯人ということが分かっても物的証拠がなければ、逆転無罪を勝ち取ることは困難だっただろう。
桐子がいくら大塚弁護士に頼んでも、兄の事件の顛末は変わらなかったかもしれないということを桐子自身が分かっているということにもなる。
また、桐子の行動によって真犯人は野放しにされており、その真犯人はひょっとすると兄の事件の真犯人かもしれないということもいえる。
桐子の行動は相当に自己矛盾をはらんでいる。
人間の行き場を失った“恨み”というものはそういった矛盾や理性といったものすら凌駕するということを本作は伝えたいのかもしれない。
桐子(倍賞千恵子)の行動の不条理さが気持ち悪くて評価を低くしようとしたが、この映画はかなり深い(不快ではなくて)作品だ。

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「点と線」DVDレビュー

◆評  価   7.0点
◆おススメ度  B+(サスペンスとしては平凡だが・・・)

「ゼロの焦点」公開記念、松本清張原作作品。
原作未読。
テレビ版も見たことがなく、今回が完全な初見。
「つまらなくはないが、ただの功名なトリックの汚職絡みの殺人事件だな」と思って見ていたが、いつのまにか女性の嫉妬や愛憎がメインとなっているというカラクリは面白い。
省庁の役人は業者を利用していたつもりでも、逆に業者に利用されている。
省庁の役人を手玉に取るほどの夫は妻を利用していたつもりでも、逆に妻に利用されている。
一番の大物は役人でも業者でも刑事でもなくて、“女”ということか。
よくよく考えると、意外と“深い”作品といえるかもしれない。
ただのサスペンスに終わらない松本清張の上手さが垣間見られる作品だ。

男と女の心中(のような殺人事件)に始まり、男と女の心中(のような殺人と自殺)で終わるという構図も面白い。
前者の心中については警察が疑問に感じたが、(お手伝いさんなどが愛人の来訪の件などの余計な証言をしなければ、)後者の方の心中を警察は追いつめられたことを苦にした単なる心中と処理するかもしれない。
巧妙なトリック殺人事件の影や顛末に、男と女の愛憎が映し出されているという面白さは評価したいところ。

ただ、刑事モノやトリックサスペンスとしてはイマイチなところも感じられる。
上映時間の短さもあるが、ややあっさりとしすぎており(一人で突っ走っているところもあるが)、刑事の苦心や事件を追う情熱を深くは堪能できない。
また、『今の時代ならば「飛行機」を使うけれども、当時はそうではなかったんだろうな』としみじみと思っていたら、普通に「飛行機」を使ったり、功名にみえて簡単に崩される穴だらけのアリバイも拍子抜けするところはある。
青函連絡船など、現代ではあまり見られなくなったものも見られるので、そのような楽しみは感じることはできるが。

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「天城越え」DVDレビュー

◆評  価   6.0点
◆おススメ度  B-(一部の人にはおススメ)

「ゼロの焦点」公開記念、松本清張原作作品。
分かるようでイマイチ分からないところもある映画。
本作の少年にそれほど感情移入できなかったので、個人的には高くは評価しにくい。
田中裕子に惹かれるかどうかでも感想が異なりそうだ。

少年(印刷会社社長)の犯行であることは一目瞭然なので、なぜ彼が人間を殺さざるを得なかったのかという犯行の動機がポイントなるが、それが明瞭になっても、それほど深くは感じ入れなかった。
犯行の動機は、“男”としての性や優劣競争のようなものだろうか。
「俺はこんな奴に負けたわけじゃない」「オマエのせいで俺の・・・」という思いや憤りが爆発したのだろうか。
自分の母親も叔父さんに取られたようなことになっており、“男”として敗北感や“子ども”という無力感が既に根付いていたのかもしれない。
少年も若いなりに“男”が爆発したが、本作の監督も“男”として爆発し、田中裕子をそういった視点から上手く撮っている。
それにきちんと応えている田中裕子を褒めるべきかもしれないが。

ただ、天城のシーンはよく撮れているが、現代のシーンは評価できるものでもない(最後の意味不明なところもあるカットも興ざめ)。
コントメイクの老刑事とのやり取りも何かを感じ取れるものはない。
結局、ハナも無罪となったものの、病気で死んだというのもやや引っ掛かるところだ。
ハナが無罪となっては、彼が犯した“罪”の重さも変わってくる。
時効によって罪は消えるかもしれないが、罪の意識は消えることはないはず、ましてや他人(好きな女性ならばなおさら)に罪を押し付けるということはどれだけ心に深く刻まれるかということをもうちょっとアピールして欲しいところ。
そのためにも、無罪や病死というのはいかがなものか。
そもそも彼女が無罪となったら、少年にも嫌疑が掛かるものではないか。
彼女が罪を被れば、少年が罰せられなかった理由は分かる。
しかし、彼女の言動に何か引っ掛かるところがあり、引退した刑事が最後に犯人と向き合うという形にした方がよいかもしれない。
刑事自身も自分が犯した“罪”と向き合ってもよい。
彼も“男”として初めて向き合った殺人事件を解決したい、“男”として“女”になめられたくないという思いがあったのかもしれない。

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