今回ばかりは、大きなサプライズもなく順当に収まるかと思ったが、さすがにアカデミー賞一筋縄にはいかない。
主演・助演女優賞部門がサプライズとなった。
逆に、アニメ賞はサプライズがなく順当な結果となり、この三賞の予想が外れてしまった。
【作品賞受賞】「ノーカントリー」(コーエン兄弟監督)
「There Will Be Blood」(ポール・トーマス・アンダーソン監督)
「Juno/ジュノ」(ジェイソン・ライトマン監督)
「フィクサー」(トニー・ギルロイ監督)
「つぐない」(ジョー・ライト監督)
〔単評〕予想通りの順当な結果となった。
【監督賞受賞】コーエン兄弟(「ノーカントリー」)
ポール・トーマス・アンダーソン(「There Will Be Blood」)
ジェイソン・ライトマン(「Juno/ジュノ」)
トニー・ギルロイ(「フィクサー」)
ジュリアン・シュナーベル(「潜水服は蝶の夢を見る」)
〔単評〕「ファーゴ」での実績もあり、コーエン兄弟が順当に受賞した。
ポール・トーマス・アンダーソンは次作辺りにチャンスがありそうだ。
キャリアがないジェイソン・ライトマンとトニー・ギルロイにはノミネートだけで大きな自信に繋がったはずだ。
これで大作が回って来る可能性が高まっただろう。
【主演男優賞受賞】ダニエル・デイ=ルイス(「There Will Be Blood」)
ジョニー・デップ(「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」)
ジョージ・クルーニー(「フィクサー」)
トミー・リー・ジョーンズ(「告発のとき」)
ヴィゴ・モーテンセン(「Eastern Promises」)
〔単評〕ダニエル・デイ=ルイスが、89年「マイ・レフトフット」以来、二度目の受賞となった。
ジョージ・クルーニーが完全に白旗を揚げていたように、演技と役柄がピッタリのような気がした(まだ予告編しか見ていないが)。
ジョニー・デップ、ジョージ・クルーニーのどちらかは5年以内に主演男優賞を受賞するだろう。
【主演女優賞受賞】マリオン・コティヤール(「エディット・ピアフ/愛の讃歌」)
ジュリー・クリスティ(「Away From Her」)
エレン・ペイジ(「Juno/ジュノ」)
ローラ・リニー(「The Savages」)
ケイト・ブランシェット(「エリザベス/ゴールデン・エイジ」)
〔単評〕本命はジュリー・クリスティ(「Away From Her」)だったが、エレン・ペイジ(「Juno/ジュノ」)のサプライズも期待できるものだった。
どちらが受賞するかと思われたが、まさかの伏兵のマリオン・コティヤールが受賞。
マリオン・コティヤールは1975年生まれのフランス人。
「プロヴァンスの贈りもの」「ロング・エンゲージメント」「TAXI」シリーズ、「ビッグ・フィッシュ」といった作品に出演している。
「プロヴァンスの贈りもの」では魅力的な女性を演じていたのが、印象に残っている。今後、ハリウッド大作などに登場する可能性がありそうだ。
ジュリー・クリスティは過去に受賞経験があり、エレン・ペイジはさすがにキャリア不足だったか。
【助演男優賞受賞】ハビエル・バルデム(「ノーカントリー」)
ケイシー・アフレック(「ジェシー・ジェームズの暗殺」)
フィリップ・シーモア・ホフマン(「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」)
トム・ウィルキンソン(「フィクサー」)
ハル・ホルブルック(「INTO THE WILD」)
〔単評〕順当な結果。これは各賞の中でも一番堅いと思われていた。
【助演女優賞受賞】ティルダ・スウィントン(「フィクサー」)
エイミー・ライアン(「Gone Baby Gone」)
ケイト・ブランシェット(「アイム・ノット・ゼア」)
セルシャ・ローナン(「つぐない」)
ルビー・ディー(「アメリカン・ギャングスター」)
〔単評〕エイミー・ライアンとケイト・ブランシェットの一騎打ちと思われたが、伏兵のティルダ・スウィントンが受賞。
ティルダ・スウィントンは「コンスタンティン」「ナルニア国物語」などに出演していた独特の雰囲気をもつ女優。
「フィクサー」を除いては、過去にあまり賞レースに登場してこなかっただけに、この受賞には驚かされた。
エイミー・ライアンは実績不足であり、ケイト・ブランシェットは過去に受賞経験があったことが敬遠されたのだろうか。
【長編アニメーション映画賞受賞】「レミーのおいしいレストラン」
「ペルセポリス」
「サーフズ・アップ」
〔単評〕「ペルセポリス」のサプライズ受賞を期待したが、個人的にはあまり好きな映画ではなかったので、アカデミー関係者にも高く評価されなかったのかもしれない。
ピクサー作品は、長編アニメーション映画賞が創設後の7年間で「Mr.インクレディブル」「ファインディング・ニモ」に続き、3度目の受賞となった。
残る4作は、「シュレック」「千と千尋の神隠し」「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」「ハッピーフィート」となっている。
テーマ:第80回アカデミー賞 - ジャンル:映画
大きなサプライズはなく、だいたいは予想通りとなっている。
意外だったのが、「フィクサー」が「作品賞」「監督賞」「主演男優賞」「助演男優賞」「助演女優賞」の主要5部門においてノミネートされ、逆に評価の高かった「つぐない」が「作品賞」「助演女優賞」の主要2部門にしかノミネートされていないことだ。
「つぐない」は、「脚色賞」「撮影賞」「美術賞」「衣装デザイン賞」「作曲賞」といった主要以外の賞にはきちんとノミネートされているが、「監督賞」、「主演女優賞」(キーラ・ナイトレイ)、「主演男優賞」(ジェームズ・マカボイ)においてノミネートされていないのが驚きだ。
12月末の予想した結果の当たり外れを中心に紹介したい。
【作品賞】
◎「ノーカントリー」(コーエン兄弟監督)
○「There Will Be Blood」(ポール・トーマス・アンダーソン監督)
「Juno」(ジェイソン・ライトマン監督)
「フィクサー」(トニー・ギルロイ監督)
「つぐない」(ジョー・ライト監督)
[予想の結果]5本中4本的中
「潜水服は蝶の夢を見る」(ジュリアン・シュナーベル監督)がノミネートされるかと予想したが、代わりに「フィクサー」(トニー・ギルロイ監督)がノミネートされた。
なお、「潜水服は蝶の夢を見る」は監督賞のみのノミネートとなっている。
次点と考えた「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」(ティム・バートン監督)はノミネートがなかった。
[短評]
本命は「ノーカントリー」。
これはさすがに鉄板ではないか。他の賞レースで他の作品を圧倒している。
興行面においても5千万ドル近く稼いでおり、5本の中では「Juno」に次ぐ興行収入となっている。
コーエン兄弟は、96年の「ファーゴ」での実績も買われると思われる。
今度こそ念願の受賞となりそうだ。
対抗は、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「There Will Be Blood」。
ポール・トーマス・アンダーソン監督は「マグノリア」「ブキーナイツ」「パンチドランク・ラブ」といった実績もあるが、いまだ小規模公開なのが気になるところだ。
主演のダニエル・デイ=ルイスも高い評価を受けているので、「ノーカントリー」のライバルとなるのは間違いないと思われのだが。
最大の大穴は「Juno」。
監督賞でもきちんとノミネートされており、ひょっとするかもしれない。
受賞すれば、ビッグサプライズとなるだろう。
「フィクサー」は評価が高いが、サスペンス系の作品のため分が悪い。
興行収入でも低迷しているのが、悪いイメージとなるのではないか。
監督賞でノミネートされていない「つぐない」の作品賞受賞はないと思われる。
【監督賞】
◎コーエン兄弟(「ノーカントリー」)
○ポール・トーマス・アンダーソン(「There Will Be Blood」)
ジェイソン・ライトマン(「Juno」)
トニー・ギルロイ(「フィクサー」)
ジュリアン・シュナーベル(「潜水服は蝶の夢を見る」)
[予想の結果]5本中3本的中
ティム・バートン(「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」)、ジョー・ライト(「つぐない」)がノミネートされるかと予想したが、代わりにトニー・ギルロイ(「フィクサー」)と次点に考えていたジェイソン・ライトマン(「Juno」)がノミネートされた。
初監督となるトニー・ギルロイと、二作目となるジェイソン・ライトマンといったキャリアの浅い監督がノミネートされたのが少々意外だった。
俳優出身の初監督が受賞することはたまにある。
「クラッシュ」のポール・ハギスのような例もあり、脚本家として名が知られているトニー・ギルロイも同じパターンとなるか。
[短評]
このメンバーならば、コーエン兄弟があっさりと受賞しそうだ。
万が一、作品賞で取れなくても、監督賞では受賞するだろう。
ポール・トーマス・アンダーソンは「マグノリア」「ブキーナイツ」「パンチドランク・ラブ」といった実績があるが、「There Will Be Blood」は公開規模が小規模であり、ワンパンチ足りない。
監督作品が「サンキュー、スモーキング」のみと実績を欠くジェイソン・ライトマンと初監督だったトニー・ギルロイの受賞もないだろう。
作品賞でのノミネートがないジュリアン・シュナーベルの受賞の望みは薄い。
【主演男優賞】
◎ダニエル・デイ=ルイス(「There Will Be Blood」)
○ジョニー・デップ(「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」)
ジョージ・クルーニー(「フィクサー」)
トミー・リー・ジョーンズ(「告発のとき」)
ヴィゴ・モーテンセン(「Eastern Promises」)
[予想の結果]5人中4人的中
ジェームズ・マカボイ(「つぐない」)がノミネートされるかと予想したが、代わりにトミー・リー・ジョーンズ(「告発のとき」)がノミネートされた。
トミー・リー・ジョーンズは「ノーカントリー」でも主演しており、合わせ技的なノミネートか。
「告発のとき」は「クラッシュ」のポール・ハギス監督作品。シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドンといったアカデミー賞女優も出演している。
[短評]
本命はダニエル・デイ=ルイス(「There Will Be Blood」)。
強敵が見当たらず、89年「マイ・レフトフット」以来、二度目の受賞となるのではないか。
二度目の受賞が嫌がれるとなると、ジョニー・デップが念願の受賞するということもありそうだ。
しかし、役柄的に厳しいところもあるか。デンゼル・ワシントンの悪役(「トレーニング・デイ」)とはちょっと違う気がする。
ジョージ・クルーニーは05年に「シリアナ」で助演男優賞を受賞している。
主演男優賞を受賞するとしても、数年後になるだろう。
トミー・リー・ジョーンズは93年に「逃亡者」で助演男優賞を受賞している。
その後ノミネートがなく、久々のノミネートとなる。
「告発のとき」が他の部門にノミネートされていないので、今回はノミネートどまりだろう。
去年の「ラストキング・オブ・スコットランド」のフォレスト・ウィテカーも主要部門のノミネートは主演男優賞のみだったが、臨戦過程が異なる。
フォレスト・ウィテカーはほとんどの賞レースで独走していた。
デヴィッド・クローネンバーグ監督に敬意を表してヴィゴ・モーテンセンがノミネートされたが、さすがに受賞はないだろう。
【主演女優賞】
◎ジュリー・クリスティ(「Away From Her」)
○エレン・ペイジ(「Juno」)
マリオン・コティヤール(「エディット・ピアフ/愛の讃歌」)
ローラ・リニー(「The Savages」)
ケイト・ブランシェット(「エリザベス/ゴールデン・エイジ」)
[予想の結果]5人中3人的中
キーラ・ナイトレイ(「つぐない」)、アンジェリーナ・ジョリー(「マイティ・ハート/愛と絆」)がノミネートされるかと予想したが、代わりに次点にしていたケイト・ブランシェット(「エリザベス/ゴールデン・エイジ」)、ローラ・リニー(「The Savages」)がノミネートされた。
「The Savages」はフィリップ・シーモア・ホフマンも出演しているコメディタッチの兄弟モノ感動映画。
[短評]
六十歳を超えるジュリー・クリスティと二十歳のエレン・ペイジの一騎打ちムード。
エレン・ペイジは「ハードキャンディー」「X−MEN:ファイナル・ディシジョン」に出演しているが、まだまだキャリアが浅く、いきなりの受賞はハードルが高そうだ。
経験豊富のジュリー・クリスティが65年「ダーリング」以来、二度目の受賞となるのではないか。
71年「ギャンブラー」、97年「アフターグロウ」でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた実績がある。
近年は「あなたになら言える秘密のこと」「トロイ」「ネバーランド」といった作品に出演している。
アカデミー賞の他の部門にノミネートされていないが、他の主要の賞レースで圧倒している。
マリオン・コティヤール(「エディット・ピアフ/愛の讃歌」)とローラ・リニー(「The Savages」)は作品的に厳しいか。
ケイト・ブランシェットは「アイム・ノット・ゼア」で助演女優賞にノミネートされると思っていたので、「エリザベス/ゴールデン・エイジ」ではノミネートされないと考えたが、まさかのダブルノミネートとなっている。
去年も「あるスキャンダルの覚え書き 」で助演女優賞にノミネートされており、今回で主演・助演のノミネートで5度目のノミネートとなる(「アビエイター」で受賞済み)。メリル・ストリープ並にノミネートされている女優だ。
【助演男優賞】
◎ハビエル・バルデム(「ノーカントリー」)
○ケイシー・アフレック(「ジェシー・ジェームズの暗殺」)
フィリップ・シーモア・ホフマン(「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」)
トム・ウィルキンソン(「フィクサー」)
ハル・ホルブルック(「INTO THE WILD」)
[予想の結果]5人中5人的中
[短評]
ハビエル・バルデムとケイシー・アフレックの一騎打ちムードだが、ハビエル・バルデムが断然有利だろう。
「ノーカントリー」の評価は、ハビエル・バルデムの怪演があってのものと聞いている。
00年「夜になるまえに」でアカデミー主演男優賞にノミネート経験があり、04年「海を飛ぶ夢」でもノミネートはされなかったが絶賛された。
受賞されるだけの実績を積んでいる。
一方、ベン・アフレックの弟ケイシー・アフレックは「Gone Baby Gone」での高評価もあるが、実績はまだまだ足りないという印象を持たれるだろう。
フィリップ・シーモア・ホフマンは05年「カポーティ」で主演男優賞にノミネートされたばかりであり、そうそう受賞はない。
トム・ウィルキンソンは01年「イン・ザ・ベッドルーム」で主演男優賞ノミネート経験があるが、今回はさすがに相手が悪かった。いつかは受賞してもらいたいものだが。
ショーン・ペン監督作品「INTO THE WILD」もかなり評価が高い作品。
作品賞・監督賞でのノミネートまでには至らないものの、助演男優でノミネートさせて、「INTO THE WILD」を間接的に評価している。
ハル・ホルブルックのそのものの受賞はないだろう。
【助演女優賞】
◎エイミー・ライアン(「Gone Baby Gone」)
○ケイト・ブランシェット(「アイム・ノット・ゼア」)
ティルダ・スウィントン(「Michael Clayton<フィクサー>」)
セルシャ・ローナン(「つぐない」)
ルビー・ディー(「アメリカン・ギャングスター」)
[予想の結果]5人中4人的中
キャサリン・キーナー(「INTO THE WILD」)がノミネートされるかと予想したが、代わりにルビー・ディー(「アメリカン・ギャングスター」)がノミネートされた。
「INTO THE WILD」は助演男優賞のみのノミネートに留め、まったくノミネートされていない「アメリカン・ギャングスター」に少々ハナをもたせたか。
[短評]
エイミー・ライアンがリードを保っている。
彼女は「カポーティ」程度しか実績がないが、助演女優賞はキャリアが少なくても受賞できる賞だ。
去年も演技実績に欠けるジェニファー・ハドソン(「ドリーム・ガールズ」)が受賞した。ノミネートされた者も実績に欠ける菊地凛子アビゲイル・ブレスリンアドリアナ・バラーザといったメンバーだった。
ケイト・ブランシェットが出演する「アイム・ノット・ゼア」は「エデンより彼方に」「ベルベット・ゴールドマイン」のトッド・ヘインズ監督作品。
ボブ・ディランを何人かの役者が演じている。
男性のボブ・ディランを女性のケイト・ブランシェットが演じているのが評価の理由だろう。
「つぐない」は主要部門では作品賞と助演女優賞だけのノミネートとなっている。子役の受賞は結構多い部門ではあるが、セルシャ・ローナンは14歳位の子役であり、主役級でない限り、受賞は難しいのではないか。
ルビー・ディー(「アメリカン・ギャングスター」)は全くのノーマークだった。八十歳を超えるベテラン女優。ノミネートすることのみをもって、評価をしている。受賞はないだろう。
【長編アニメーション映画賞】
◎「ペルセポリス」
○「レミーのおいしいレストラン」
「サーフズ・アップ」
[予想の結果]3本中2本的中
「ベオウルフ 呪われし勇者」がノミネートされるかと予想したが、代わりに「サーフズ・アップ」がノミネートされた。意外と「サーフズ・アップ」は評価が高い。
[短評]
「レミーのおいしいレストラン」が圧倒的にリードしているが、ピクサー作品は「Mr.インクレディブル」「ファインディング・ニモ」で受賞経験がある。
そこでサプライズ的に、イラン出身でフランス在住のマルジャン・サトラピ監督作品の「ペルセポリス」が受賞しそうだ。
「サーフズ・アップ」は二強ムードの中では、さすがに勝負にならないだろう。
去年「ハッピー・フィート」が受賞しており、二年連続ペンギン映画が受賞することもあるまい。
テーマ:第80回アカデミー賞 - ジャンル:映画
ほとんどの作品は当然未見だが、他の賞レース、評判などを元にちょっと早いアカデミー賞ノミネートを予想してみました。
【作品賞】
◎「ノーカントリー」(コーエン兄弟監督)
○「There Will Be Blood」(ポール・トーマス・アンダーソン監督)
「つぐない」(ジョー・ライト監督)
「潜水服は蝶の夢を見る」(ジュリアン・シュナーベル監督)
「Juno」(ジェイソン・ライトマン監督)
<次点>「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」(ティム・バートン監督)
[短評]本命は「ノーカントリー」。これはさすがに鉄板ではないか。
他の賞レースで他の作品を圧倒している。
興行面においてもライバル勢に比べて、比較的好調である。
コーエン兄弟は96年の「ファーゴ」での実績も買われると思われる。
今度こそ受賞となりそうだ。
対抗は、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「There Will Be Blood」。
ポール・トーマス・アンダーソン監督は「マグノリア」「ブキーナイツ」「パンチドランク・ラブ」といった実績もある。また、主演のダニエル・デイ=ルイスも高い評価を受けているので、「ノーカントリー」のライバルとなるだろう。
フランス映画「潜水服は蝶の夢を見る」は外国語部門の受賞資格が確かないので、作品賞でのノミネートとなるのではないか。
ノミネート5作品にやや華やかさに欠けるので、「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」がノミネートされる可能性もありそうだ。
リドリー・スコット監督の「アメリカン・ギャングスター」の失速が予想外だった。
【監督賞】
◎コーエン兄弟(「ノーカントリー」)
○ポール・トーマス・アンダーソン(「There Will Be Blood」)
ジュリアン・シュナーベル(「潜水服は蝶の夢を見る」)
ジョー・ライト(「つぐない」)
ティム・バートン(「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」)
<次点>ジェイソン・ライトマン(「Juno」)
[短評]作品賞においてノミネートされた監督がすんなりとノミネートされそうだ。
監督作品が「サンキュー、スモーキング」のみと実績を欠くジェイソン・ライトマンの代わりに、ティム・バートンがノミネートされるのではないか。
本命はもちろんコーエン兄弟。これも堅そうだ。
【主演男優賞】
◎ダニエル・デイ=ルイス(「There Will Be Blood」)
○ジョニー・デップ(「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」)
ジョージ・クルーニー(「Michael Clayton<フィクサー>」)
ジェームズ・マカボイ(「つぐない」)
ヴィゴ・モーテンセン(「Eastern Promises」)
<次点>デンゼル・ワシントン(「アメリカン・ギャングスター」)
[短評]本命はダニエル・デイ=ルイス(「There Will Be Blood」)。
強敵が見当たらず、89年「マイ・レフトフット」以来、二度目の受賞となるのではないか。
二度目の受賞が嫌がれるとなると、ジョニー・デップが受賞するというサプライズがありそうだ。
「つぐない」で主演したジェームズ・マカボイは「ラストキング・オブ・スコットランド」「ナルニア国物語」などに出演している若手俳優。さすがにまだ実績不足か。
デヴィッド・クローネンバーグ監督に敬意を表してヴィゴ・モーテンセンがノミネートされると予想するが、ヴィゴ・モーテンセンはあまり演技に対して評価されていないところがあるので、デンゼル・ワシントン(「アメリカン・ギャングスター」)が穴埋めとしてノミネートされることもありそうだ。
デンゼル・ワシントン監督作品「The Great Debaters」の評価が高いので、そういった活動も含めて評価されることもあるだろう。
【主演女優賞】
◎ジュリー・クリスティ(「Away From Her」)
○エレン・ペイジ(「Juno」)
マリオン・コティヤール(「エディット・ピアフ/愛の讃歌」)
キーラ・ナイトレイ(「つぐない」)
アンジェリーナ・ジョリー(「マイティ・ハート/愛と絆」)
<次点>ケイト・ブランシェット(「エリザベス/ゴールデン・エイジ」)
[短評]六十歳を超えるジュリー・クリスティと二十歳のエレン・ペイジの一騎打ちムード。
エレン・ペイジは「ハードキャンディー」「X−MEN:ファイナル・ディシジョン」に出演しているが、まだまだキャリアが浅く、いきなりの受賞はハードルが高そうだ。
経験豊富のジュリー・クリスティが65年「ダーリング」以来、二度目の受賞となるのではないか。
71年「ギャンブラー」、97年「アフターグロウ」でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた実績がある。
近年は「あなたになら言える秘密のこと」「トロイ」「ネバーランド」といった作品に出演している。
上述の表には含めていないが、ノミネートの超大穴として考えられるのが、エイミー・アダムス(「魔法にかけられて」)。
ケイト・ブランシェットは助演女優賞にノミネート確実なので評価を下げた。
また、「エリザベス/ゴールデン・エイジ」は興行的にコケてしまっている。
去年も「あるスキャンダルの覚え書き 」で助演女優賞にノミネートされているので、それほど頻繁にアカデミー候補にはなるまい。
【助演男優賞】
◎ハビエル・バルデム(「ノーカントリー」)
○ケイシー・アフレック(「ジェシー・ジェームズの暗殺」)
フィリップ・シーモア・ホフマン(「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」)
ハル・ホルブルック(「INTO THE WILD」)
トム・ウィルキンソン(「Michael Clayton<フィクサー>」)
<次点>ジョン・トラボルタ(「ヘアスプレー」)
[短評]ハビエル・バルデムとケイシー・アフレックの一騎打ちムードだが、ハビエル・バルデムが断然有利だろう。
「ノーカントリー」の評価は、ハビエル・バルデムの怪演があってのものと聞いている。
00年「夜になるまえに」でアカデミー主演男優賞にノミネート経験があり、04年「海を飛ぶ夢」でもノミネートはされなかったが絶賛された。
受賞されるだけの実績を積んでいる。
一方、ベン・アフレックの弟ケイシー・アフレックは「Gone Baby Gone」での高評価もあり、「ジェシー・ジェームズの暗殺」でのノミネート確実ではあるものの、キャリアはあるが、実績はまだまだ足りないという印象を持たれるだろう。
ショーン・ペン監督作品「INTO THE WILD」もかなり評価が高い作品。
作品賞・監督賞でのノミネートまでには至らないものの、助演男優・女優賞でノミネートさせて、「INTO THE WILD」の評価をすると思う。
超大穴でジョン・トラボルタ(「ヘアスプレー」)のサプライズノミネートも考えられるが、5名の枠は上述の5名で堅いのではないか。
【助演女優賞】
◎エイミー・ライアン(「Gone Baby Gone」)
○ケイト・ブランシェット(「アイム・ノット・ゼア」)
ティルダ・スウィントン(「Michael Clayton<フィクサー>」)
セルシャ・ローナン(「つぐない」)
キャサリン・キーナー(「INTO THE WILD」)
<次点>バネッサ・レッドグレーブ(「つぐない」)
[短評]エイミー・ライアンが圧倒的なリードを保っている。
彼女は「カポーティ」程度しか実績がないが、助演女優賞はキャリアが少なくても受賞できる賞だ。
去年も演技実績に欠けるジェニファー・ハドソン(「ドリーム・ガールズ」)が受賞した。ノミネートされたのも実績に欠ける菊地凛子アビゲイル・ブレスリンアドリアナ・バラーザといったメンバー。
ケイト・ブランシェットが出演する「アイム・ノット・ゼア」は「エデンより彼方に」「ベルベット・ゴールドマイン」のトッド・ヘインズ監督作品。
「アイム・ノット・ゼア」はやや知名度が低いのが気になるところだ。
「アイム・ノット・ゼア」よりも「Gone Baby Gone」の知名度は高い。
主演部門の受賞がなさそうな「つぐない」につぐないするために助演女優賞では数名ノミネートされるかもしれないと予想される。
セルシャ・ローナンは14歳位の子役。
バネッサ・レッドグレーブは70歳を超えている超ベテラン女優。
【長編アニメーション映画賞】
◎「ペルセポリス」
○「レミーのおいしいレストラン」
「ベオウルフ 呪われし勇者」
[短評]「レミーのおいしいレストラン」が圧倒的にリードしているが、ピクサー作品は「Mr.インクレディブル」「ファインディング・ニモ」で受賞経験がある。
そこでサプライズ的に、イラン出身でフランス在住のマルジャン・サトラピ監督作品の「ペルセポリス」が受賞しそうだ。
個人的には、アニメという概念を取り去った「ベオウルフ 呪われし勇者」も捨て難いのだが、この作品が受賞するまでには至るまい。
ノミネート資格を有するのは、以下の十二本となっている。
「Alvin and the Chipmunks」「Aqua Teen Hunger Force Colon Movie Film for Theaters」「ビー・ムービー」「ベオウルフ 呪われし勇者」「ルイスと未来泥棒」「ペルセポリス」「レミーのおいしいレストラン」「シュレック3」「ザ・シンプソンズ MOVIE」「サーフズ・アップ」「鉄コン筋クリート」「TMNT」
テーマ:映画関連ネタ - ジャンル:映画
11年ぶりにAFIのランキングが改定されたようだ。
AFIは、監督や脚本家などの関係者で構成されており、かなり通向けの渋いランキングとなった。
改定後のランキングは以下のとおり。
1 (み)市民ケーン(オーソン・ウェルズ監督)
2 (み)ゴッドファーザー(フランシス・F・コッポラ監督)
3 (B)カサブランカ(マイケル・カーティス監督)
4 (観)レイジング・ブル(マーティン・スコセッシ監督)
5 (B)雨に唄えば(スタンリー・ドーネン、ジーン・ケリー監督)
6 (観)風とともに去りぬ(ビクター・フレミング監督)
7 (未)アラビアのロレンス(デビッド・リーン監督)
8 (観)シンドラーのリスト(スティーヴン・スピルバーグ監督)
9 (観)めまい(アルフレッド・ヒッチコック監督)
10 (未)オズの魔法つかい(ビクター・フレミング監督)
11 (未)街の灯(チャールズ・チャップリン監督)
12 (未)捜索者(ジョン・フォード監督)
13 (み)スター・ウォーズ(ジョージ・ルーカス監督)
14 (観)サイコ(アルフレッド・ヒッチコック監督)
15 (み)2001年宇宙の旅(スタンリー・キューブリック監督)
16 (観)サンセット大通り(ビリー・ワイルダー監督)
17 (み)卒業(マイク・ニコルズ監督)
18 (未)キートンの大列車追跡(バスター・キートン監督)
19 (未)波止場(エリア・カザン監督)
20 (未)素晴らしき哉、人生!(フランク・キャプラ監督)
21 (観)チャイナタウン(ロマン・ポランスキー監督)
22 (観)お熱いのがお好き(ビリー・ワイルダー監督)
23 (未)怒りの葡萄(ジョン・フォード監督)
24 (観)E.T. (スティーヴン・スピルバーグ監督)
25 (未)アラバマ物語(ロバート・マリガン監督)
26 (未)スミス都へ行く(フランク・キャプラ監督)
27 (未)真昼の決闘(フレッド・ジンネマン監督)
28 (観)イヴの総て(ジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督)
29 (未)深夜の告白(ビリー・ワイルダー監督)
30 (み)地獄の黙示録(フランシス・F・コッポラ監督)
31 (未)マルタの鷹(ジョン・ヒューストン監督)
32 (み)ゴッドファーザーPART2(フランシス・F・コッポラ監督)
33 (観)カッコーの巣の上で(ミロス・フォアマン監督)
34 (未)白雪姫(デビッド・D・ハンド監督)
35 (み)アニー・ホール(ウディ・アレン監督)
36 (未)戦場にかける橋(デビッド・リーン監督)
37 (未)我等の生涯の最良の年(ウィリアム・ワイラー監督)
38 (未)黄金(ジョン・ヒューストン監督)
39 (観)博士の異常な愛情(スタンリー・キューブリック監督)
40 (観)サウンド・オブ・ミュージック(ロバート・ワイズ監督)
41 (み)キング・コング(メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードサック監督)
42 (み)俺たちに明日はない(アーサー・ペン監督)
43 (観)真夜中のカーボーイ(ジョン・シュレシンジャー監督)
44 (未)フィラデルフィア物語(ジョージ・キューカー監督)
45 (未)シェーン(ジョージ・スティーブンス監督)
46 (未)或る夜の出来事(フランク・キャプラ監督)
47 (観)欲望という名の電車(エリア・カザン監督)
48 (観)裏窓(アルフレッド・ヒッチコック監督)
49 (未)イントレランス(D・W・グリフィス監督)
50 (み)ロード・オブ・ザ・リング(ピーター・ジャクソン監督)
51 (観)ウェスト・サイド物語(ロバート・ワイズ監督)
52 (み)タクシー・ドライバー(マーティン・スコセッシ監督)
53 (み)ディア・ハンター(マイケル・チミノ監督)
54 (み)M★A★S★H マッシュ(ロバート・アルトマン監督)
55 (観)北北西に進路を取れ(アルフレッド・ヒッチコック監督)
56 (観)ジョーズ(スティーヴン・スピルバーグ監督)
57 (B)ロッキー(ジョン・B・アビルドセン監督)
58 (未)チャップリンの黄金狂時代(チャールズ・チャップリン監督)
59 (未)ナッシュビル(ロバート・アルトマン監督)
60 (未)我輩はカモである(レオ・マッケリー監督)
61 (未)サリヴァンの旅(プレストン・スタージェス監督)
62 (未)アメリカン・グラフィティ(ジョージ・ルーカス監督)
63 (B)キャバレー(ボブ・フォシー監督)
64 (未)ネットワーク(シドニー・ルメット監督)
65 (未)アフリカの女王(ジョン・ヒューストン監督)
66 (観)レイダーズ/失われたアーク(スティーヴン・スピルバーグ監督)
67 (未)ヴァージニアウルフなんか恐くない(マイク・ニコルズ監督)
68 (観)許されざる者(クリント・イーストウッド監督)
69 (未)トッツィー(シドニー・ポラック監督)
70 (み)時計じかけのオレンジ(スタンリー・キューブリック監督)
71 (観)プライベート・ライアン(スティーヴン・スピルバーグ監督)
72 (観)ショーシャンクの空に(フランク・ダラボン監督)
73 (観)明日に向かって撃て!(ジョージ・ロイ・ヒル監督)
74 (観)羊たちの沈黙(ジョナサン・デミ監督)
75 (未)夜の大捜査線(ノーマン・ジェイスン監督)
76 (み)フォレスト・ガンプ/一期一会(ロバート・ゼメキス監督)
77 (未)大統領の陰謀(アラン・J・パクラ監督)
78 (観)モダン・タイムス(チャールズ・チャップリン監督)
79 (未)ワイルドバンチ(サム・ペキンパー監督)
80 (観)アパートの鍵貸します(ビリー・ワイルダー監督)
81 (未)スパルタカス(スタンリー・キューブリック監督)
82 (未)サンライズ(F・W・ムルナウ監督)
83 (観)タイタニック(ジェームズ・キャメロン監督)
84 (み)イージー・ライダー(デニス・ホッパー監督)
85 (未)オペラは踊る(サム・ウッド監督)
86 (み)プラトーン(オリバー・ストーン監督)
87 (観)十二人の怒れる男(シドニー・ルメット監督)
88 (未)赤ちゃん教育(ハワード・ホークス監督)
89 (み)シックス・センス(M・ナイト・シャマラン監督)
90 (未)有頂天時代(ジョージ・スティーブンス監督)
91 (観)ソフィーの選択(アラン・J・パクラ監督)
92 (B)グッドフェローズ(マーティン・スコセッシ監督)
93 (み)フレンチ・コネクション(ウィリアム・フリードキン監督)
94 (観)パルプ・フィクション(クエンティン・タランティーノ監督)
95 (未)ラスト・ショー(ピーター・ボグダノビッチ監督)
96 (未)ドゥ・ザ・ライト・シング(スパイク・リー監督)
97 (み)ブレードランナー(リドリー・スコット監督)
98 (未)ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ(マイケル・カーティス監督)
99 (観)トイ・ストーリー(ジョン・ラセター監督)
100 (観)ベン・ハー(ウィリアム・ワイラー監督)
B…本ブログにてレビュー済み(5本)
み…みんなのシネマレビューでレビュー済み(21本)
観…一度は鑑賞したことがある(33本)
未…未鑑賞(41本)
古典作品はそれほど鑑賞していないので、勉強のために、これから鑑賞していこうと思っているところだ。
未鑑賞となっている41本を中心に今年の間にレビューしていきたい。
ただ、このデータは古い映画に偏りすぎている気がするので、映画傑作100選というデータとしてはあまり有用ではないのかもしれない。
11年ぶりに改定したというわりには、2000年以降の作品は、「ロードオブザリング」一本のみと寂しい結果となっている。
監督別にチェックすると、スティーヴン・スピルバーグ監督作品が5本でトップとなる。
<4本>
ビリー・ワイルダー監督、スタンリー・キューブリック監督、アルフレッド・ヒッチコック監督
<3本>
フランシス・F・コッポラ監督、マーティン・スコセッシ監督、フランク・キャプラ監督、チャールズ・チャップリン監督
<2本>
ビクター・フレミング監督、マイケル・カーティス監督、デビッド・リーン監督、ジョン・フォード監督、ジョージ・ルーカス監督、マイク・ニコルズ監督、エリア・カザン監督、ウィリアム・ワイラー監督、ロバート・ワイズ監督、ジョージ・スティーブンス監督、ロバート・アルトマン監督、シドニー・ルメット監督、アラン・J・パクラ監督
テーマ:映画関連ネタ - ジャンル:映画
おおむねサプライズもなく、予想通りの結果となったのが印象的だった今回のアカデミー賞。
予想どおり受賞したことが、一番のサプライズにも思える。
個人的に、ひねって予想した「作品賞」と「長編アニメ賞」のみの予想が外れた。
【作品賞】
<受賞作品>ディパーテッド
クィーン、バベル、硫黄島からの手紙、リトルミスサンシャイン
※「リトルミスサンシャイン」は監督賞にはノミネートされていない作品だ。
調べてはいないが、監督賞にノミネートされていない作品は、今まで作品賞を受賞していないのではないだろうか。そういう意味でかなり難しいと思っていた。
「硫黄島からの手紙」は、イーストウッド作品が立て続けに受賞することはないと思われるのでこれも非常に難しいと感じていた。作品云々という問題ではない。
三度目の監督賞を与えるのには、誰もが文句を言えないほどの傑作でなくてはいけない。
「父親たちの星条旗」ならまだしも、拡大公開されていない日本語作品ということもあり、やはりどう考えても受賞するのは難しい作品であった。
「父親たち」ではなく、「硫黄島」がノミネートされたということは、彼が受賞することはないことの表れだったようにも感じられた。
「バベル」は去年のクラッシュと雰囲気的に似ているオムニバス映画。
去年の「クラッシュ」がなければ、ひょっとしたかもしれないが、この作品は時期が悪かったと思う。
「ディパーテッド」はリメイク作品であり、スコセッシ監督作品の中では「並」の出来の作品。
本作で受賞するのであれば、過去の作品がどうして受賞できなかったのかということになってしまう。
そこで、個人的には、大穴で「クィーン」を押したのたが、やはり「クィーン」では難しかったか。
「クィーン」はイギリス系の映画ではあるが、アカデミー賞では「ガンジー」や「炎のランナー」などのイギリス映画が受賞している例はあったのだが。
弱メンバーに助けられ、「ディパーテッド」が受賞してしまったが、スコセッシは本気で喜べるのだろうか。
やや疑問が残る受賞であった。
04年に「ミリオンダラーベイビー」ではなく「アビエイター」で受賞していればよかったのだが。
そうすれば、今年はイーストウッドに受賞させられる流れを作ることができた。
【監督賞】
<受賞者>マーティンスコセッシ(ディパーテッド)
アレハンドロゴンザレスイニャリトゥ(バベル)、スティーブンフリアーズ(クィーン)、クリントイーストウッド(硫黄島からの手紙)、ポールグリーングラス(ユナイテッド93)
※混戦を利して、スコセッシが念願のオスカーを取ってしまった。
スコセッシファンにとっては喜んでいいのかいけないのか、微妙なところだろう。
さすがに今回監督賞を受賞するとは思ったが、まさか作品賞までも与えてしまったのはどうだろうか。
「ディパーテッド」クラスではなく、彼の渾身の作品での受賞を見たかった。
【主演男優賞】
<受賞者>フォレストウィテカー(ラストキングオブスコットランド)
レオナルドディカプリオ(ブラッドダイヤモンド)、ウィルスミス(幸せのちから)、ピーターオトゥール(Venus)、ライアンゴスリング(Half Nelson)
※やはり、フォレストウィテカーの高い壁を誰も破れなかった。
「ディパーテッド」でレオナルドディカプリオがノミネートされていたら、一波乱も期待できたが、ノミネートすらされないのでは話にならない。
ピーターオトゥールにも期待は集まったが、彼の作品があまりに小品すぎた(先週の時点で157館の公開で約2百万ドル)。
小品の「ラストキングオブスコットランド」ですら先週の時点では約13百万ドル稼いでいる。
なお、「ラストキングオブスコットランド」の日本公開は3月10日。
小さいハコでしか掛けないのが多少不満だ。
上手く宣伝すれば「ホテルルワンダ」並みにヒットできたのではないか。
【主演女優賞】
<受賞者>ヘレンミレン(クィーン)
ペネロペクルス(ボルベール<帰郷>)、メリルストリープ(プラダを着た悪魔)、ジュディデンチ(Notes on a Scandal)、ケイトウィンスレット(Little Children)
※順当にヘレンミレンが受賞。
今年は誰がノミネートされても、彼女に勝つことは困難と思える。
「クィーン」は作品賞も取れなかったのであるから、「クィーン」が無冠ということはあり得ない。
【助演男優賞】
<受賞>アランアーキン(リトルミスサンシャイン)
エディマーフィー(ドリームガールズ)、ジャイモンフンスー(ブラッドダイヤモンド)、マークウォルバーグ(ディパーテッド)、ジャッキーアールヘイリー(Little Children)
※一般的には番狂わせと思われがちだが、個人的には予想通りアランアーキンが受賞した。
やはり、エディマーフィーはそう簡単に受賞できないと思われた。
コメディ俳優であるため、アカデミー会員の票を集めるのは困難だったようだ。
健闘した「リトルミスサンシャイン」にも主要部門を一つ送りたいという意図も働いたのだと思う。
さらには、約40年ぶりにアカデミー賞にノミネートされたアランアーキンに功労賞的な意味も込めて受賞させることとしたのだと思う。
極めて順当な受賞だと思う。
【助演女優賞】
<受賞者>ジェニファーハドソン(ドリームガールズ)
菊地凛子(バベル)、ケイトブランシェット(Notes on a Scandal)、アドリアナバラッザ(バベル)、アビゲイルブレスリン(リトルミスサンシャイン)
※「ドリームガールズ」が観れば分かるが、ジェニファーハドソンの化け物ような迫力には誰も歯が立たない。
心配なのは、今後のジェニファーハドソンの行く末だ。
本作では光り輝いていたが、美人でもなければ、人間ドラマの微妙な演技ができるかも微妙である。
今後どういった役柄が彼女にキャスティングされるのかがピンとこない。
本作が一世一代の当たり役となり、落ちぶれないかどうかが心配だ。
【アニメーション賞 】
<受賞作>ハッピーフィート
カーズ、モンスターハウス
※当初はハッピーフィートだろうと思ったが、裏を読んでカーズと予想したものの、結局ハッピーフィートが受賞した。
ピクサーは「ファインディングニモ」「Mr.インクレディブル」で受賞しているため、そのぶん票が流れたのではないか。
アニメにミュージカルを取り入れるという斬新さによって、アニメの幅を更に広げたという点が評価されたのだと思う。
「カーズ」は作品としては極めて優れた作品であるが、この部門を独占的に受賞されることを嫌われたというのはやむを得ないところである。
【その他の賞】
「トゥモローワールド」が撮影賞で「パンズラビリンス」に敗れた。
「トゥモローワールド」はこれ以上の撮影はないと思えるほどの凄まじさを感じたが、それを上回るほど「パンズラビリンス」は凄いのだろうか。
「パンズラビリンス」を見ていないので判断できないが、ちょっとこの受賞は疑問だ。
一方、外国語映画賞では、「パンズラビリンス」他を抑えて、日本で公開中の「善き人のためのソナタ」が受賞した。
「ボルベール<帰郷>」がノミネートさえされないというのが疑問な部門であるが、公開中のうちに鑑賞してみたいと思った。 受賞のおかげでかなり混みそうだが。
「ドリームガールズ」が完全に嫌われたのも特徴となった。
「作品賞」「監督賞」からノミネートを外されただけでなく、5曲のうち3曲がノミネートされていた「オリジナル歌曲賞」部門では「不都合な真実」に敗れてしまった。
「美術賞」「衣装デザイン賞」「助演男優賞」でも落選し、鉄板だった「助演女優賞」部門と「音響賞」の二冠に留まった。
そろそろ順番で受賞させてやろうとか、一回受賞しているから今年は受賞させないとか、そういうのが目立ってきている気がする。
アカデミー賞は、一番権威のある賞なのだから、純粋に作品と演技に目を向けて欲しいものだ。
テーマ:第79回アカデミー賞 - ジャンル:映画
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