ばったすいみんぐすくーる

公開中の映画作品を中心にネタバレ全開で独断レビュー。 映画興行収入などの映画情報も紹介。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2007年1月クールドラマ視聴率結果(三話目等)

順位  タイトル   初回   最新話 前話との対比 平均(予想平均)
1位「華麗なる一族」 27.7%  23.5%(▲1.7%) 24.3%(23.0%)
2位「花より男子2」  19.4%  23.1%(▲3.9%) 20.5%(19.0%)
3位「ハケンの品格」 18.2%  18.8%(▲0.2%) 18.5%(13.5%)
4位「東京タワー」   14.2%  16.0%(▲1.1%) 15.2%(16.5%)
5位「エラい嫁」    16.1%  12.7%(▽2.1%) 14.5%(12.0%)
6位「特命係長只野仁」13.4%  14.4%(▽1.1%) 14.4%(14.0%)
7位「拝啓、父上様」 12.9%  12.4%(▽1.7%) 13.1%(15.0%)
8位「ヒミツの花園」  14.7%  12.1%(▽0.3%) 13.1%( 9.5%)
9位「わるいやつら」  13.6%  10.1%(▽3.5%) 11.9%(13.5%)
10位「今週、妻が浮気」12.5%   9.1%(▽1.7%) 10.8%(14.0%)
11位「きらきら研修医」 10.4%  11.0%(▲0.4%) 10.7%( 9.0%)
12位「演歌の女王」  10.9%   8.5%(▽1.0%)  9.6%(16.0%)

1位「華麗なる一族」はやや視聴率を持ち直して、23%となった。
今後は23%前後を順調に推移するのではないかと予想される。
「あるある」の失墜も本作にとってはプラスとなったと言える。
しかし、話題的には何かが不足しており、突き抜けた視聴率を獲得するためには、大物ゲスト登場などの何か大きな話題がない限り難しいだろう。

2位の「花より男子」は23%というとてつもない視聴率を叩き出した。
23%台は前作のラスト回(22.4%)を含め、どの回よりも上回るものであり、この勢いは沈静化するどころか増しているという状況である。
しかし、今週は一発目のジブリ砲「千と千尋の神隠し」が放映される。
23%から、少なくとも1割減、2割減程度は覚悟しなくてはいけないだろう。
どの程度の数字が出てくるか、今週一番の注目である。
前クールの「セーラー服と機関銃」は「DEATH NOTE 前編」の放映によって、14.2%→9.6%と4.6%減(3割以上の視聴者減)を強いられた。

4位「東京タワー」は初回の低視聴率が報道されたが、一応視聴率を持ち直しつつある。
やはり予想通り、普通の月9並みの視聴率に落ち着くのではないか。
視聴率的には面白くもなんともないドラマとなりそうだ。

5位の「エラいところ」、10位の「今週妻」、12位の「演歌の女王」は視聴率の落ち込みが一向に止まらない。
「エラいところ」は、やはり当初の予想通りの視聴率になりそうだ。
仲間といえどもやはりこの手のドラマで高視聴率は取れない。

「今週妻」と「演歌」はこれほどの低視聴率になるとは夢にも思わなかった。
なんとかしないと俳優生命に関わってきそうだ。
しかし、「演歌の女王」は今週「マトリックスレボリューションズ」によって息の根が止められるのではないかと思っている。
天海主演作品としては、
「女王の教室」は話題的に大きかったとともに学園モノが多少視聴率は取れた。
「トップキャスター」には矢田という共演者もいたうえに、脇役もなかなか豪華であった。月9ということである程度の率は稼げた。
「離婚弁護士」もテーマが良かったとともに、共演者も多彩であった。

今回は見てないのでなんとも言えないが、天海さんは不幸な女性というイメージがなく、もっと強い女性を演じた方が華の出る女優ではないかと思う。
製作者としては人選の間違い、天海サイドとしては出るドラマを間違えたのではないか。
天海サイドとしては少し幅を広げたかったかもしれないが、そのチャレンジは失敗に終わったといっていいだろう。
それにしても、このドラマは脇役も物足りなさ過ぎる。
原田泰造や酒井若菜といったメンバーをあてがわれては、天海に孤軍奮闘せよといっているものだ。

「今週妻」は企画だけで勝負した感があり、全体的にキャスティングが地味すぎた。
ユースケは今後主演で行くのは厳しいかもしれない。
脇役で独特の光を放った方がよいのではないか。

「わるいやつら」も尋常ではない落ち込み方をしている。
やはりドラマの内容に比して時間帯が悪いうえに、今回で3作目となり視聴者から飽きられてきているのだろうか。
「けものみち」の最低視聴率が12.9%、「黒革の手帖」の最低視聴率が13.2%だから、今回いかに視聴率が悪いかが分かる。
3部作のうち1話も見ていないのでどの程度の露出があったのか不明だが共演者は以下のとおり。
「黒革」には仲村トオル、柳葉敏郎
「けもの」には仲村トオル、佐藤浩市
「わるい」には上川隆也、北村一輝
確かに「わるい」はイマイチ物足りないキャスティングかもしれない。
スポンサーサイト

テーマ:テレビ視聴率 - ジャンル:テレビ・ラジオ

国内映画興行収入ランキング(1月4週目) 【映画】

先週の予想通り、1位には「どろろ」が登場。
「SHINOBI」のような変な堅苦しさがなく、予告から感じられる柴咲コウのコメディ的な要素と妻夫木聡のシリアス的な要素が上手くマッチし、ミスチルの軽快なサウンド、「ブラックジャック」も再評価されている手塚治虫という大御所の原作という、複合的な要素によって一層観客を集客することに成功した。
制作費20億円をアピールすることで大作であるという認識を一般人に植えつけることもできたのだろう。
しばらくは上位をキープすることは間違いないだろう。
しかし、評価は微妙か。絶賛されているという印象はない。

2位には「幸せのちから」が登場。
やはり親子感動モノというのは日本では当たる。
どん底から這い上がった男のサクセスストーリーという宣伝を打つよりも、親子愛を強調した「戦略」の勝利だろう。

2週目にして「マリーアントワネット」と「ディパーテッド」の順位が逆転。
トータルでの逆転もあるのではないか。
アメリカ人が見ればびっくりする結果だろう。やはり日劇PLEX1で公開したのがよかったと思われる。
日本ではシリアスドラマが向かないのかと思いきや、「それでもボクはやってない」の順位が上がっている。
「それでも~」はネット上でもかなり高評価されているから、その高評価が観客に足を運ばせているのだろう。
しばらくはトップ10内をキープしそうだ。

10位には「あなたを忘れない」が登場。
「武士の一分」などがランク外に落ちてしまった。
「あなたを忘れない」は感動ストーリーと思われたことで集客に成功したのだろうか。
あまり知名度の高くない韓国人俳優とあまり有名ではない日本人ミュージシャンというフレッシュの顔ぶれも斬新だったといえよう。


次週にはアンディラウ主演の「墨攻」が登場予定。
予告編を見る限り、歴史モノ、壮大なスケール感があり、戦闘シーンも規模が大きそう、かつ知性に訴える内容となっていそうで、それなりにヒットしそうだ。
タイプは全然違うかもしれないが、「HERO(トータル40億円超)」が高水準の3位で登場し、「LOVERS(トータル20億円超)」が1位を記録しており、ひょっとすると予想よりも大きくヒットするかもしれない。

その他には、アンソニーホプキンス主演の「世界最速のインディアン」も公開される。
おすぎが宣伝しているのは逆効果になるだろう。
「地味だけど見ればきっと面白いだろうな」と思っていたが、おすぎの宣伝のために鑑賞することを完全に断念した。
北川景子、本仮屋ユイカ主演の「Dear Friends」は結構CMを打っているのでぎりぎりトップ10に入ってくるかもしれない。
しかし、微妙なキャスティング、「病気」「自殺」「友情」という微妙に語りつくされたテーマだけに、上位に入るのは難しいだろう。


<次週予想順位>
予想順位(今週) 自己評価 タイトル(主な公開劇場)
1(1) ▲「どろろ」 (有楽座)
2(-) ◎「墨攻」(丸の内ピカデリー1)
3(2) 済「幸せのちから」 (日比谷スカラ座)
4(3) 済「マリーアントワネット」(日劇PLEX1)
5(4) 済「ディパーティド」 (丸の内ルーブル)
6(5) △「それでもボクはやってない」(シャンテシネ)
7(7) ×「愛の流刑地」  (日劇PLEX2)
8(6) 済「硫黄島からの手紙」(丸の内プラゼール)
9(-) ×「Dear Friends」 (丸の内TOEI)
10(9) ×「僕は妹に恋をする」(恵比寿ガーデンシネマ)

[個人評価]
◎ 絶対観たい作品
▲ DVDか映画サービスデイだったら観たい作品
△ 映画館では観ないけどDVDだったら観るかもしれない作品
× 観ることはないでしょうの作品
済 鑑賞済み作品

テーマ:興行収入ランキング - ジャンル:映画

「アビエイター」DVDレビュー 【映画】

◆評価      8.5点
◆分かりやすさ B(かなり分かりやすく作られているとは思うが)
◆おススメ度   B-(初見時には良さ分からず、一般にススめるには重すぎるか)

全米興行収入は約1億ドルを突破し、興行収入面では成功を収めた。
アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞(アランアルダ)、助演女優賞(ケイトブランシェット)、脚本賞にノミネートされ、助演女優賞のみの受賞に留まったが、すべて受賞してもおかしくないほどの傑作といってよいだろう。
公開時にはあまり本作の良さを感じなかったが、改めてみてみると本作のクオリティの高さには驚かされるばかりだ。
「ミリオンダラーベイビー」のイーストウッドや「RAY」のジェイミーフォックスらに敗れたが、個人的には彼らよりも格段に優れていると感じた。
個人的には、本作がスコセッシのベストワークではないかとも思う。

【構成】
ハワードヒューズの生涯を描く作品を作りにあたり、本作の制作方法が最も優れているように感じた。
誕生から死までの全てを描くというような馬鹿げた方法を取らずに、ヒューズを描くにあたり、必要不可欠な事項を徹底的に絞り、見事にヒューズという人間を切り取ってみせた。
本作には無駄なシーンというものがひとつもないかもしれない。
単に壮絶な人間ドラマを描いただけではなく、映像の美しさ、迫力なども超一流の作りとなっている。
スコセッシ監督作品の「カジノ」のような3時間近い冗長な映画というよりも、これほどの内容をよく3時間未満に収めたという点を評価したい。
2時間50分の作品だが、まったく長さを感じさせない作りとなっている。

【ヒューズの在り方】
「強迫性障害」「完璧主義者」「夢を追求する情熱」という三点に絞って、ヒューズの性格、生き様を見事に浮き彫りにしている。
「強迫性障害」に関しては、序盤は教授だったか定かではないが誰かと握手をしていたと思うが、徐々に握手を拒否し、症状が悪化していく様子を克明に描いている。
トイレから出ようとするもののドアノブを触ることができず、タオルも使いきってしまい、途方に暮れて壁にもたれるシーンはゾクゾクさせる出来だ。
同じセリフが止まらなくなり必死で口を押さえる仕草にも彼の苦悩が感じられる。
キャサリンヘップバーンに対して、自分に歯止めがかからなくなるのが怖いと語るシーンもヒューズの苦悩を感じられる大切なセリフだ。
見事に強迫性障害をディカプリオが演じきっている。
ラストの彼の目を見てほしい。
真っ赤にした目を描くだけで、彼の苦悩や彼の人生の末を暗示させている。
本作でアカデミー賞を取れないのならば、いつ取れるのだと思わせる優れた演技をみせてくれた。

「完璧主義者」に関しては、映画の撮影のためだけに雲を延々と待ち続けるシーンや、美しい流線型で空気抵抗が限りなくなくなるようにまで追求する姿から感じられる。
彼の妥協を許さない姿勢が「夢を追求する情熱」に通じている。
大事なものは、「金」を儲けることや失うことではない、「限界」や「困難」を越えて自分の夢を追求することだと、本作から感じられる。
ヒューズのような目先の利益に囚われず、諦めずに追求する人間の生き様が「未来への道」となることが分かる。
戦争が終わり、製作する必要のなくなったハーキュリーズを、最後まで製作し、あれだけの巨大な飛行機を飛ばしたことの意味は大きいだろう。
飛行機の操縦士というだけでなく、困難な人生を操縦したという意味で、まさに彼こそ真の意味での「アビエイター(飛行士)」である。
最終的には、墜落(強迫性障害によって閉じこもり孤独の死を迎える)してしまったが、それは重要なことではない。

【TWA vs パンナム】
パンナム社のホアントリップ(アレックボールドウィン)やブリュースター上院議員(アランアルダ)との対決も、映画の緊張感をより高めている。
彼の勝利の要因は、金儲けをするためではなく、彼の情熱によるものだということが分かる。
ブリュースター上院議員に屈しないように、杖をつかずに彼に会いに行き、恐らく食べないであろうマスの食事や指紋のついたグラスの水を飲むなどの強さをみせている。
公聴会も彼の精神には耐えられなかったものだろう(激しく足を揺らすことで表現している)が、見事に耐え切ったことで、彼の情熱の強さ、精神の強さを描いている。
本作に描かれたハワードヒューズはただの大富豪や金の亡者ではない。
やはり彼はアビエイターであることが描かれている。

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

「幸せのちから」レビュー 【映画】

「成功した者による何かが足りないサクセスストーリー」
◆評価      5.5点
◆分かりやすさ A
◆おススメ度  B-


ラストのクリスの採用決定にはある程度の感動を覚えた。
しかし、クリスの人生にどうしても共感できない。
何かが足りないとも感じてしまった。
どうにもクリスの人生に上手く入り込むことができなかったのが正直な感想である。
そこで上手くハマれなかった理由を考えてみたい。


【ストーリーの流れ】
本作は実在する人物クリスガードナーのサクセスストーリーを描いたものだ。
しかし、感動を狙って美化することもなく、タクシー代を踏み倒すなどの行為を含めて彼のありのままの姿を描ききっているのが特徴だ。
ある人からみれば「何の生活設計も建てずにいきあたりばっかりの人生のツケではないか。自業自得だろう。」と思うだろう。
もう一方からみれば、「苦境に立ってもへこたれずによく頑張った。感動した。」と思うだろう。
感動するかどうかは観た人が判断すればよいのであり、感動できるかを議論するつもりはない。

気になったのは、この映画のテンポ、強弱の付け方である。
本作は、それほど強くもなく、弱くもないある一定の流れ・テンポでストーリーを構成している。
いわば水平に進む「直線の映画」である。
そうなると観客は途中でやや飽きてしまうのではないだろうか。

個人的には、強弱をつけて、波打つようにストーリーを流すのが理想的だった。
いいこともあれば悪いこともある。楽しいこともあれば、苦しいこともある。
それが「人生」ではないだろうか。やや一面を強調して描きすぎてしまっている気がする。

また、テンポも全体的にややスローに流している。
じっくりと描きこみたいという製作者の姿勢はみえてくるが、スローにすべきところはスローに、テンポよく描くところはテンポよく描くべきだった。


【クリスの強さ】
息子に対して「「オマエには無理だ」と人に言わせるな、父親からでもだ」というセリフがある。
このセリフから分かるようにクリスという男は「強い」人間である。
どんなに苦境にたっても自分の信念や強さに揺らぎはなく、ユーモアで交わす部分もある。

彼の強さは以下のような出来事やセリフで理解することができる。
・作業着かつペンキまみれで面接に望んでも、ユーモアと正直さで乗り切る。
・車に轢かれて、シューズをなくして会社に戻って「オマエ靴どうしたんだ」と言われても、「あれ、そういえばないっすね」ととぼける。
・モーテルを追い出され、寝る場所がなくても、息子が不安がらないように古代を冒険しているかのごとくトイレに上手く誘導する。
・故障した部品を購入するために、自分の血液を売る。
・電話を切るときも受話器を置かずに時間を稼ぐ。トイレに行く時間を節約するためにも水は口にしない。

どん底から這い上がりトップに登り詰めた人間であるから、ある程度の強さを兼ね備えた人物であることは間違いない。
しかし、人間というのは、それほど「強くもない」というのも事実だ。
強さを描きつつも、「絶望」にうちひしがれる姿ももっと描くべきだっただろう。
彼の苦しさを十分堪能できたのは、「トイレでノックされるのをじっと耐えるシーン」くらいだったように感じる。
先ほどの【ストーリーの流れ】で述べたように、彼の「強さ」を延々と描くことをしてもそれは「直線の映画」にしかならない。
弱さ、絶望、諦めを描いてこそ、「強さ」がいっそう光を増すのである。


【息子の存在】
「もう駄目だ。諦めよう。」という状況下におかれても決して諦めないのは彼の強さのせいだけではない。
息子の存在があるからこそ、前進することを止めようとしない。
息子の存在が彼の推進力となるのである。
「幸せのちから」、「幸せを追求するためのちから」とはまさに「息子がいるから、息子と一緒に居たいから」こそ、この「ちから」が生まれるのだろう。
この肝心要の点が、ややエモーショナルには描ききれていないかなとも感じられた。
二人で寄り添ってホテル、バス、電車で寝る姿、採用されて保育所で抱き合う姿、チョコレートを買い与える姿、二人で海辺で戯れる姿、ラストの二人の会話など、二人三脚で歩いた姿が十分描きこまれているが、大きな柱となるエピソードが一つ欲しかったところだ。
キャプテンアメリカの人形を落とした息子が、それを取りにいって事故に遭いそうになるところをクリスが体を張って助けるとか、息子が病気になるとか、そういうエピソードが入れば、ストーリーはかなり引き締まるだろう。
この点が、「事実」を基にした映画の限界ともいえる。


【タイムマシーン】
骨密度を測る機械はまさにタイムマシーンだと感じた。
未来へと「希望」を繋ぐ機械である。
これを売ることができなければ、決して彼は6ヶ月を耐えることはできなかっただろう。
しかし、一台は、研修参加のための資料をもらうために会社に訪れた際、ジプシーに保管を頼んだものの奪われてしまう。
もう一台は、タクシー運ちゃんの追ってを払うために地下鉄に乗り込んだ際に手放してしまい、タイムマシーンだと信じるホームレスに拾われてしまう。
この二台の機械は重要なキーアイテムである。

どんなにクリスの精神が強く、どんなにクリスが優秀であっても、結局人間はお金がなければ生きてはいけない。
この二台の未来への希望を繋ぐタイムマシーンは本作にとってよいアクセントになるはずだった。
しかし、この描き方が完全には上手く機能していないようにも感じた。
やはり、きちんとクリスの「絶望」を描いた後に、この機械が彼の「絶望」を救うという「公式」にすれば、この二台のタイムマシーンは上手く機能したと思う。


【その他】
テスト時を終えてエレベーター内で、同じ候補生としゃべるシーンがある。
「グラフはできたか」「余裕だったな」「裏の小論文には驚かされたな」「…」、正確ではないがこのような会話が繰り広げられていた。
このシーンの意味は、クリスより早くテストを終えることができた優秀な男がいたが、実はクリスよりも早くテストを終えたのではなく、裏の問題までやっていなかったということを描いている。
クリスよりも優秀そうに見えた者は実はクリスよりも優秀ではなく、真に優秀なのはクリスなのであるということを描いている。
説明がないので、イマイチ分かりづらいシーンでもあった。


【まとめ】
単純な感動作を描くのではなく、リアリティあるサクセスストーリーを描きたかったのだろう。
しかし、「俺も彼のように頑張ろう」と思うような一歩突き抜けた深みには欠けるように感じた。

ウィルスミスにとっては、ヒューマンドラマであっても興行収入面で成功を収めたことにより、いかなる作品であっても金を稼げるスターを証明することとなった。
さらに演技の幅を広げ、アカデミー主演男優賞にノミネートされるまでに至ったことによって、ウィルスミスの存在の大きさを本作で知らしめたことが、本作の価値であろう。
また、ウィルスミスの息子のデビュー作となったことが、彼が優秀な俳優になった際に将来語られる作品になるかもしれないと感じたが、それ以外には大きな価値をもつ作品とは感じられなかった。


テーマ:幸せのちから - ジャンル:映画

全米映画興行収入ランキング(1月第4週) 【映画】

順位(先週)公開週 タイトル (公開館数) 興行収入 (トータル収入)
1(-)1週目「Epic Movie」   (2801館)$19,200,000($19,200,000)
2(-)1週目「Smokin' Aces」  (2218館)$14,261,740($14,261,740)
3(2)6週目「ナイトミュージアム」(3241館)$9,450,000($216,737,959)
4(-)1週目「Catch and Release」(1622館)$8,000,000($8,000,000)
5(1)3週目「Stomp the Yard」 (2115館)$7,800,000($50,655,000)
6(3)7週目「ドリームガールズ」 (2785館)$6,618,000($86,651,000)
7(5)7週目「幸せのちから」   (2688館)$5,000,000($152,947,000)
8(7)5週目「パンズラビリンス」 (823館)$4,750,000($16,500,000)
9(9)18週目「クィーン」    (1830館)$4,000,000($41,241,000)
10(4)2週目「The Hitcher」   (2836館)$3,598,161($13,398,207)
(参考:IMDbのボックスオフィス)

1位の「Epic Movie」は絶叫計画シリーズの関係者によるパロディ映画。
「ナルニア国物語」「チャーリーとチョコレート工場」「スーパーマンリターンズ」「パイレーツオブカリビアン」「ナチョリブレ」などをパロっているようだ。
アメリカ人が好みそうな映画だが、日本ではコアな層しか見ないだろう。
「Scary Movie (2000)」のオープニングが約43百万ドル(約157百万ドル)
「Scary Movie 2 (2001)」のオープニングが約21百万ドル(トータル約71百万ドル)
「Scary Movie 3(2003)」のオープニングが約50百万ドル(トータル約110百万ドル)
「Scary Movie 4(2007)」のオープニングが約40百万ドル(トータル約91百万ドル)
となっているから、「Scary Movie」シリーズほどは稼ぎそうもない。
最終的には50百万ドル~60百万ドルあたりだろうか。
それでも十分稼げるシリーズであることは間違いないが、作品の評価は低い。


2位「Smokin' Aces」は、「NARC ナーク(2002)」のジョーカーナハン監督によるクライム作品。
本作はタランティーノ作品を彷彿とさせる作風となっている。
ベンアフレック、アンディガルシア、アリシアキーズ、レイリオッタなどが出演している。
「NARC ナーク」はトータルでは約10百万ドルの興行収入のため、爆発的とはいかないまでも、それなりの成績を収めた。
本作のようなバイオレンス度の高いものはそれほど稼げない。5千万ドル前後稼げば十分だろう。
アメリカ内での評価はボチボチ、良くもなく悪くもないという感じ。
日本で公開されたら、恐らく見に行くだろう。


3位の「ナイトミュージアム」は2億ドルを突破し、全米映画史上58位まで登り詰めた。
絶対見ないと思っていた本作だったが、ここまでヒットすると、さすがに見たくなってきた。
日本公開は3月17日。


4位「Catch and Release」は、ジェニファーガーナー主演のラブコメディー。
ガーナー作品としては、「エレクトラ」が約24百万ドル、「13ラブ30 (13 Going On 30)」約56百万ドルとなっている。
「13ラブ30」程度を期待して製作されたと思ったが、さすがに難しいだろう。
「エレクトラ」を超えることが目標となりそうだ。


8位の「パンズラビリンス」はIMDbの評価では8.5ポイントとなった。
かなりの高評価をキープしている。本作には期待してよさそうである。


10位の「The Hitcher」は二週目にして大きく順位を下げた。
大コケといっていいだろう。日本公開は難しいと思う。


圏外では、「ディパーテッド」が1453館に再び拡大公開され、35位から12位にアップしている。
先週のデータによると、ソダーバーグ監督の「グッドジャーマン」は66館のみの公開でまだ拡大公開されていないようだ。トータルは891万ドル。
「硫黄島からの手紙」は360館規模でトータル244万ドルといったところだ。


次週にはダイアンキートン、マンディムーア主演の「Because I Said So」が登場するが、高収入で上位に食い込むのは難しそうだ。
その他には、ホラー作品の「The Messengers」が予定されている。
大作としては、2月9日には「ハンニバルライジング」、2月16日にはニコラスケイジ主演の「ゴーストライダー」が予定されている。
どちらも成功と失敗が紙一重の作品のような気がする。

テーマ:興行収入ランキング - ジャンル:映画

「Snowdome/木村カエラ」レビュー 【音楽】

◆評価 8.0点

木村カエラの曲はいままでにフルコーラスではほとんど聴いたことがなかったのだが、ふとテレビでこの曲を耳にして「なかなか良いかも」と思い、レンタルしてみた。

よくよく聴くと、シンプル曲、直球な歌詞がかなり心に響く曲となっている。
木村カエラの特徴のある伸びのある声もこのシンプルなバラードにとてもマッチしている。

曲のイメージとしては、
美しい景色がいつまでも忘れられないのと同じように、別れた恋人のことがいつまでも忘れられない寂しさを歌い上げている。

寂しさに耐えられなくなったときに、昔恋人と見た美しい景色を訪れて、寂しさを紛らわすという苦しみが感じられるようになっている。
かつて恋人と一緒に行ったところに、再び一人で行ったときに、その人がそこにいるのではないかという思いをした人も多いのではないか。
そういう気持ちをストレートに歌詞にしている。

曲はBeatCrusadersが提供したもの。
シンプルな歌詞にシンプルなギターのサウンドが非常にマッチしており、曲もかなりよいと思う。
途中でアコースティックギターを中心にしたサウンドにチェンジする仕掛けも、テーマが心に響くようにさせている。

曲中に出てくる二回の「どこかで会えるかな」の歌い方を変えているのも面白い趣向だ。

結構いい曲だと思うが、あまりテレビやCMなどで耳にしないのが残念だ。
木村カエラのイメージを変えて、さらに幅を広げるためにも、もっと世間に聞かせた方が戦略的にはよかっただろう。

ジャケットは、説明するのが難しい感じの、なかなか奇をてらったようになっている。
しかし、この曲は、美しい景色をテーマにしているので、「美しい雪景色」をジャケットに使った方がこの曲には良かった気がする。
雪山や森もちょびっと描かれているが。


もう一曲の方の「Ground Control」は、全編英語歌詞となっているノリのよい曲。
こちらはいつもの木村カエラらしいが、右から左に流れていくような曲だ。
頭の中で噛み締めるような深みはまるでない。決して悪い曲ではないが。

テーマ:邦楽CDレビュー - ジャンル:音楽

「フェイク/Mr.Children」レビュー 【音楽】

◆評価 7.5点

映画「どろろ」の主題歌となっていてサビの部分は耳にしている人も多いと思われるが、単なるノリのよいポップソングというわけではない仕掛けも用意されており、一筋縄でいかない曲だ。
全体で9分50秒を超える長い曲となっている。

評価としては面白い曲ではあるが、それほど深みのある曲ではない。
Mr.Childrenのベスト10に入ってくる曲ではないだろう。

ジャケットは、女性の真っ赤な口紅をつけた口と舌のドアップを写している。
マガイモノや胡散臭さ、「ただ腰を振り続けるよ」という歌詞に表れている卑猥さを醸し出すイメージなのだろう。

曲のイメージとしては、
虚しさや寂しさを抱えつつも表面上は飾り立てて生きている苦痛な日常から脱して、夢を掴もうとしても、結局掴むことのできるのはフェイク<マガイモノ>でしかないというやや悲観的な世界を描いている。

掴んだものがフェイクだとしても、それがフェイクであると気づいてしまったとしても、それが大切なものだと信じて生きていくしかないという、この世界を皮肉った歌詞が印象的だ。

歌詞の特徴としては、
「灰になっても」
「ハイエナのよう」
「ハイジャンプしよう」
と韻を踏んだ三段活用が面白い仕掛けとなっていて、よい味がでている。


曲が終わって、30秒程度のブランクの後にまた曲が続くというあまり見ない手法をとっている。
しかし、後半部分にははっきりした詞がなく、「Oh、Oh、フェイク」という桜井のボーカルが入る程度だ。
個人的には、前半部分とまったく違う曲調で、数フレーズ歌詞のある歌を入れ込んだ方が良かったのではないかと思った。
そうすれば、聴いている人は、前半部分は「フェイク」?だったのかと思うのではないか。
手法は面白いが、やや後半部分があまり活きてこない仕掛けかなというように感じた。


「ただ腰を振り続けるよ」の歌詞をみて、トムクルーズ主演の「バニラスカイ」を思い出した。本作のイメージは意外と「バニラスカイ」の世界と近いのではないだろうか。

前作「しるし」とは完全に正反対な曲となっている。
10年以上前になるが、Mr.Childrenは「Tomorrow never knows」の1ヶ月後に「everybody goes」を発表していることからも分かるように、バラードのあとには、正反対のポップソングを出して、イメージの固定化を避けているのが分かる。

「フェイク」は40万枚限定のシングルとのことだが、この歌ならば60万枚程度は売れるのではないか。
ビジネスとしてはやや勿体ない気がする。

テーマ:邦楽CDレビュー - ジャンル:音楽

「華麗なる一族(一話・二話)」レビュー 【ドラマ】

初回は金をふんだんにかけて、スケールの大きなドラマ作りを目指しているのが分かる。
人間ドラマを重視し、硬派な作りはTBSドラマらしさを感じる。

ファーストインプレッションは、やや堅すぎるなぁという印象も受ける。
目が肥えている人には受け入られるかもしれないが、あまり一般受けしない気もする。
しかし、一般受けを狙いすぎると、作品の質が下がるので、少なくとも今のラインを保って欲しい(このラインでも正直不満だが)。
一般人に分かりやすくするためナレーションを多用しているが、やや説明すぎると思う。

観ていて、特に気になったのは、北大路欣也(万俵大介)である。
個人的な印象としては、少し「弱すぎる」のではないかと思う。
彼は表面的にはもっと「強い男」であるはずだ。

大介の本質は、孤独な男であり、弱い男であることは間違いないのだろう。
妻の寧子もそれを十分理解している。
大介は、自分の父親に怯え、父親の影である鉄平に怯える男である。
どんなに頑張っても父親のようにはなれない、父親に勝てない苦悩もみてとれる。
大介にとって、大介の父は、追いかけても追いかけても届かない存在である。
その苦悩を初回からちょっと出しすぎてしまっているのではないか。
もっと小出し、小出しに彼の弱さを出していってもよかったのではないかと思われる。
正直言って、すでに鉄平に負けてしまっているかのような弱さも感じられる。
最初は威風堂々とした姿を描き、鉄平の越えるべき壁の高さを視聴者に受け付けるべきではなかったか。

たとえば、「将軍」をみたときにかなり憤りを表現していたが、そこまで感情を表に出さなくてもよかったように思われる。
言葉や単純な感情で語るのではなく、もっと複雑で諦めにも似た表情で視聴者に訴えて欲しかった。
観ていくうちに彼の苦悩が分かるような仕組みにすべきだっただろう。


原作も知らないし、ネタの真意も定かではないが、鉄平の出生の秘密も初回で出しすぎているのではないか。
仮に鉄平の父親が大介ではないにしても、初回では匂わす程度に留めないと後半の面白みは半減してしまう。
なぜ、万俵大介が鉄平を愛し、嫌うのか、その理由を10回のストーリーでこと細やかに描くべきだろう。
一般受けを狙って分かりやすくするために手の内を全部明かしてしまっている気がする。

木村拓哉に関しては、特にマイナス面は目立たなかったように感じる。
自分の個性を抑えて、万俵鉄平という情熱的で夢を追う男を単純に演じようとしている。
鉄平に関しては、まだ大介ほどの内面が見えてこないところだ、今後に期待。

鈴木京香や仲村トオルはさすがの存在感だ。
一癖も二癖もありそうなキャラクターを感じさせる見事な演技、存在感だ。
逆に、成宮寛貴のようなキャラクターは、「休日返上でスクラップを探していた」という行動は今の時代から考えると空々しく感じる。
冒頭の事故も含めて、この鉄工所パートにはどこかリアリティのなさを感じさせるのはマイナスだ。

テーマ:華麗なる一族 - ジャンル:テレビ・ラジオ

2007年1月クールドラマ視聴率結果(二話目等)

            初回   最新話 前話との対比 平均(予想平均)
1位「華麗なる一族」 27.7%  21.8%(▽5.9%) 24.8%(23.0%)
2位「花より男子2」  19.4%  19.2%(▽0.9%) 19.6%(19.0%)
3位「ハケンの品格」 18.2%  18.8%(▲0.2%) 18.5%(13.5%)
4位「エラい嫁」    16.1%  14.8%(▽1.3%) 15.5%(12.0%)
5位「東京タワー」   14.2%  14.9%(▽0.7%) 14.9%(16.5%)
6位「特命係長只野仁」13.4%  15.5%(▲2.1%) 14.5%(14.0%)
7位「わるいやつら」  13.6%  13.6% ( - )  13.6%(13.5%)
8位「拝啓、父上様」  12.9%  14.1%(▲1.2%) 13.5%(15.0%)
9位「ヒミツの花園」   14.7%  12.4%(▽0.7%) 13.4%(9.5%)
10位「今週、妻が浮気」 12.5%  10.8%(▽1.7%) 11.7%(14.0%)
11位「きらきら研修医」 10.4%  10.6%(▲0.2%) 10.5%(9.0%)
12位「演歌の女王」   10.9%   9.5%(▽1.4%) 10.2%(16.0%)

下落幅が著しいのは「華麗なる一族」。
木村主演作品の初回と二話目との比較は、「エンジン」が2.8%マイナス、「プライド」が2.9%マイナス、「グッドラック」が4.1%マイナス、「空から降る一億の星」が2.2%マイナス、「ヒーロー」が0.7%マイナス、「ビューティフルライフ」が3.4%マイナスとなっている。
「白い巨塔」は初回22.8%から1.2%マイナスの21.6%となっている。
木村主演のTBS9時枠(グッドラック、ビューティフルライフ)の場合は、通常も下げ幅がかなり大きいのが分かる。
しかし、今回は下げ幅がやや大きすぎるのが気になるところ。
「白い巨塔」の2話目と同じ程度だから、初回の視聴率が良すぎたともいえようが。
しかし、これ以上下げることがあったら、TBSと木村拓哉にとっては痛手となることは間違いない。
求められるハードルの高さには同情するが、今まで超えてきたハードルはやはり超えないといけない。

「特命係長」が2.1%増の15.5%と伸ばしてきた。
前作のマックスが16.0%であるから、ほぼ全盛期に匹敵する数字だ。
観た者を逃がさない魅力を備えて、さらに初回を観た者による口コミでアップしたのだろうか。
思わぬダークホースになるかもしれない。
この枠でかつ、テレビ朝日だからこそできる強みもあるのだろう。
自己の本分をわきまえているのが潔い。

「拝啓、父上様」も1.2%増、初回が低すぎたのではないか。
倉本脚本だから大きく外すこともないだろう。

米倉涼子主演作の「わるいやつら」は13.6%でスタート。
「けものみち」の初回が16.4%、「黒革の手帖」の初回が17.4%であることからしてみても、やや出足に躓いた印象だ。
悪くても15%前後でスタートしたかったところだろう。
木曜日9時から金曜日9時に移行したこともちょっとは影響したのではないか。
視聴者の狙い目としては、主婦、若い女性だと思うが、働いている若い女性は金曜日の夜は出掛けてしまう人が多いので、移行はプラスになるとは思えない。
「花より男子」のような働いていない若い女性をメインにした作品は影響がないのだろう。

「エラいところに嫁いでしまった」「ヒミツの花園(初回より2.3%減)」「今週、妻が浮気します」の三本が調子よく視聴率を落としていってる。
「エラい嫁」と「ヒミツ」は放送前予想視聴率に近づくものと思われる。
「今週妻が」が全く駄目だな。
一瞬も見てないのでジャッジできないが、ふざけ過ぎて視聴者に受け入られないのだろうか。

それよりも悪いのが「演歌の女王」。
ここまで下がったらもはや挽回は不可能。
11話を予定してるのであれば、1~2話分はカットされそうな勢いだ。

テーマ:テレビ視聴率 - ジャンル:テレビ・ラジオ

「アフターアワーズ」DVDレビュー 【映画】

◆評価 6.5点
◆分かりやすさ A
◆おススメ度 B+

人間キリストを描こうとした「最後の誘惑」の製作に行き詰まり、絶望していたスコセッシが気分転換のために、作成したのが本作。
DVDのメイキングによると、最初に声を掛けたスコセッシが「最後の誘惑」に取り掛かろうとしていたために、当時無名に近かったティムバートンに監督を依頼していたという作品でもある。
バートン版だと、夜のニューヨークの裏の顔というよりも、不思議な世界に迷い込んだファンタジー作品になっていたのだろうか。
本作は低予算、短期間で製作されたけれども、見事に86年のカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞している。

主人公ポールがスケベ心を出してニューヨークソーホー地区に出向いたことによって、次々とトラブル巻き込まれる悪夢のような話。
非現実的なストーリーでありながら、限りなくリアリティをもたせるようにしているのが特徴だ。
マーシーとの出会いは、「ドアをノックするのは誰?」と似ている。
雑誌や本を読んでいる相手に対して、声を掛けるのがスコセッシ流の出会いなのかもしれない。

【5人の女性】
主人公のポールで出会う女性は大きくカウントすると5人である。
・マーシー(自殺する女性)
・キキ(彫刻家)
・ジュリー(バーとコピー屋の店員)
・ゲイル(アイスクリーム運転手)
・ジューン(クラブの客)

上位の4名に対しては、ポールは酷い態度を取っていることが分かる。
昔の男を別れてポールと出直したいと考えていたマーシーからは、意味もなく(火傷を負っているのではないかという誤解で)逃げ出してしまい、彼女を自殺に追い込んでしまう。
バーのウェイトレスの仕事を辞めたいと言っていた似顔絵書きのコピー屋の女性ジュリーにも、はっきりした態度を取らず、結局怒らせてしまう。
本編ではカットされていたがアイスクリーム屋の女性ゲイルにも、「ニューヨークは人が多すぎて、怪物になってしまう」という話に対して、「引っ越せばいい」というような親身とはいえない差しさわりのない対応を取って、怒りに火を注いでいる。
電話を掛けるのを妨害しているイタズラをしているようにみえるが伏線があったのである。
ポールは上位4名には真摯に向き合わずに、トラブルにならないように逃げるという姿勢を取ることによってトラブルに巻き込まれるのが特徴である。
しかし、最後のクラブの客ジューンには、きちんと向き合って真剣に話をして、相手の立場や気持ちを考えているのが分かる。
個人的には、このポールの変化によって、彼はトラブルを脱することができたのではないかと思っている。

【ラスト】
ラストに関しては、強盗の車に乗せられて走り去るところでエンディングを迎えるという案もあったようである。
そうなると、かなり後味の悪さが残る作品になってしまう。
トラブルに巻き込まれて、それが解決されることなく、助けられることもなく、悲劇的な結末を迎えるというのが、スコセッシの一種のリアリズムなのかもしれない。
劇的な出来事によって、彼が助かるという「ハリウッド映画」らしいハッピィーエンディングはスコセッシの好みではなかったのだろう。
しかし、プロデューサーや試写会の反応によって、エンディングを付け加えることに踏み切ったようである。

個人的には、ポールが助かるというエンディングへの改良は正解だと思う。
やはり序盤のポールと終盤のポールの変化が見て取れるからだ。
人々を適当にあしらうのではなく、真剣に対応するようになったポールにはやり直すチャンスを与えてもよいのではないか。
彼の罪に対する罰としてはこの辺りがちょうどよい。

また、会社前で強盗の車から脱しそのまま会社へ出勤するというのは、ユーモアを感じられるとともに、もう一点の意味を付加しているようにも感じる。
冒頭のポールは自分の仕事(ワープロ技師)に飽き飽きとしているのが見て取れる。「こんな仕事やってられるか」という態度がにじみ出ている。
しかし、一夜の悪夢のような出来事を通して、平凡でトラブルもない日常に幸せがあるということをポールは認識できるのではないか。

スコセッシが考えついたラストではないようだが、一夜の出来事と平凡な日常との対比ができる意味で悪くないラストだと思う。

本作にはつまらないと思う要素は少なく、「どうなっていくんだろう」と観客に思わせる面白さはあるが、突き抜けた面白みもなければ、突き抜けた深みもないのが若干のマイナス要素である。
他の監督だったら、万人が純粋に楽しめる非現実的なトラブルコメディ作品に仕上がっただろう。
本作にとっては、スコセッシが監督した方が良かったのか、悪かったのか、なんとも言いようがない。
プラスにもなったし、マイナスにもなったというのは間違いないだろう。

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

アカデミー賞ノミネート発表 【映画】

アカデミー賞ノミネート作品が発表となった。
12月末に自分が予想したものと比べてコメントしたい。
(注)◎個人的な本命 ○個人的な対抗

【作品賞】
◎クィーン、○バベル、ディパーテッド、硫黄島からの手紙、リトルミスサンシャイン
[落選作品(12月時の予想が外れた作品)]
父親たちの星条旗、ドリームガールズ、ユナイテッド93
※「父親たち~」の落選は「硫黄島~」のどちらかがノミネートされると思っていたので、一本ノミネートされたので問題ない。
「ユナイテッド93」も監督賞でノミネートされたので、読み自体は間違ってなかった。
納得できないのが「ドリームガールズ」の落選。
「ドリームガールズ」は、ゴールデングローブ賞(GG賞)では「リトルミスサンシャイン」を破って作品賞を受賞したのだから、GG賞とは真っ向から意見を異にしたといえる。
去年もGG賞で作品賞を受賞した「ウォークザライン」がアカデミー作品賞からは落選していたが、コメディ部門の作品賞にノミネートされた他の作品もアカデミー賞にノミネートされていなかったので仕方がない。
「リトルミスサンシャイン」が悪い作品と思う人は少ないと思うが、それほど高レベルの作品とも思えなかった。
家族をテーマにした作品を一本ノミネートしておきたいというアカデミー賞の良心ともいえるが。
個人的には、大穴で「クィーン」を押したい。
「ディパーテッド」はリメイク作品というマイナス材料もあるが、それほど高レベルの映画でもないと思われる。ディカプリオ、ニコルソンの落選もプラスにはならない。
「硫黄島~」はさすがにイーストウッド作品がそうそう何回も受賞しないだろう。日本語作品という問題もある。
「リトルミスサンシャイン」はややインパクトやパワーに欠ける。監督賞にノミネートされていない作品は厳しいだろう。
そうなると、「バベル」と「クィーン」の一騎打ちと考えられる。
「バベル」は、作品の内容、雰囲気は全く違うが、「クラッシュ」とどこか似ている作品だ。二年連続でオムニバス映画が受賞するとは思えない。
「クィーン」はイギリス系の映画ではあるが、アカデミー賞では「ガンジー」や「炎のランナー」などのイギリス映画が受賞している例はある。


【監督賞】
◎マーティンスコセッシ(ディパーテッド)、○アレハンドロゴンザレスイニャリトゥ(バベル)、スティーブンフリアーズ(クィーン)、クリントイーストウッド(硫黄島からの手紙)、ポールグリーングラス(ユナイテッド93)
[落選者(12月時の予想が外れた者)]
ビルコンドン(ドリームガールズ)
※ビルコンドンの代わりにグリーングラスが入っただけの予想通りの結果。
ビルコンドンはGG賞でもノミネートされておらず、演出で何かミスったのか。
それとも監督としては、やはりキャリア不足か。
混戦を利して、スコセッシが念願のオスカーを取りそうだ。
しかし、「バベル」でモロッコ、メキシコ、日本という三つのストーリーを一本にまとめあげた手腕を評価されアレハンドロゴンザレスイニャリトゥに足元をすくわれる可能性もありそうだ。


【主演男優賞】
◎フォレストウィテカー(The Last King of Scotland)、レオナルドディカプリオ(ブラッドダイヤモンド)、ウィルスミス(幸せのちから)、ピーターオトゥール(Venus)、ライアンゴスリング(Half Nelson)
[落選者(12月時の予想が外れた者)]
レオナルドディカプリオ(ディパーテッド)
※フォレストウィテカーの対抗馬とされていた「ディパーテッド」のレオナルドディカプリオが、「ブラッドダイヤモンド」のレオナルドディカプリオに敗れる波乱が起きた。
GG賞で主演男優賞(コメディ部門)を受賞した「ボラット」のサシャバロンコーエンのサプライズノミネートはさすがになかったのがアカデミー賞の良心だろう。
ジョニーデップも今回はさすがにノミネートはなかった。
黒人であるがフォレストウィテカーは鉄板だろう。


【主演女優賞】
◎ヘレンミレン(クィーン)、ペネロペクルス(ボルベール<帰郷>)、メリルストリープ(プラダを着た悪魔)、ジュディデンチ(Notes on a Scandal)、ケイトウィンスレット(Little Children)
[落選者(12月時の予想が外れた者)]
アネットベニング(Running with Scissors)
※3度のアカデミー賞主演女優賞ノミネート経験があるアネットベニングが泡沫候補としてノミネートされるかと思ったが、今回で4度目の主演女優賞ノミネート、2回の助演女優賞ノミネート(一度の受賞)経験のあるジュディデンチに敗れた。
いい加減ジュディデンチはもういいだろうと思って、アネットベニングがノミネートされると思ったのだが予想は外れた。
上に上がいるもので、メリルストリープは、今回で11回目の主演女優賞ノミネート(受賞1回)、3回の助演女優賞ノミネート(受賞1回)となった。
しかし、誰がノミネートされようが、ヘレンミレンは鉄板。


【助演男優賞】
◎アランアーキン(リトルミスサンシャイン)、○エディマーフィー(ドリームガールズ)、ジャイモンフンスー(ブラッドダイヤモンド)、マークウォルバーグ(ディパーテッド)、ジャッキーアールヘイリー(Little Children)
[落選者(12月時の予想が外れた者)]
ブラッドピット(バベル)、ジャックニコルソン(ディパーテッド)、ベンアフレック(Hollywoodland)、アダムビーチ(父親たちの星条旗)
※予想した5名のうち4名が落選してしまった。
大本命はGG賞を受賞したエディマーフィーだと思うが、逆らってみたい。
「リトルミスサンシャイン」が作品賞にノミネートされた意味を考えて、大穴でアランアーキンを押したい。
「ディパーテッド」組ではニコルソンではなくて、ウォルバーグがノミネートされるとは思わなかった。
出番が少ない中でキラりと光る存在感を示したことには示したが、ノミネートされるほどの演技だっただろうか。
ベンアフレックやブラッドピッドもアカデミー賞だと簡単にはノミネートとはいかなかったようだ。


【助演女優賞】
◎ジェニファーハドソン(ドリームガールズ)、○菊地凛子(バベル)、ケイトブランシェット(Notes on a Scandal)、アドリアナバラッザ(バベル)、アビゲイルブレスリン(リトルミスサンシャイン)
[落選者(12月時の予想が外れた者)]
キャサリンオハラ(For Your Consideration)
※ほぼ4枠は固まっていたので、5枠目に誰をノミネートするのかと思っていたら、「リトルミスサンシャイン」の子役アビゲイルブレスリンが選ばれた。
結果的には、子役、黒人、日本人、メキシコ人、大物女優という多彩で個性的なメンバーになった。
「ドリームガールズ」が作品賞から外れたことによって、菊地にとってはチャンスにも不利にもなったような気がした。
「ドリーム~」の評価が下がれば、菊地にも評が集まるようにも思うが、「ドリーム~」にはこの賞だけは受賞させようという流れにもなるかもしれない。
いずれにせよ、やはり菊地にはちょっと厳しいような気がする。


○アニメーション賞
◎カーズ、○ハッピーフィート、モンスターハウス
※GG賞と同じ三者の争いとなった。しかし実質はペンギンと車の一騎打ち。
当初は、ミュージカルを取り入れるというアニメの幅を更に広げた一風変わった「ハッピィーフィート」に軍配が上がるかと思ったが、作品の質がとても高い「カーズ」がやはりきちんと評価される気がした。

【その他の賞】
「トゥモローワールド」が脚色賞、撮影賞、編集賞にノミネートされた。
これで撮影賞取れなかったらアカデミー会員はフシアナだろう。

外国語映画賞では、「ボルベール<帰郷>」が落選したのは、ちょっと驚いた。
そうなると「パンズラビリンス」が受賞するのか(計6部門にノミネートされている)。
それとも他国の小作が受賞するのか、若干注目である。
システムはきちんと理解していないが、「硫黄島からの手紙」はこの賞の資格がないのだろう。
日本代表としては「フラガール」があるわけであり、それぞれの国の代表が戦う場という認識をもっている。


テーマ:第79回アカデミー賞 - ジャンル:映画

「ドアをノックするのは誰?」DVDレビュー 【映画】

◆評価 6.0点
◆分かりやすさ B-(ストーリーは単純だが漠然としたところもある)
◆おススメ度 B(スコセッシの長編デビュー作として貴重)

スコセッシの長編デビュー作として有名な本作。
当初は、スコセッシの卒業制作として製作されたものである。
その後、タイトルを何度も変更し、最初の撮影から何年も経て、一般公開に辿り着いたようだ。

白黒作品で、内容的にはかなり荒削りながらも、スコセッシの才能が感じられる作品となっている。
セリフはそれほど多くはなく、演出や音楽によって雰囲気を伝えようとしているのが特徴だ。
超アップで取られたラブシーン、巧みなカメラワーク、スローやリバース、カットバックというような工夫にも見応えがある。

なによりも気に入ったのは、イタリア系のチンピラのリアルな日常を切り取った作品に仕上がっている点だ。
見方によって飽きるかもしれないが、恋人とのジョンウェインに関する話題や、仲間内とのくだらない馬鹿騒ぎや山登りなどは、特異なドラマがあるわけではなく、極めて日常的なリアルな仕上がりを目指しているのが分かる。

ストーリーは、①JRの仲間内とのやり取りと、②JRとひとりの女性との付き合いを、並行的に描いている。
②の関係の変化によって、①の関係が微妙な変化していくのが面白くなっている。

しかし、②の関係も、結婚するまで待ちたいと思うJRと、過去に乱暴された経験をもつ女性との貞操観念の違いによって、二人は別れてしまうことになる。
ここにも劇的な展開によって二人が再び結ばれることもない。
JRが吐いた「許す」という言葉に激しく拒否反応を示す女性もリアルな反応だ。
JRの潜在的な思想・意識によって、女性の過去の出来事は二人にとって消え去ることの出来ない棘(とげ)となるのは間違いない。
大きなドラマや夢のようなストーリーはないけれども、人間の本質的な陰の部分を捉えた作品でもある。

考えてみれば、彼らの出会いにおいても劇的なドラマはないのだ。
フェリー乗り場で、たまたま同じベンチで隣り合った二人が、映画の話題で意気投合するだけである。
男女の出会いとしては、極めてリアルな描き方をしている。

後撮りしたと言われているJRと娼婦のやり取りが多少過度に演出されているが、「リアルに描くこと」はスコセッシにとっての宿願、出発点なのではないかと思わせる作品だ。

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

ゴールデンラズベリー賞ノミネート作品発表 【映画】

最高の映画を決めるのが「アカデミー賞」ならば、最悪の映画を決めるのが「ゴールデンラズベリー賞(通称ラジー賞)」である。
ある意味ではアカデミー賞並みに注目とすべき賞でもある。
例年日本未公開作品が多くノミネートされ、受賞することが多く、純粋に楽しむことができないのが残念だ。
日本でも真似して「きいちご賞」として発表されている。
今年は「ゲド戦記」が1位を獲得したところである。

今回のノミネートは以下の通り。

【ワースト作品賞】
「氷の微笑2」「ブラッドレイン」「レディインザウォーター」「LITTLE MAN」「ウィッカーマン」
※ノミネートされた5作品が他の関連賞にも多くノミネートされており、トップ5を形成している模様。
個人的には「LITTLE MAN」といった、観た者の誰もがくだらないと思うだろうと製作者が考えて作った作品よりも、真剣に映画生命を賭けて真面目に作られたけど、結果的にメチャクチャな内容の作品になってしまった映画に受賞させた方がよいと思う。
そういう意味ではやはり「氷の微笑2(未見)」ではないだろうか。
「レディインザウォーター」は観る人によってクダラナイと思うだろうが、個人的には嫌いではない作品。
日本でも既に公開された「ブラッドレイン(未見)」のような地味な作品もあまり面白くない。
「ウィッカーマン(未見)」はオリジナルが元々メチャクチャな作品だから、責めても仕方ないのではないか。


【ワースト主演男優賞】
ティムアレン「サンタクローズ3/クリスマス大決戦!」「シャギードッグ」「Zoom」
ニコラスケイジ「ウィッカーマン」
ラリーザケイブルガイ「LARRY THE CABLE GUY: HEALTH INSPECTOR」
ロブシュナイダー「がんばれ!ベンチウォーマーズ」と「LITTLE MAN」
マーロンウェイアンズとショーンウェイアンズ「LITTLE MAN」
※ティムアレンが3本ノミネートと頑張っている。
「LITTLE MAN」関係者もこぞってノミネートされており、混戦となっている。
アカデミー賞主演男優賞受賞者(リービングラスベガス)のニコラスケイジが知名度を利して制するかも注目である。


【ワースト女優賞】
ヒラリーダフとヘイリーダフ「マテリアルガールズ」
リンジーローハン「ラッキーガール」
クリスタナローケン「ブラッドレイン」
ジェシカシンプソン「EMPLOYEE OF THE MONTH」
シャロンストーン「氷の微笑2」
※上位4名はほとんどモデルかアイドルで本格的な女優ではない。
彼女らが受賞しても面白くもなんともないだろう。
もともと彼女らに高度な演技は期待されていない。
やはりアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた経験(カジノ)のあるシャロンストーンのような大御所が受賞しないと面白くない。


【ワースト助演男優賞】
ダニーデヴィート「DECK THE HALLS」
ベンキングズレー「ブラッドレイン」
Mナイトシャマラン「レディインザウォーター」
マーティンショート「サンタクローズ3/クリスマス大決戦!」
デヴィッドシューリス「氷の微笑2」と「オーメン」
※サーベンキングスレーはアカデミー賞主演男優賞受賞者(ガンジー)。
ちゃんと出演する作品を選びましょうと警告する意味でも彼に受賞させたら面白いと思う。
または、シャマランに受賞させて、出演に対して諌めるのも面白いかもしれない。


【ワースト助演女優賞】
ケイトボスワース「スーパーマンリターンズ」
クリスティンチェノウェス「DECK THE HALLS」「ピンクパンサー」「RV」
カーメンエレクトラ「DATE MOVIE」と「SCARY MOVIE 4」
ジェニーマッカーシー「JOHN TUCKER MUST DIE」
ミシェルロドリゲス「ブラッドレイン」
※言われてみれば少し浮いていたかもしれないが、ボスワースそれほど悪かったかな。
どちらかといえばブランドンラウスをノミネートさせた方がよいのではないか。


【ワーストスクリーンカップル賞】
ティムアレンとマーティンショート「サンタクローズ3/クリスマス大決戦!」
ニコラスケイジと彼の熊スーツ「ウィッカーマン」
ヒラリーダフとヘイリーダフ「マテリアルガールズ」
シャロンストーンのつりあいの取れてない胸「氷の微笑2」
ショーンウェイアンズと、ケリーワシントンもしくはマーロンウェイアンズ 「LITTLE MAN」
※ニコラスケイジとかシャロンストーンとかのこういうメチャクチャなノミネートは面白い。
たぶん「LITTLE MAN」か「サンタクローズ3」が受賞するだろう。


【ワーストリメイク作品賞】
「LITTLE MAN」「ピンクパンサー」「ポセイドン」「シャギードッグ」「ウィッカーマン」
※これはさすがに「LITTLE MAN」で決まりでしょう。


【ワースト続編賞】
「氷の微笑2」「ビッグママハウス2」「ガーフィールド2」「サンタクローズ3/クリスマス大決戦!」「テキサスチェーンソービギニング」
※これもさすがに「氷の微笑2」で決まりでしょう。


【ワースト監督賞】
ウーヴェボル「ブラッドレイン」
マイケルケイトンジョーンズ「氷の微笑2」
ロンハワード「ダヴィンチコード」
Mナイトシャマラン「レディインザウォーター」
キーネンアイヴォリーウェイアンズ「LITTLE MAN」
※ロンハワードにどうしても受賞させたい賞。
どう考えても「ダヴィンチコード」の作り方は間違っている。
膨大な原作のほとんどを2時間の映画に取り込もうとした、あの作り方は映画人として一番やってはいけない方法だ。


【ワースト脚本賞】
「氷の微笑2」「ブラッドレイン」「レディインザウォーター」「LITTLE MAN」 「ウィッカーマン」
※それにしても「レディインザウォーター」以外の作品はいったいどんな酷い作品なんだろうか。


【Worst Excuse for Family Entertainment】
(ファミリー向け映画だからというとんでもない言い訳をされてしまう作品賞)
「DECK THE HALLS」「ガーフィールド2」「RV」「サンタクローズ3/クリスマス大決戦!」「シャギードッグ」
※毎年その年だけに新設される特殊な賞。
去年はそういう作品が特に目立ったのだろう。

テーマ:賞レース - ジャンル:映画

国内映画興行収入ランキング(1月3週目)

1位となったの「ディパーテッド」。
自分が観た回の入り具合から、ひょっとしたら「マリーアントワネット」に敗れることがあるかもしれないと思っていたが、なんとか振り切ったようだ。
さすがに、このキャスティングで負けられないところだろう。
全米興行収入では、「ディパーテッド」が約121百万ドルで、「マリーアントワネット」が約16百万ドルと、約7.5倍程度の差をつけているのだから。
上映時間の長さ、重さ・堅苦しさ、微妙な評価などによって興行収入面では苦戦しそうだが、アカデミー賞に多数ノミネートされれば、数週間の上位キープは可能か。


2位となったのが「マリーアントワネット」。
文化的な作品でありながら、軽さもあり、オシャレ度も高いという日本人好みの作品だ。
自分が鑑賞したときは日劇PLEX1(キャパ948名)がほぼ満員となった。
日劇PLEX3(キャパ524名)の予定を変更して、PLEX1で公開したのは吉と出たようだ。
作品の評価は別として、興行面では成功したといえよう。
評価が悪いので、長期に上位をキープするのは難しいと思われる。


6位に入ったのは「それでもボクはやってない」。
「Shall We ダンス?」で有名な周防正行監督の11年ぶりの最新作。
微妙な順位であるが、個人的には大健闘しているという印象だ。
東京都内では21館のみの公開で、それほど大きなハコではないこと、キャスティング、やや堅苦しい内容、143分という上映時間といった不利を跳ね返しての健闘だ。
本作の高評価が興行収入面の高さを支えているのだろう。


8位は「僕は妹に恋をする」。
東京都内では8館のみでの公開。
渋谷や銀座・有楽町では公開していないにも関わらず、8位に食い込んだのは流石だ。
公開前から話題になっていただけはある。
恐らく公開した全館数で高稼働したのだろう。
しかし、あまり評価は高くないようである。
下位ではあるが、数週間はトップ10内をキープできるのではないか。


「ラッキーナンバー7」はわずか1週間で退場。
エラゴン、007カジノロワイヤル、犬神家も圏外へ消えた。

次週は、妻夫木聡、柴咲コウ主演、手塚治虫原作の「どろろ(PG-12)」と
ウィルスミスとその息子が出演している「幸せのちから」が登場。
「フリーダムランド」というジュリアンムーア、サミュエルLジャクソン主演作が公開されるが、東京では1館のみの公開。

「どろろ」はあまり大きなハコでやらないのが気になるが、ミスチルのテーマソングもなかなかノリもよく、話題カップル、話題作でもあり上位で登場しそう。
似た作品の「SHINOBI」は4位に登場し、トータルで14億円稼いでいる。
本作は制作費20億円といわれているから、「SHINOBI」の倍程度は稼ぎたいところだ。

「幸せのちから」は日本では結構当たりやすい親子感動モノなので、外しはしないだろう。
ウィルスミス作品「最後の恋のはじめ方」は7位に登場しているのは気になるが、ウィルスミスの人間ドラマは日本でも当たると思う。


<次週予想順位>
予想(今週) 自己評価 タイトル
1(-) ▲「どろろ」
2(-) ◎「幸せのちから」
3(1) 済「ディパーティド」
4(2) 済「マリーアントワネット」
5(3) 済「硫黄島からの手紙」
6(6) △「それでもボクはやってない」
7(4) ×「愛の流刑地」
8(7) △「武士の一分」
9(8) ×「僕は妹に恋をする」
10(5) ×「モンスターハウス」

[自己評価]
◎ 絶対観たい作品
▲ DVDか映画サービスデイだったら観たい作品
△ 映画館では観ないけどDVDだったら観るかもしれない作品
× 観ることはないでしょうの作品
済 鑑賞済み作品

テーマ:興行収入ランキング - ジャンル:映画

「不都合な真実」レビュー 【映画】

◆評価 7.0点
◆分かりやすさ A-(かなり分かりやすく解説されている作品)
◆おススメ度 B+(賛成、反対あるかもしれないが知っておくべき内容)

1月20日土曜日、日劇PLEX3(キャパ524名)にて観賞。
半分以上は入っていたと思う。

全米興行収入は約24百万ドル。
地球温暖化の仕組みを理解できるのとともに、一人の情熱的な政治家の生き様を知ることができる作品。
ただの環境ドキュメンタリーではなく、大きな柱(温暖化の仕組み・男の生き様)が二本しっかりと立っているのが本作の良さである。

非常に分かりやすく地球温暖化のシステムをスライド、グラフ、映像、言葉といった多角的な方法で訴えているのが印象的だ。
何千回というべきスライド講演の末に辿り着いた姿ともいえる完成品だ。
この講演は、努力、熱意、情熱、血と汗の結晶のようだった。
ゴアのユーモアを交えた軽妙な語り口も話を分かりやすくしている。
彼も立派な役者だと感じられる。

環境論者の意見は集約されていないといった反対意見にも耳を傾け、様々に検証しているのは好感がもてるところだ。
ゴアに関して異常なほどの環境バカとブッシュが反論している声も取り上げているのは彼の自信の表れだろう。

しかし、地球温暖化はやっかいな問題だ。
直接に目にみえる問題ではないため(目にみえるように解説されていたが)、世界が積極的に動くことは難しい。
本件に対処するためには、世界規模で、国・自治体、メーカー、消費者の三者が一体となって取り組まなくてはいけない問題なのだろう。
そうはいっても、経済問題などもあり単純に解決できない問題も孕んでいるのも事実だ。
裕福な国がゴリ押しするだけでは上手くいきようもない問題である。

申し訳ないが、本作を観ても長期的な規模・視野で対処しなくてはいけない問題ではあるが、「今そこにある危機」というような緊急な危機感を抱くほどではなかった。
どこかの大都市が海に浸かる直前まで国や世界が大きく動くことはなさそうだ。
何かが起きなければ、何も行動しない。人類の愚かさとはそういうものだろう。

個人的には、常々より省エネ商品を購入したり、冷暖房の温度は高め・低めに設定しているので、個人としてはこれ以上行動の取りようもないというのがこの問題のやっかいなところだ。
人々が小さいところから意識を変えることができれば、大きな力となるかもしれない。

エンドクレジットのテロップはやや押し付けがましいかなとも感じた。
分かり易さを狙ったストレートなメッセージなのだろうが、もう少し知的かつ心に訴えるような感じでまとめて欲しかったところだ。

本作をまるごと鵜呑みにしてもよいし、しなくてもよいが、こういった事実を直視し、自己の考えをまとめておくことは必要なことだろう。
地球温暖化が叫ばれている中で、温暖化の仕組みを理解し、自己の考えを補強する一助になることは間違いない作品である。

テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

「ディパーテッド」レビュー 【映画】

1月21日の日曜日。サロンパスルーブル丸の内(キャパ470名)で鑑賞。
半分程度の人の入り。

鑑賞したものの、軽度の腹痛に襲われ、全く集中して見ることができなかったので、評価は控えたい。
公開中にもう一度体調がよい時に見直したい。
それにしても色々な意味で長いと感じた映画だった。
体調不良ながらも最後まで見続けたが、それほど高評価できないかもというのが、ファーストインプレッションだ。
アメリカでは、なぜここまで評価されているのだろうか。
オリジナルを知っていると純粋に楽しめないのかもしれない。
オリジナルとは別物であるが、はっきりいって基本的なストーリーは同じであるため、先が読めすぎてしまう。

オリジナルには、アンディラウの善人になりたいけど、悪の世界が足を引っ張り続ける無間地獄の思想が反映されていたが、本作には一本筋の通った思想がない気がする。
裏切りや疑念などそれぞれの思惑が交差し、もっと混み入ったものにしてもよかったかもしれない。
違う方向に話を膨らましすぎて、ラストはまとまりが悪くなったかなとも感じた。

マットデイモンはあまり感情を表に出さず、落ち着いた感じの演技をしていたが、本作ならばもっと感情を表に出してもよかったのではないか。
ジェイソンボーンとは違うのだから。
他人の迷惑を省みずにエレベーターを止めたり、恋人の子ども時代の写真を飾るのを拒否したり、議事堂前近くの住居を購入したりと、彼の性格はかなり理解できるのだが、もう少し表情や言葉でも語ってほしかった。

ディカプリオ、ニコルソンも良かったし、ウォルバーグもなかなか熱演しているようにも感じた。

いずれにせよ、近いうちに再見したい。

テーマ:ディパーテッド - ジャンル:映画

全米映画興行収入ランキング(1月3週目) 【映画】

順位(先週)公開週 タイトル (公開館数) 興行収入 (トータル収入)
1(1)2週目 「Stomp the Yard」(2051館) $13,300,000($41,564,000)
2(2)5週目 「ナイトミュージアム」(3483館) $13,000,000($205,839,932)
3(4)6週目 「ドリームガールズ」(2214館) $8,711,000($78,118,000)
4(-)1週目 「The Hitcher」(2835館)  $8,233,872($8,233,872)
5(3)6週目 「幸せのちから」(3066館) $6,700,000($146,511,000)
6(5)3週目 「Freedom Writers」(2286館) $5,564,000($26,882,000)
7(16)4週目 「パンズラビリンス」(609館) $4,500,000($9,930,171)
8(6)5週目 「トゥモローワールド」(1524館) $3,733,800($27,514,363)
9(24)17週目 「クィーン」(1586館) $3,700,000($35,857,000)
10(9)2週目 「Arthur et les Minimoys」(2248館) $3,105,000($9,296,408)
(参考:IMDbのボックスオフィス)

「Alpha Dog」は2週目にして11位に転落。
訴訟のためゴタゴタがあり公開が伸び伸びとなっていた作品のようだ。
予告を見る限り結構面白そうな感じだったが、日本公開は微妙なところ。
ソダーバーグ監督の「グッドジャーマン」の順位は今のところ不明。
先週は23館で44位だったが、どこまで公開規模を拡大したのだろうか。

相変わらず今週も低調なボックスオフィスとなった。
1位は前週に続き、黒人俳優による青春ダンスムービーが連覇。
6~7千万ドルは稼ぎそうな勢いだ。
恐らく低予算映画と思われるが、これだけ稼げるとなると、この手の映画は来年以降増えてきそうだ。
二番煎じ、三番煎じが絶対出てくるはずだ。

2位のナイトミュージアムは見事に2億ドルを突破。
2005年のコメディ作品「ウエディングクラッシャーズ(約209百万ドル)」を抜くのは確実で、約218百万ドルの「ダヴィンチコード」も突破するだろう。
「X-Menファイナルディシジョン」や「宇宙戦争」並みの2億3千万ドルも超えてきそうだ。
どこまで伸ばすだろうか。
ここまで稼いだ作品が日本でどのような扱いになるのかが楽しみだ。

3位の「ドリームガールズ」はゴールデングローブ賞作品賞、助演男優賞(エディマーフィー)、助演女優賞(ジェニファーハドソン)を獲得して、先週よりも若干伸ばしてきた。
1億ドル突破は確実と思われるが、爆発的なヒットというわけではない。
アカデミー賞ノミネートでさらに弾みをつけることができるだろうか。
日本公開は2月17日。絶対観にいくつもり。

4位の「The Hitcher」は、ショーンビーン主演のリメイクホラー。
監督は日本では無名だが、テレビで活躍している監督らしい。
アメリカでの評価はイマイチ。日本公開も微妙だな。

7位の「パンズラビリンス」は賞レースでも顔を出す高評価のメキシコ映画。
IMDbの評価では「トゥモローワールド」の8.1ポイントを上回る8.4ポイントをマークしている。
2006年公開作品としては「ディパーティド」の8.2を抜き、トップになる可能性が高い。
アカデミー賞外国語賞にもノミネートの最終選考に残っている。
ひょっとしたら本命の「ボルベール<帰郷>」を破る快挙もあるかもしれないが、ファンタジー作品だから厳しいだろうな。
監督は、ギレルモ・デル・トロ。
「ヘルボーイ」、「ブレイド2」、「ミミック」が有名な監督。
「ヘルボーイ」は鑑賞したが、個人的にはややチープさが目立ち、それほど評価はしていない。
「ヘルボーイ2」の作成もこの監督によって進められているようだ。
本作は絶対見に行きたい。
本作がよければ「ヘルボーイ2」も観にいくと思う。

9位の「クイーン」も先週344館の135万ドルから、公開規模を拡大してトップ10に食い込んできた。
既に公開17週目に入り、興行収入も約36百万ドルに達している。
ゴールデングローブ賞作品賞では敗れたが「バベル」の約24百万ドルを上回るものだ。
鑑賞していないが、個人的にはアカデミー賞の本命だと思っている。
IMDbでも7.7ポイントと高評価を受けている。
監督はスティーブンフリアーズ。
「靴をなくした天使」「ハイフィデリティ」などで有名な監督だが、過去にこの監督作品を自分は一本も観たことがなかった。
公開されたら絶対観たい作品。

10位にはしぶとくリュックベッソンのアニメが踏みとどまっている。
主演や声優陣にはフレディハイモア、ミアファロー、ロバートデニーロ、マドンナ、ハーヴェイカイテルなど多彩だったが、失敗に終わった。
次週には消えるだろう。最終的には2千万ドル程度だろうか。

次週には、「ナーク」で注目を集めトムクルーズの目にとまり、「ミッションインポッシブル3」の監督に抜擢(その後降板)されたジョーカーナハンの新作「Smokin' Aces」が登場。クライムコメディーのようである。
その他にはジェニファーガーナーのコメディ、有名映画のパロディ満載の作品「Epic Movie」が登場。
「Epic Movie」はアメリカ人が好みそうな作品だ。
これが1位を取るのだろうか。

テーマ:興行収入ランキング - ジャンル:映画

「マリーアントワネット」レビュー 【映画】

◆評価 3.5点
◆分かりやすさ A-(マリーアントワネットの生涯を知っていれば極めて分かりやすい)
◆おススメ度 ×(あらゆる人にもおススメできない)

日劇PLEX1(キャパ948名)にて観賞。ほぼ満席近かった。

ソフィアコッポラ監督の最新作。キルスティンダンスト主演作。
カンヌでも評価されず、全米興行収入はたったの約16百万ドルに留まった。
カンヌでもアメリカでも評価されなかった本作だったが、映画を観ればその理由が分かる。
マリーアントワネットの生涯の表面すら描かれておらず、ましてや内面もほとんど描かれていない。

ラストにいたっては、高級食材をなぜかホイップクリームでデコレートした挙句、ようやくホイップクリームを食べ終えて、高級食材にたどり着いたと思ったら、いきなり皿を片付けられてしまったという感覚を味わった。

演出は驚くほど平凡だ。
たんたんと進み、起伏もないストーリーには観ていて飽き飽きする。

本作を観るとオペラでは拍手をしないことが慣わしのようだが、
・鑑賞後にマリーアントワネットが一人で拍手し、他の観客が追随するシーン(マリーアントワネットの奔放さと人気が分かるシーン)と、
・晩年の誰もマリーの拍手に追随しなかったシーン(マリーが皆から嫌われているのが分かるシーン)
の対比と、
暴動が起きても、慣習に従い二人で豪勢な食事をするシーン(慣習を揶揄している)以外は
ほとんど観るべきところがない映画だ。
したがって、ヴェルサイユ宮殿やファッション、靴、髪型など以外には楽しみようがない。

【ストレンジャー(よそ者)】
「ロストイントランスレーション」と同じようにソフィアコッポラ監督はストレンジャーを描こうとしたように感じる。
写真家の旦那についてきて東京に一人残される「ロスト~」と、
オーストリアからフランスへ一人で嫁いでくる本作は、構造的には似ている。
どちらも旦那にあまり構ってもらえない点においても近いものがある。

「ロスト~」には、悲痛なほどの孤独感が描かれているが、本作には孤独もなければ、疎外感もない。
マリーが、ぼんやりと外を眺めたり、ぼんやりと入浴したり、子どもを産まないことによる誹謗中傷に苦しみ、泣き崩れるシーンなどは描かれてはいるものの、それが上手く伝わってこないのが問題だ。
「孤独」は本作のテーマでもあるはずだ。
彼女が夜会、散財、ギャンブルにのめり込む様になったのも、「孤独」や「誹謗中傷に対する苦痛」を紛らわすためと解釈するのならば、「ストレンジャー」としての苦痛・苦悩をもっときちんと描くべきだった。
「ロスト~」を見る限り、それができる監督ではなかったか。

描き方が中途半端すぎるために、本作では、ただの金持ち女が好き勝手に散財し、旦那がつまらない男だからとカッコいい男と不倫しているワガママ女にしか見えない。
本作ではマリーの人生が平坦に映る。
頂点を極めたようにも映らなければ、落下の一途をたどったわけでもない。
政略結婚のために、分別もつかない14歳という年齢で両親と別れ、味方もいない見知らぬ土地で不幸せな人生に歩まざるを得なかった女性の悲劇という点はほとんど感じられない。
単なる一人の若いティーンエイジャーを描きたかったのかもしれないが、その視点でみてもやはり足りない。


【生涯を描く意味】
マリーアントワネットはギロチンで有名だが、本作はそこまで描かない。
描かないというのは一種の賭けであるが、ある意味では間違っていない手法である。
中途半端に描くくらいならば、放棄するのはあり得る選択肢だろう。
本作でもギロチンを描けば、あと2時間くらいは必要なネタであるから、描かない方がよかったかもしれない。

しかし、そういう重要なことを描く代わりに、どうでもいいことを描きすぎて、なにもかも中途半端に描いてしまったのが本作の失敗である。
描くべきところはやはりもっときちんと描くべきだった。
母親マリアテレジアとの文通もマリーにとってはもっと重要なキーワードであるし、息子・娘の死も描き方が唐突で分かりづらい。
フェルセン伯爵も、ただの女好きとしか描かれていない。
ギロチンまでは描かなくても良いが、少なくともヴァレンヌ事件(ルイ16世とマリーがフェルセンの助けで国外逃亡を謀り、失敗に終わった事件)までは描くべきだった。
そうしないと、フェルセン伯爵の意味が薄くなる。
彼はもっとマリーアントワネットの人生に大きな影響を与えた人物ではないのか。

映画の後半は、ぶつ切り状態で、カンヌに間に合わせるために、急いで編集したような稚拙さを感じる。

テーマ:マリー・アントワネット - ジャンル:映画

「グッドフェローズ」DVDレビュー 【映画】

◆評価 8.0点
◆分かりやすさ A-
◆おススメ度 B+

1990年製作のマーティンスコセッシ監督作品。
全米興行収入は、約43百万ドル。
アカデミー賞には、助演男優賞(ジョーペシ)受賞。
ノミネートは、作品賞、監督賞、脚色賞。
ゴールデングローブ賞は、受賞なし。
ノミネートは、作品賞(ドラマ部門)、監督賞、助演男優賞(ジョーペシ)、助演女優賞(ロレインブラッコ)、脚本賞。

映画の出来については文句のつけようがない。
さすがスコセッシと言わざるを得ない作品だ。
ヘンリーヒルのマフィアへの憧れから始まり、幼少時代、成り上がり、綻び、成功、転落、仲間を売るラストまでを実にリズミカルにテンポよく描いている。
他の登場人物もしっかり描けており、マフィアの実態や、マフィアの手腕、結束も忠実にリアルに描けているのも面白い点である。

しかし、実話をベースにしているので、ややエモーショナルな面では弱い気がしてしまった。
ヘンリーヒルを美化して描くこともできず、外道に描くこともできず、あまり感情移入もしようもない人物となってしまった。

冷静にみれば、ポーリーから禁止されていたヤクに手を出した挙句に、警察に睨まれ勝手に転落していって、自分の命がヤバくなったから、友達のジミーと、ボスのポーリーを検察に売ってしまったようにも思える。

この世界のルールからすれば、本当は殺されても文句は言えないはずのヘンリーが、親のような存在のポーリーを売ってしまったのは、やや納得はいかない。
ポーリーに殺されても、ジミーに殺されても、自業自得ではないか。

売るかどうかのヘンリーが苦悩する一面もみせず、描かれたのはカリンが親のことを心配するだけである。
仲間を売ったことで彼が得たものは、安心はできるが、つまらない監視される暮らしだけである。
失ったものは、自分の親、兄弟、ボス、プライド、金、ワイズガイ(グッドフェローズ)、マフィアの精神だ。
人間的な弱さには共感できても、やはり彼の生き方には共感できない。
本人も重々承知していることだろうが、彼は負け犬だ。

ヘンリー、ジミー、トミーの三人は成功を手にしたものの、家族の長であるポーリーに反して、やり過ぎてしまったために、落下の一途を辿るのはかなり人間的である。

ヘンリーはクスリで、トミーは大物バッツ殺しで、ジミーはポーリーにはバレてはいないが、ヤクや殺しなどに手を染めすぎている。
ジミーは、仲間がボロを出すことをおそれ、そして分け前を与えるのも嫌がり、皆殺しの選択するに至っては、マフィアのルール・枠を完全に超えてしまった男にも映る。
パワーを一旦手にすると、人間的におかしくなってしまうのだろう。
三人とも留まることをしらない欲求に我を忘れ、金やプライドに執着してしまう。
そういう人間的な部分はきちんと感じられる作品にはなっている。

多くから賞賛されているが、音楽が素晴らしい。
題名はよく分からないが、ジミーがルフトハンザ強奪に関わった仲間を皆殺しにしていく際に掛かった音楽はとても印象的だった。

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

2007年1月クールドラマ視聴率結果(初回等)

1月クールのドラマも「わるいやつら」以外は出揃ったところである。
自分は今クールのドラマをまだ一本も見ていないが、初回視聴率などを踏まえて、検証していきたい。

         初回視聴率  平均視聴率(放送前予想平均視聴率)
1位「華麗なる一族」 27.7%  27.7%(23.0%)
2位「花より男子2」  19.4%  19.8%(19.0%)
3位「ハケンの品格」 18.2%  18.4%(13.0%)
4位「エラい嫁」    16.1%  16.1%(12.0%)
5位「東京タワー」   14.2%  14.9%(16.5%)
6位「ヒミツの花園」  14.7%  13.9%(9.5%)
7位「特命係長只野仁」13.4%  13.4%(14.0%)
8位「拝啓、父上様」  12.9%  12.9%(15.0%)
9位「今週、妻が浮気」 12.5%  12.5%(14.0%)
10位「演歌の女王」   10.9%  10.9%(16.0%)
11位「きらきら研修医」 10.4%  10.4%(9.0%)
-位「わるいやつら」

1位:「華麗なる一族」 平均27.7%
関係ドラマの初回時の視聴率は、「エンジン」25.3%、「プライド」28.0%、「グッドラック」31.6%、「白い巨塔1部」22.8%、「同第二部」25.5%となっているから、比較的好調な滑り出しを飾ったといえる。
このご時勢を踏まえると、全盛時期の木村ドラマとヒケを取らないものだろう。
自分はまだ見ていないので内容は分からないが、あとはどれだけ落とさないかが勝負となる。

2位:「花より男子2」 平均19.8%
予想通りの高視聴率を稼いだ。
初回時は他局が色々とぶつけてきたので、やや予想よりも低めのスタートだったが、それでも前作の初回時(18.3%)よりも伸ばしている。
2話目も初回よりも0.7ポイント伸びている。
日テレが動かなければ、安定して20%前後の視聴率を期待できそうだ。

3位:「ハケンの品格」 平均18.4%
正直言ってここまで高視聴率を稼ぐとは思わなかった。
本作のようなコミカルなお仕事系作品というジャンルは視聴者に素直に受けるのだろう。
テレビや雑誌に結構露出していた加藤あいや、北海道で人気のある大泉洋が数字をもっているとは思わなかったのだが。
「派遣業界」を本格的に描いたドラマというのは、ひょっとして初めてかもしれない。
現在、派遣社員というのもかなりの数になるだろうし、そういう時流を読んだことによって、高視聴率に繋がったかもしれない。
今クール三番手の地位をはやくも確定したようにも思える。

4位:「エラいところに嫁いでしまった」 平均16.1%
仲間由紀恵人気もあり、初回は好視聴率をマーク。
しかし、この手のドラマはこれ以上そう簡単に上がらないだろう。
「ハケンの品格」には視聴率は敗れているが、内容的に似ていると思われる「花嫁は厄年ッ」の初回時が13.2%なので、やはり仲間>篠原ということになろうか。
テレ朝でこの視聴率を出せる仲間由紀恵はやっぱり凄いと思う。

5位:「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」 平均14.9%
初回時の視聴率が14.2%という月9にしては、かなりの低視聴率を飾ったことで話題となった。
さすがに、このキャスティングでは多くは望めまい。
あまり好ましくない話題であったが、それなりの宣伝効果もあってか、2話目では1.4ポイントも上げてきた。
今後は、適当に稼いで、ありきたりの数字でフィニッシュしそうだ。
それにしてもこのドラマは映画版にちっともプラスになっていない気がする。
ドラマなら適当に稼げそうだが、映画だと金銭に関わってくるので視聴者もシビアになるから、相当気を引き締めないといけない。

6位:「ヒミツの花園」 平均13.9%
初回は14.7%と、予想よりもかなりの好視聴率をマークしたが、2話目にして1.6ポイント落としてきた。
キャスティングを見ると、どんな層が見ているのか全く不明のドラマだが、これからもどんどんと視聴率を落としてきそうな気がする。

7位:「特命係長・只野仁3」 平均13.4%
前作の初回時は12.6%だったが、16%を稼げる破壊力があった。
3弾目の初回視聴率はやや期待はずれだと言わざるを得ない。
この枠にすれば十分合格点なのだが。
視聴率的には伸び悩みそうだ。やや飽きられつつあるのか。
今後は、単発スペシャルの方がよいのかもしれない。

8位:「拝啓、父上様」 平均12.9%
たぶん良心的な作品だと思うが、内容的な堅さがありそうなので、イマイチ視聴率を伸ばせなかったのだろう。
それにしても、ライバルの「きらきら」も大したことないにも関わらず、予想よりも低すぎるのが気になるところ。
「硫黄島からの手紙」で好演した二宮和也も数字は大して持っていないのだろうか。
「Dr.コトー」が当たって、本作が当たらないというのがよく分からない。

9位:「今週、妻が浮気します」 平均12.5%
「ハケンの品格」はヒットしたが、本作はヒットせず。
コメディのお仕事系は視聴者的には好まれるけど、この手のコメディ作品は微妙ということか。
タイトルはインパクトがあって悪くないと思ったけど、家族で楽しむものとしては、ちょっと際どすぎたのかもしれない。
ユースケは「アルジャーノン」「あなたの隣に誰かいる」「ホームドラマ」に続き、高視聴率をマークできず、主役としてはちょっと厳しいのかもしれない。
今回も視聴率一桁オチもあり得そうだ。

10位:「演歌の女王」 平均10.9%
まさかここまでの低視聴率を記録するとは思わなかった。
「女王の教室」は初回14.4%、「トップキャスター」は初回23.1%なのだから、企画が失敗したと言えるだろう。
やはり、「演歌」は狙いすぎたようだ。
さすがに2回目以降は若干アップするのではないかとも思われるが、今後どうなるだろうか。

11位:「きらきら研修医」 平均10.4%
予想通り最下位に沈む結果となった。
TBSは、「華麗なる一族」と「花より男子2」が高視聴率をマークしており、本作にまでは手が廻らないのだろう。
ウエンツは数字的なパワーは持っていなかったか。
これが小池鉄平だったら事情も異なっていたかもしれない。
この視聴率をみると、ウエンツ主演の映画「ゲゲゲの鬼太郎」もちょっとヤバイかもと気になるところだ。
これ以上は下げないように、頑張ってほしい。

テーマ:テレビ視聴率 - ジャンル:テレビ・ラジオ

「ロストイントランスレーション」DVDレビュー 【映画】

◆評価 7.5点
◆分かりやすさ B
◆おススメ度 B

ソフィアコッポラ監督の最新作「マリーアントワネット」が公開されることから、彼女の監督作をいまいちど復習してみた。
「ロストイントランスレーション」は、2003年製作のソフィアコッポラ監督作品。
全米興行収入は約45百万ドル。
アカデミー賞脚本賞を受賞。
アカデミーノミネートは、作品賞、監督賞、主演男優賞(ビルマーレイ)である。
ゴールデングローブ賞では、作品賞(コメディ部門)、主演男優賞(ビルマーレイ)、脚本賞を受賞。
ノミネートは、監督賞、主演女優賞(スカーレットヨハンソン)。

以上のように高評価されている作品である。
本作の良さというのは、微妙な空気感にあると思う。

本作には、言葉が通じない異国の地に一人取り残される映画俳優のボブハリスと、写真家の妻のシャーロットの姿が描かれている。
孤独の中に、自己の将来へと不安を募らせるシャーロットと、自分の将来に絶望するハリスの心情が、東京という一見華やかだが寒々しい街に見事にマッチしている。
東京でどんなに馬鹿騒ぎしたとしても、孤独な心の渇きは、ひと時は忘れることはできても、その渇きを潤すことはできない。
この微妙な空気感は見事である。
ソフィアだからこそ、描けたかもしれないと思われる本作ゆえ、評価されたのだろう。


題名となったトランスレーションとは翻訳という意味がある。
直訳すると「翻訳によって失われたもの」となるだろうか。

ボブハリスは、妻とのやり取りは、最初はファックスである。
その後、絨毯の見本入り郵送へと変わり、電話へと続いていく。
彼らの会話には翻訳こそ必要ないが、会話をしてもどこか心はすれ違ったままだ。
心の翻訳が上手くいっていないようだ。
結婚して25年、最初は心が通い合っていたと思う(ボブは妻も最初は一緒についてきてくれたと語る)が、子どもが産まれ、仕事に追われ、彼らの心は離れていく。

シャーロットとジョンはお互いに顔を合わせているが、仕事に追われるジョンは妻のシャーロットと向き合おうとしない。
心の翻訳違いから、一緒にいたとしても孤独を感じてしまう。
友人に電話しても、やはり心の翻訳違いは直らない。
自分の心情を正直に吐露できないからだ。
どんなに心の中で「つまらない」と叫んでも、口に出すと「面白い」「最高だ」と翻訳されてしまう。

そんな孤独にさいなまれるボブとシャーロットだったが、二人の出会いによって、微妙な変化が生じていく。
孤独なのは決して自分だけではないと気付く二人。
自分の感じたものを素直に話せるこの関係には、心の翻訳違いはない。

しかし、ホテルでの二人の別れはあっさりしたものだった。
二人とも別れが寂しいと感じたとしても、結局二人の進むべき道は異なる。
泣き叫んで寂しいと叫んでも、何の助けにも答えにもならないとシャーロットは知っているのだろう。
ここでも、やや心の翻訳違いは生じる。

しかし、異国の地の都会の雑踏で、人波に逆らいながら一人目的地も分からず歩み続ける彼女の姿をみたとき、ボブは声を掛け、抱きしめる。
自分には、シャーロットの姿はただ単に街を歩いているという風には映らずに、自分の人生という道を苦悩しながら模索する姿に映った。
何も考えずに皆と同じように歩むのではなく、自分の行き先が分からずに、さ迷っているようにも感じた。
そんなシャーロットに一言、ボブは告げたのだろうか。
「大丈夫だ。君は間違っていない。」とでも。
お互い自分の生き方に悩む二人だからこそ、心が通い合った瞬間だと思う。

今後も二人は悩み、苦悩するかもしれないが、二人の出会いにより苦難な道であっても歩んでいけるかもしれないと思わせるラストだった。

苦悩するシャーロットとの対抗軸として、能天気なハリウッド女優を当てているような計算もされている。

好評価されているだけあって、確かに悪くない映画ではあるが、この微妙な空気感を捉えることはできるのかは難しいところもある。
上手く感じ取れないとこの手の核たるストーリーが存在しない映画は面白みが分からないと思うだろう。
万人に対して手放しでおススメできる作品ではないと思う。

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

「カジノ」DVDレビュー 【映画】

◆評価 7.0点
◆分かりやすさ A
◆おススメ度 C+

作品の質や、スコセッシの演出、俳優の演技などは素晴らしい。
しかし、ストーリーと上映時間(178分)とのバランスが悪いため、作品自体悪くはないが、あまりおススメはできない。

本作は、サム・エース・ローススティン(ロバートデニーロ)の男の転落人生が軸となっている。
金を稼ぐというギャンブルには天性の才能を有しているが、信頼を得るという人生の舞台には失敗した男だ。

【サムとジンジャーとの関係】
サムとジンジャーの関係は極めて面白い。
二人の関係は本作の軸でもある。
金や宝石を与え、子どもをつくれば、ジンジャーは満足し、幸せな家庭になるだろうと考えている点が、サムの浅はかな点だ。
サム自身、夫婦とは信頼し互いの命を預けられるかが大事だと分かっているが、結局はサムの頭の中では「信頼=金」でしかない。
サムは、金以外に信頼に足る物はないと思っているのだろう。
彼は今までそういう人生を送ってきたのだろう。
ギャンブラーの悲しい性かもしれない。

ジンジャーとレスターが2万5千ドルほど浪費したあと、レストランでのサムとジンジャーのやり取りは、もっともサムらしさを表している。
「いくら使ったか」とジンジャーを問い詰めて、2万5千ドルと聞いたサムは、2万5千ドルの内訳を、頭の中で計算しまくる。
スーツが1000ドル×3着、時計が1万ドル、いや1万5千ドルだろうかといった具合に。
さらに、スーツの仕立てには数日で済むか、数週間掛かるのではないか、そうすると彼女の話は嘘なのかとか、ギャンブラーらしい読みを披露する。

金のことしか頭にないサムに嫌気をさすジンジャーには感情移入できる。
彼女に必要なものは、金や宝石ではないと気付かないのが、サムの最大の失敗である。
ジンジャーはサムに対して、「犬のように扱われた」と吐き捨てるが、まさにエサのように金や宝石を与えていたに過ぎないのだろう。

そもそも、あまりにも個性が強いジンジャーにサムの妻は務まらない。
ジンジャー自身プロポーズ時に自分でも認めていることだ。
お互いが譲らない夫婦が上手くいきようがない。
ジンジャーにとって必要な男性は、レスターのような完全なダメ男である。
サムとの関係で埋まらない点を、レスターや酒やクスリで埋めようとしていたジンジャーの孤独が伝わる。
ジンジャーを演じたシャロンストーンの演技は、アカデミー賞ノミネートに恥じない素晴らしいものだった。
彼女には、自分の存在が必要だと思うような男性でないと上手くいかなかったのではないか。

サムはギャンブルでは負けたことはないが、結婚というギャンブルには負けたのである。
本人も認めているように、石橋を叩いて渡るタイプのサムがジンジャーとの結婚を望んだことは本人にも理解しようがなかったようでもある。
ギャンブルに勝つことは簡単ではあるが、人生は難しいという本作のテーマでもある。


【サムとニッキーの関係】
サムは結局ニッキーとも信頼を築けなかったようである。
サムは最後にはニッキーに殺されそうにもなる。
妻と不倫され、FBIから写真を突きつけられても、ニッキーを売ろうとしなかったサムではあったが、最後の最後にはニッキーから裏切られてしまった。
あのニッキーでさえも最後までサム殺しには苦慮していたようではあったが。

ジンジャーの件ではサムにも非があり、さらにはサムはボスに対してニッキーを黙らせるように頼んだりしている。
やはり、サムには人間としてどこか足りない部分を感じさせる。
完全にニッキーを信用したことなどなかったのではないか。


【サムとボス連中との関係について】
サムは故郷のボスとは友好である。
しかし、彼らとは信頼という絆では結ばれていない。
この点は大きく「グッドフェローズ」とは異なるかもしれない。
彼らは家族ではないのである。
彼らとの絆は「金」である。
「金」という面ではサムの右に出るものはない。
だから、いつまでもいつまでも友好なままでいられるのだろう。


やはり、サムは最初から最後まで信頼を得ることはできず、「金」というものしか得られない男でしかなかった。
そういう悲しい男の生き様をスコセッシが見事に描き出した点において、評価できる作品。
「グッドフェローズ」とは役者や雰囲気などから似ている面もあるが、本質はやや異なる気もする。
一方は、組織から切り捨てられた男であり、もう一方は組織には留まる男である。
どちらも転落する男の生き様を描いているが、彼らが失ったもの、獲たものは異なるのではないか。

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

国内映画興行収入ランキング(1月2週目)

1位に躍り出たのは新作「愛の流刑地」。
R15指定で、メイン館は日劇PLEX2(キャパ668名)。
低レベルの争いではあったものの、この作品が1位になるとは思わなかった。
このキャスティング、この内容では一般客を引き入れるのは難しいのではないかと考えたが、そこそこの話題を振りまいて公開できたのが吉とでたのだろう。

今年の正月映画は大人向け作品が少なく、また大人向けの恋愛映画は作品自体、結構数が少ない。
確かに、今まではなかったタイプの映画でもある。
そういう目新しさが観客を刺激したのではないか。
しかし、次週は大作が多い公開されるため、ランクダウンするのではないか。


2位になったのは新作「モンスターハウス」。
メイン館はみゆき座(キャパ183名)、シネマメディアージュ6(キャパ243名)など。
あまり話題にはなってなかった気がしたが、スピルバーグ、ゼネキスブランドがやはり決め手になったのだろうか。
90分という短い上映期間を利して、1日5回上映を可能としている点がポイントだろう。
しかし、次週はランクダウンすると思われる。


新作「ラッキーナンバー7」は題名の通り7位と低調なスタート。
R15指定で、メイン館は丸の内プラゼール(キャパ540名)。
ジョシュハートネットは「ブラックダリア」で3位、ブルースウィリスは「16ブロック」で5位をマークしていたが、どちらの作品よりも順位は下回った。
アメリカでも大コケしたが、日本でも失敗に終わりそうだ。
二人とも日本では客を呼べるスターではないのか。


今週は、レオナルドディカプリオ、マットデイモン主演。マーティンスコセッシ監督の「ディパーテッド」。
キリスティンダンスト主演、ソフィーコッポラ監督の「マリーアントワネット」。
松本潤、榮倉奈々主演の「僕は妹に恋をする」が登場する。


「ディパーテッド」はアカデミー賞にも絡んでくると思われる豪華キャスティングの作品。
R15指定。メイン館は、サロンパスルーブル丸の内(470名)、新宿TOKYU MILANOビル、シネマメディアージュなど。
作品の質、キャスティング、アメリカでの大ヒット(約1億2千万ドル)ということからも1位に登場するのではないか。
上映時間が2時間30分を超えているのと、日本ではスコセッシ監督作「アビエイター」と「ギャングオブニューヨーク」が揃って2位に登場しているのが気になるデータだ。
本作は比較的エンターテイメント寄りなので、問題ないないだろう。
本作で1位を取れないようでは、ディカプリオとスコセッシの日本での人気を疑わざるを得ない。


「マリーアントワネット」のメイン館は、日劇PLEX。
アメリカではパッとしない成績(約16百万ドル)に終わったが、日本人は好みそうな作品。
2位には登場できるのではないか。


「僕は妹に恋をする」はPG12指定。
メイン館は恵比寿ガーデンシネマ、新宿武蔵野館など。
話題にはなっているが、さすがに規模が小さく、高稼働したとしても下位に登場するのが精一杯か。

テーマ:興行収入ランキング - ジャンル:映画

「ゴールデングローブ賞」結果発表

ゴールデングローブ賞の受賞者及び受賞作品が発表になった。
結果は以下の通り。

○作品賞(ドラマ部門)
【受賞作】 バベル
ボビー、ディパーテッド、クィーン、Little Children
※今年のゴールデングローブ賞の中で一番驚いたのが、「バベル」の受賞だ。
「ディパーテッド」はエンターテイメント作品のため恐らく受賞しないと思っていたので、個人的には「クィーン」ではないかと考えていた。
ボビー、クィーン、Little Childrenもいずれもあまりにも小規模公開作品のため、「バベル」へと傾いたのだろうか。
自分が12月末に行った「アカデミー賞予想」では「バベル」は作品賞へのノミネートすらないと予想していた。
監督賞のみノミネートされるような作品ではないかと思っていたが。
本作の受賞によりアカデミー賞もいっそう混戦となってきた。
アレハンドロゴンザレスイニャリトゥは「アモーレスペロス」で才能を示した監督であり、本作には役所広司が出演している。「硫黄島からの手紙」同様に日本に馴染みの深い映画である。
日本公開がますます楽しみだ。

○作品賞(コメディ部門)
【受賞作】 ドリームガールズ
プラダを着た悪魔、ボラット、サンキュースモーキング、リトルミスサンシャイン
※他に強敵がいなかったため、順当といえば順当の結果。
ビルコンドン監督が監督賞にノミネートされていないのが不思議だ。

○監督賞
【受賞者】 マーティンスコセッシ(ディパーテッド)
クリントイーストウッド(父親たちの星条旗)、クリントイーストウッド(硫黄島からの手紙)、スティーブンフリアーズ(クィーン)、アレハンドロゴンザレスイニャリトゥ(バベル)
※さすがにそろそろスコセッシに受賞させようということだろう。
この混戦を利して、アカデミー賞でも「ディパーテッド」組の中で監督賞だけはスコセッシが取りそうな気がする。

○主演男優賞(ドラマ部門)
【受賞者】 フォレストウィテカー(The Last King of Scotland)
レオナルドディカプリオ(ブラッドダイアモンド)、レオナルドディカプリオ(ディパーテッド)、ウィルスミス(幸せのちから)、ピーターオトゥール(Venus)
※極めて順当の結果となった。
一連の賞レースの結果をみる限り、ダントツに強いフォレストウィテカー。
ウガンダの独裁食人大統領を演じているとのこと。
ディカプリオ念願のオスカーも強敵の前に敗れそうだ。公開されたら見に行きたい作品。

○主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)
【受賞者】 サシャバロンコーエン(ボラット)
ジョニーデップ(パイレーツオブカリビアンデッドマンズチェスト)、ウィルフェレル(主人公は僕だった)、アーロンエッカート(サンキュースモーキング)、キウェテルイジョフォー(キンキーブーツ)
※一見サプライズ受賞のような気もするが、小粒なメンバー構成であり、話題という面でもジョニーに引けをとらない。順当な結果とも思える。
作品の内容・質を踏まえても、ジョニーは今回厳しかったであろう。
彼が受賞するのならば前作だったような気がする。
次作にも可能性もあるが、間違いなく本作ではなかっただろう。

○主演女優賞(ドラマ部門)
【受賞者】 ヘレンミレン(クィーン)
ペネロペクルス(ボルベール<帰郷>)、マギーギレンホール(Sherrybaby)、ケイトウィスレット(Little Children)、ジュディデンチ(Notes on a Scandal)
※一連の賞レースの結果をみる限り、ダントツに強い。
オスカーにおいてもストリープ相手にしても敗れようがない一番堅い部門だと思う。

○主演女優賞(ミュージカルコメディ部門)
【受賞者】 メリルストリープ(プラダを着た悪魔)
アネットベニング(Running with Scissors)、レネーゼルウィガー(Miss Potter)、トニコレット(リトルミスサンシャイン)、ビヨンセノウルズ(ドリームガールズ)
※順当といえば順当。
サプライズを起こそうとおもえば、他に受賞させた方が面白かったかもしれないが、メリルストリープの圧倒的な存在感の前に敗れ去った。

○助演男優賞
【受賞者】 エディマーフィ(ドリームガールズ)
ブラッドピット(バベル)、マークウォルバーグ(ディパーテッド)、ベンアフレック(Hollywoodland)、ジャックニコルソン(ディパーテッド)
※エディマーフィは他の賞レースでも奮闘していたが、正直いって授賞するとは思わなかった。
まさか彼が賞レースに加わるようになるとは思わなかった。
それほど好評価されるような演技なのだろうか。作品をはやく観たいものだ。

○助演女優賞
【受賞者】 ジェニファーハドソン(ドリームガールズ)
菊地凛子(バベル)、ケイトブランシェット(ノーツオンアスキャンダル)、エミリーブラント(プラダを着た悪魔)、アドリアナバラッザ(バベル)、
※順当の結果。菊地はさすがに厳しかったと思うが、アカデミー賞でも必ずノミネートはされるだろう。
ジェニファーとの再戦は注目だ。

○アニメーション賞
【受賞作】 カーズ
ハッピーフィート、モンスターハウス
※「カーズ」はかなり質の高い作品と感じたが、賞レースでは「ハッピーフィート」の目新しさの前に敗れるのではないかと思っていた。
順当に作品の質が評価されたようだ。

○外国語映画賞
【受賞作】 硫黄島からの手紙
※イーストウッドの二作の集大成がこの結果かと思うとやや物足りなさもあるが、素直に喜びたい。

テーマ:第64回ゴールデングローブ賞 - ジャンル:映画

全米映画興行収入ランキング(1月2週目)

順位(先週)公開週  タイトル (公開館数) 興行収入 (トータル収入)
1(-)1週目 Stomp the Yard(2051館) $22,000,000($22,000,000)
2(1)4週目 ナイトミュージアム(3612館)$17,100,000($185,755,751)
3(2)5週目 幸せのちから(3169館)$9,100,000($136,479,000)
4(5)5週目 ドリームガールズ(1907館)$8,122,000($66,863,000)
5(4)2週目 Freedom Writers(2179館)$7,117,000($19,940,000)
6(3)4週目 トゥモローワールド(1508館)$6,431,620($21,397,888)
7(-)1週目 Alpha Dog(1,289館)$6,142,085($6,142,085)
8(-)1週目 Primeval(2444館)$5,988,000($5,988,000)
9(-)1週目 Arthur et les Minimoys(2247館)$4,300,000($4,300,000)
10(8)4週目 The Good Shepherd(1994館)$3,908,240($54,266,350)
(参考:IMDbのボックスオフィス)

1位の「Stomp the Yard」は、よく分からないが、ダンス青春モノだろうか。
ダンスモノは去年の9月の「Step Up」がそこそこのヒット(約65百万ドル)を飛ばしている。
本作も5千万ドル程度は稼げそうで、この手の映画は低予算、低評価であっても、ヒット率が高いジャンルといえそうだ。
「Step Up」の方は、現在エイベックスがチカラを入れて宣伝しているが、本作の日本公開は微妙の気がする。
監督はSylvain Whiteという人物。映画においてはあまり実績はなさそうだ。
本作のアメリカでの評価は恐ろしく低く、おそらくトップ10に留まれるのはあと2週間だろう。

2位は「ナイトミュージアム」。
2億ドル突破はほぼ確実な状況だ。
日本公開も3月17日に決まった。
予告編を観たが、ロビンウィリアムズも出演しており「ジュマンジ」のような感じで面白そうだった。
日本でも大ヒットとはいかないだろうが、予告編を上手に作り、春休み中の子ども達を動員できれば、そこそこは稼げそうな気もする。
しかし、個人的には今のところ観に行くつもりはない。

4位の「ドリームガールズ」は前週よりも倍程度に公開館数を伸ばしたが、あまり成績は伸びていない気がする。
今の勢いだとぎりぎり1億ドルに行くか行かないかになってしまう。

6位に落ちたのは「トゥモローワールド」。
IMDbの評価では、2006年公開作品としては、「ディパーテッド」並みの高評価を受けているが、興行収入には比例せず伸び悩んでいる。
先週は7千万ドル程度は稼ぎたいと書いたが、ここままでは5千万ドルにも届くか届かないかのレベル。
こういう質の高い作品が後の続く作品のためにも稼いでもらいたいが、やはり地味さがあり、日本同様、一般客を引き寄せることは難しいのだろう。
DVDよりも劇場でどうしても見てもらいたい作品なのだが。

7位は「Alpha Dog」は犯罪モノの映画。
監督は、「きみに読む物語」や「ジョンQ」などを監督したニックカサヴァテス。
本作の公開に併せたかのように、キャメロンディアスと別れたと噂されるジャスティンティンバーレイクとブルースウィリスが共演。
「きみに読む物語」が約81百万ドル、「ジョンQ」が約71百万ドルだから、このキャスティングを考えると5千万ドルは最低稼ぎたいが、なかなか厳しいスタートを切った。公開館数が少ないのでやむを得ない部分もあるが。
日本公開はありそうだが、今のところ観たいと思わせる要素はない。

8位は「Primeval」というホラー。
それほど有名な俳優も出ていないし、有名な監督でもなさそうだ。
翌週には消えてそうな作品。評価も極めて低い。日本公開はまず無いだろう。

9位はリュックベッソン監督のCGアニメ「Arthur et les Minimoys」。
邦題は「アーサーとミニモイたち」となりそうだ。
長年を掛けて、ベッソンが製作したといわれているが、あまりパッとしない成績になった。アメリカ内の評価もはっきりいって芳しくない。
ベッソン監督は、本作で引退を表明しているが今後の身の振り方はどうなるだろうか。プロデューサー業に専念するのだろうか。
ベッソン監督作品はほとんど観ているので、ダメ映画だと分かっていても、最後のハナムケとして、日本公開されたら一応観に行こうかと思う。

今週は、1ヶ月ほど細々と公開されていたスティーブンソダーバーグ監督の「グッドジャーマン」が拡大公開されるようだ。
ジョージクルーニーとケイトブランシェットが共演。
どの程度拡大されるか不明だが、千館規模なら上位は間違いないだろう。
今のところの評価は、いつものソダーバーグ作品同様に微妙となっている。

テーマ:興行収入ランキング - ジャンル:映画

「ラッキーナンバー7」レビュー 【映画】

◆評価 6.0点
◆分かりやすさ A(途中まで漠然としているが、これでもかというくらいのご説明が終盤待っている)
◆おススメ度 B-(時間を適当につぶしたい人はどうぞ)

丸の内プラゼール(キャパ540名)で鑑賞。
観客の入りは中程度。そこそこ混雑していた。

監督はポールマクギガン。
主な監督作品は、「ホワイトライズ(2004年・約13百万ドル)」「ギャングスターナンバー1(2000年)」などで、ヒット作には恵まれていない。
本作は、全米のボックスオフィスで、このキャスティングにも関わらず、約22百万ドルとかなりの大コケに終わったようである。
観てみると、それほど悪くはないが、特別評価する点もない映画だ。
あっと驚かされるどんでん返しというネタでもなく、ストーリーはだいたいの予想どおりに収束されていく。

<以下ネタバレ>
【グッドキャット(ブルースウィリス)の動機】
この作品を観て、誰もが思う疑問は、グッドキャットがなぜここまでやるのだろうということだろう。
映画内では特別な動機は描かれていない。
唯一の手掛かりは、「カンザスシティーシャッフル」である。
皆が右を向いたから、自分は左を向くというゲームのようであるが、グッドキャットのこの件の動機は、このゲームのみのようだ。
それなりの動機は示されるものの、これほど危険なことを成し遂げる動機には乏しすぎる。
何が楽しくて、子どもの復讐劇に凄腕の殺し屋が20年も付き合わなくてならないのかは甚だ疑問である。
彼も殺し屋なのだから、こんな復讐に付き合っていたら、自分の命がいくつあってもキリが無いぞ。

もう少し動機には深みが欲しかったところだ。
スレブンに対して父親としての情が湧いたとか、ボスとラビに恨みを抱いていたとか、新興勢力という説明があったからグッドキャットの昔の恩人をボスとラビが殺してのし上がって来たとか、動機に対する何らかの理由付けを強化すべきだっただろう。
グッドキャットのメリットとしては、ボスとラビの利権でも奪うつもりなのだろうか。
警官も殺しており、そんなに簡単にはいかないだろう。
ともかく、この脚本は不十分としか言いようがない。

【スレヴン(ジョシュハートネット)の行動について】
ボスやラビといった大物を前にしても、かなり堂々としている姿をみると、なんらかの裏があると思ったら、たんなる復讐者だった。
本気でボスやラビをハメようとするのならば、ジョシュが堂々としていることにほとんど意味がない。
また、自分がニックではない、人違いだと最初は抗弁していたが、後から考えればこれはまったく意味のない行為だ。
ボスやラビに対して、自分がニックだと名乗った方がこの際手っ取り早いだろう。
ご丁寧に、ニックの顔を知っているものを事前に皆殺ししているのだから問題あるまい。
要するに、この人違いのネタは観客とリンジー(ルーシーリュー)に対してのみに理由があることに過ぎない。
やはり、どこか脚本がおかしいのではないかと思わざるを得ない。

ラビは彼の態度から、彼がニックではないと感づいており、グッドキャットと「彼はニックではない」「俺も知っている」というやり取りをしている。
このやり取りもあまり活きてこないネタだ。
結局、ラビはニック本人ではないと気付いていても、手も出さない。

また、自分の時計を焼死体のものと変えたのは、リンジーに対して自分の死体であると騙すためのものだろう。
リンジーは途中で事件の裏を知らされているのだから、彼女を騙すためにあえて時計を変える必要もなかった。
グッドキャットが彼女を殺す手はずになっているので、時計のすり替えはグッドキャットの指示ではないだろう。
グッドキャット自身、彼の時計は父親の思い出の品であると知っているのだから、そんな指示を出すはずがない。
要するに、最後の空港でのネタにするための前フリでしかなかった。
時計のすり替えは、本来ならば必要性に欠ける行為ではないか。

【今回の計画について】
どう考えてもスムーズさに欠ける計画である。
冷静にみれば、ボスとラビのセキュリティを皆殺しにして、二人を拉致ったにすぎない。
ここまで周到な計画を立てる必要はまったくなかったような気がする。
最初から、ラビのいるマンションに忍び込んで、麻酔銃でラビを眠らせて、連れ出す(今回の計画でもラビを連れ出すために部下を皆殺ししないと成就できない、逆に警察のマークがついて行動に制約がかかる等)だけでもよかったのではないか。
それにしても、ボスとラビの配下は数人程度というなんともお粗末な組織である。

こういうストーリーならば、ボスとラビの同士討ちをさせるために、戦争の火種となればよかったのではないか。
それぞれがビルのてっぺんに立て篭もっているのを、偽計をもって彼らをおびき出し、同士討ちになってボロボロになったところを叩くというのが、通常の計略だろう。
映画内のように実力行使できるのならば、こんな回りくどいことをする必要はない。
とにかく、スマートとは言いようもない計画である。

脚本はボロボロの映画ではあるが、何も考えずにぼぅーっと映画の流れに身を委ねれば、それなりに時間は潰せる映画ではある。
そうはいっても、演出もさしたるキレがなく、多少生ぬるさも残る作品であり、6.0点という評価は、若干高くつけすぎたかもしれない。

ポールマクギガン監督は、このキャスティングで22百万ドルという失態を犯したら、次は相当頑張らないと厳しいかもしれない。
よっぽどストーリーとキャスティングが優れていないと、次回作はあまり観る気はしない監督である。

テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

「jackass number two」レビュー 【映画】

◆評価  7.5点
◆分かりやすさ A
◆おススメ度 B(グロに耐性がない人は×)

東京では池袋のみでしか上映していない作品。
生まれて初めて池袋で映画を観るはめとなった。

何が映ろうが、当然モザイクなしの映画。
日本で公開できただけ良しと思わなくてはいけないのだろう。
前作よりもさらにスケールアップ、パワーアップしていると感じる。

90分間劇場は、笑いと感嘆と悲鳴に溢れていた。
前作で気になった他人への迷惑行為もほとんどなくなり、文字通り体を張ったスタントと仲間内でのバカ騒ぎに終始しているのは評価できる。
他人に迷惑をかけたのはジョニーが老人に扮して、子どもとムチャクチャなことをするやつかな。
あれはあれで凄い面白いのだが、やり過ぎないようにしはしてもらいたい。
でも「表にでろ!」には大爆笑した、ああいうのはやはり一般人じゃないと言えないからな。

今回はジョニーノックスヴィルやスティーヴォーだけでなく、9人のメンバーがそれぞれ持ち味を活かして、バランスよく活躍しているように感じた。
プロデューサーのスパイクジョーンズも体こそ張れないが、なかなか頑張ってチャレンジしている。
もちろん、相変わらずバムの両親もいい味を出していた。

本作で最も光っていたのはジョニーノックスヴィルである。
猛牛を前にして行う4人同時シーソーでも、ひたすら最後まで根性をみせていた。
逃亡するメンバーをよそに逃げることなく、耐えまくる姿にはやっぱりスゲエなと思わせる。

アナコンダとの格闘も恐れも怯えもなく、トライし続けている。
血みどろになりながらも続ける姿勢には、プロ魂を超えて、完全にイッチャッているなと思うかもしれないが、個人的には嫌いなノリじゃない。

ジョニーがスゲエと思ったのは、もうひとつ。
大使館前に置かれていると説明があった侵入者撃退用の装置を体験するというスタントにビビリまくるメンバー。
そんな彼らに「痛いとは思うけど、死にはしないって」と説得するシーンがプロ中のプロの発言だろう。
もちろん、ど真ん中で受けていたのはジョニーだ。

人間ロケット砲では失敗も起きる。大きなロケットにジョニーがしがみついて数十メートルふっとばされるというスタントがあったが、最初はうまく噴射できず、噴射エネルギーの行き場がなく、ロケットの胴体を突き破ってしまった。
ちょっとずれていたら、ジョニーも大怪我を負っていたただろう。
そんな惨事でも、平気で「遺影になるところだったな」と発言しているのもさすがだ。

個人的に好きなスティーヴォーも大活躍とはいえないが、大きな存在感を示していた。
彼は痛覚が麻痺しているかのような活躍をみせる。
顔面に釣り針をさしてサメのえさになるというスタントには、館内からは大きな悲鳴が溢れていた。
それにしてもサメへの蹴りは最高だった。

ヒルに自分の目を吸わせるといった何人も挑戦できそうもないことも平気で成し遂げる。
「お尻でイッキ」など体を張ることに関しては、ジョニーに引けを取らない。
今回は、正統派のスタントはジョニーで、外道派のスタントがスティーヴォーと分けたのだろうか。
もはや、この二人は超人である。
プレストンのとてつもない攻撃にはさすがのスティーヴォーもたまらず吐いていたが。

バムも今回体を張って、焼印押しや黄金コケシケツ受けなどに挑戦していた。
母親にみせて「なんでそんなことしたの?」「笑えるだろう!」「笑えないわ」のやり取りが彼ららしいなと思われる。
他人が笑えなくても自分たちが笑えればそれでよいのである。
そんなバムもヘビは苦手で、コブラには逃げまくっていたが、あれが一般の人間の対応だろう。
彼を観ることで、いかにジョニーやスティーヴォーの凄さが分かる。

ウィーマンも今回なかなか出番が多かったように感じる。
「カード投げ」や「パラセール」では意外と天然ボケという一面もみられる。
やはり、プレストンとのチビデブコンビは面白い。
バンジージャンプ、一瞬で消すというマジック、いつもの追いかけっこは彼ららしい息の合ったところをみられる。

クリスは今回それほど出番がなかった気がしたが、冒頭のヘビに咬まれるネタや、種馬の精子飲みなど、こいつもかなりキテイルと思った。
デイヴは馬糞くっていたし、こいつらどういう神経しているんだろう。
危険なスタントに挑戦するというものとは、道が違う凄さを感じる。
こういうのはジョニーはあまりやらない。

エレンはテロリストネタで活躍。それなりに面白い。
ライアンはあまり目立ってなかったが、主役になったのは氷の木馬に挑戦したくらいだったか。


jackass(ジャッカス)シリーズの続編も期待したいが、今回を超える作品はなかなか難しいのではないか。
レベル的には今回がマックスのような気がしたが、常人の発想を超えるのも彼らの仕事でもある。
彼らのさらなる限界を次も見てみたいところだ。

テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

「jackass」シリーズDVDレビュー 【映画】

◆理解のしやすさ A
◆おススメ度 C(限られた人のみおススメ)

ジョニーノックスヴィルと楽しい仲間たち(スティーヴォー、バムマージェラ、クリス、プレストン、ウィーマン等)が繰り広げる一見間抜けで無謀なチャレンジの集まり。
マンガの中のようなあり得ない世界が実写で楽しめる。
しかし、その実態は「笑い」を追求するプロのスタントマン集団である。
常に怪我と苦痛の隣り合わせのチャレンジでありながら、どんなにつらくても笑みを絶やさず、限界に挑み続ける妥協を許さないプロ魂を感じる。
この笑いは子どもが見るものではない。
分別のある大人が見て楽しむもので、この笑いは日常の疲れから開放される癒しになるかもしれない。
また、下ネタやグロネタに耐性がないと見るのは厳しいかもしれない。
ここまであからさまにみせるのかというぐらいに見せつける。

【Volume 1】 評価3点
ゆで卵の大量食いはなかなかのものだが、正直あまり笑えないシリーズとなっている。
無謀だったり、グロすぎたりと、まだ「芸」として成長途上のようだ。
草むらへの特攻が多すぎてやや飽きもくる。
結構アメリカ人は優しくて親切な人が多いなあという文化的な勉強もできるのが面白い。一番面白いのはバムの両親かもしれない。

【Volume 2】 評価6点
スティーヴォーの弾けっぷりが楽しいシリーズ。ケツピアスや全身脱毛など留まるところを知らない。冒頭のジョニーノックスヴィルによる急所カップ調査はなかなかの出来だ。

【Volume 3】 評価4点
「1」よりは面白いが、「2」よりは面白くない中途半端なシリーズ。
デイブの嘔吐オムレツの企画自体は面白いが、スムーズさに欠けるのが問題だ。これでは笑うに笑えない。
射精大会はイマイチ工夫が足りないか。もっと面白くなりそうなネタだが。
オムツ拾い食いはちょっとやり過ぎの感があるなぁ。
ネタ的にはだいぶ見慣れたものばかりかもしれない。ズラ落としネタはちょっとレベルが低いだろう。

【映画編】 6.5点
映画ということもあり、レベルはかなり高くなっている。
冒頭のカートワゴンからかなりのテンションの高さが窺われる。

短編でも赤の他人に無茶な協力を仰いだり、反応を楽しむ部分は多々みられたが、あまり迷惑をかけるようなことは少なかった気がする。
しかし、映画版は結構他人に迷惑をかけることは厭わない。
レンタカーをムチャクチャにしたり、売り物の便器に大をしたり、使用済みにみえる大人のおもちゃを返品したり、店をメチャクチャにしたり、ゴルフを楽しむおっさん達をからかったりと、やや方向性がずれてきている気がする。
それはそれで面白いが、やり過ぎないようにして欲しい。本旨は究極スタントなのだから。
ペーパーカッター編で「手もやれば、足のなんか忘れる」というノリを大事にして欲しい。

<個人的に好きなスタント>
1.スティーヴォーのワサビでラリる
この危険な行為を二度ならず、三度挑戦するスティーヴォーの姿には感動する。
寿司がちょっともったいない気がしたが。

2.ペーパーカッター
「手もやれば、足のなんか忘れる」と「なるほど」は名言だと思う。
やられても、笑ってられるジョニーは凄すぎる。それにしても、最後にスティーヴォーも口でイクかね。

3.バムの母親によるワニリアクション
特有のテンションの高さと、最後まで本物と区別のつかない天然ボケは他人に真似できない。

4.クリスとスティーヴォーの花火コンビネーション
これをやる奴が地球上にいると思わなかった。
一発目はスティーヴォー、二発目はクリス、そして三発目とレベルを徐々に上げていくところは見所だ。

5.スティーヴォーのワニ池で綱渡り
肉を一回落としているのに、もう一回付け直すスティーヴォーの根性が素晴らしい。
逃げた先にもワニがいるのも狙ってできるものではない。

6.ライアンのケツレントゲン
レントゲンを見るおばさん看護婦の表情がなんともいえない。
外人医者もいい味を出している。何語でしゃべっているかよく分からないが、電話でのやり取りが笑える。翻訳されるとは思ってなかっただろう。

7.バムのめざまし花火
親父が最高。外からのショットも混ぜている演出も光る。天丼的に二度目があるのもよい趣向だ。

8.ジョニーとバムの強盗失敗
一目散に逃げる黒人と唖然とする白人二人のコントラストがよい。

9.人間ボーリング
股間直撃の一球がいい味を出している。

10.冒頭のカートワゴンとラストのシーン
メンバーの紹介と性格が分かるうえに、容赦ない爆撃の雨あられによって、レベルの高さが分かる。

<個人的に嫌いなスタント>
老人ネタ全般。人の善意をネタにするのはいかがなものか。
バタービーンの限度の知らない攻撃は面白くはないが、ぶっ倒されたあとに「あいつは平気か?」とつぶやくジョニーと怪我をもネタにしているのもさすがだ。

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

「ケープフィアー」DVDレビュー 【映画】

◆評価  5.5点
◆分かりやすさ A
◆おススメ度 C(デニーロかジュリエットルイスファンは必見)

優秀なスコセッシ作品群の中で自分があまり好きではない一本。
スコセッシが本作に何を込めようとしたのかが、自分にはあまり理解できなかった。
あるいは、スコセッシは特別に何も込めなかったのかもしれないが、単純に「スリラー映画」を製作しようとしたとすれば、やや物足りず、中途半端にも映る。
観終わった後は「デニーロ凄いね」の一言以外の感想は出てこない。

なんとか色々考えてみると以下のようなことが考えられるだろうか。
【マックスケイディについて】
彼は実際にレイプという罪を犯しているのであり、正当な弁護を行わなかった官選弁護士を恨むのは単なる逆恨みのようにしかみえない。
彼が法や聖書をいくら勉強したとしても、その復讐方法はやはり法を犯すものであり、マックスという人物には同情のような感情移入はしようもない。
本作の彼の描き方としては、自分の失われた(奪われた)人生の失敗を誰かのせいにしないと精神が保てない狂気にとりつかれた男としか捉えようがない。

リメイク作品のため、改変には限界があるが、「法」を超えない範囲でサム家族に復讐し、一見幸せそうな家族の暗部をえぐり出すというストーリーの方が面白かったような気がする。
復讐者が法を遵守し、追い詰められた弁護士という「法」の専門家が「法」を超えた行為を犯していくという矛盾したような話にはできなかったものか。

【サムボーデンについて】
サムはマックスのレイプ被害者の異性関係に関するレポートを故意に握りつぶしたことによって、マックスの恨みを買うことになる。
マックスの服役期間が14年で、長女ダニエルが15歳という設定を踏まえると、長女が産まれたばかりのサムがひとりの女性を悲惨な目をあわしたマックスを許せないという状況は理解できる。
しかし、彼は悪徳弁護士でもなければ、無実の男性を自分の無能のために有罪にしてしまった弁護士でもない。やはり単なる逆恨みを買った男でしかない。
逆恨みを買ったということには同情できるだろうが、その後の彼の行為は、この同情を消し去るようなことばかりをしている。
本当にこいつは弁護士かという低レベルの防御しかできていない。彼にも感情移入できる要素は少ない。

サムの描き方は根っからの善人でもなければ、根っからの悪人でもない。
今回の件で、彼が新しい何かに産まれ変わったようにもみえなかった。サムはやはりサムでしかない。

【ボーデン一家について】
本作はボーデン一家の再生のストーリーと無理やり捉えることができるかもしれない。
一見幸せそうにみえるボーデン一家の裏は、サムは不倫をし、妻のレイは夫の不倫にヒステリーを起こして、彼女の心は夫には閉ざされたままだ。
娘のダニエルは、そんな両親に苛立ちを隠せない。自分の大人への成長も両親は見て見ぬフリだ。
逆に、父親に復讐しようとする男に惹かれたりもする。
このようなこの一家の暗部がマックスによって焙り出され、この事件を機に再生していく…、というような単純なストーリーでも本作はなかった。
今回の一件は、その後家族でも一切話題になることはないといった後書きがあることから、やはり今回のことも家族同士を真剣に向き合わせるものにはなっていない。
家族というものは、そんなに単純で簡単なものではないとスコセッシは伝えたいのだろうか。
単純に美化し、綺麗事に描くことができないのが、スコセッシの長所でもあり、短所でもあるかもしれない。

自分なりに多角的に分析したつもりだが、本作の伝えたい部分がやはりあまり見えてこなかった。
スコセッシが撮る映画ではなかったし、撮りたい映画でもなかったのではないか。
「最後の誘惑」を配給するための条件として、この配給会社のもとで、手軽なリメイクサスペンスを監督せざるを得なかったというのが一つの要因であったようでもある。
スコセッシ監督が好きな人や、一般の人にはあまり薦められない映画だ。
薦められるのは、デニーロかジュリエットルイスファンのみとなる。

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

「ギャングスターナンバー1」DVDレビュー 【映画】

◆評価 6.5点
◆分かりやすさ A-
◆おススメ度 B(若干バイオレンス度高し)

1月13日に「ラッキーナンバー7」が公開される。
ブルースウィリス、ベンキングスレー、モーガンフリーマン、ジョシュハートネット他が出演する豪華キャスティングの映画である。
ボックスオフィスでは約22百万ドルとかなりの大コケに終わったようであるが、全米公開時には多少気になっていた作品であった。
監督はポールマクギガン。「ホワイトライズ(約13百万ドル)」「ギャングスターナンバーワン」などの監督をしているが、ヒット作には恵まれていない。

彼の作品はいままで観たことがなかったので、彼の作風を知るために「ギャングスターナンバーワン」を鑑賞。
第一印象としては、演出等に工夫がされておりそれほど悪くはないけど、ちょっと物足りなさも感じる、もったいない作品と感じた。

本作には二つの対比構造がみられる。
「若き日のギャングスターと晩年のギャングスター」と
「ギャングスターとフレディメイズ」
である。

【若き日のギャングスターと晩年のギャングスター】
若き日のギャングスターは、成功と地位に憧れる血気盛んな若者である。
最初はフレディメイズに対する憧れだけだったのだろう。
車の修理工が刃物を向けたとき、体を張って助けている。
憧れというのは、ときには憎しみと表裏する。最近スコセッシ監督の「キングオブコメディ」という作品をみたが、憧れの存在というのは、憧れだけに留まらず、自分の超えるべき存在、自分にとっては取って代わるべき存在、自分が表舞台に立つためには邪魔な存在にもなり得ることが描かれていた。
憧れのフレディメイズは自分にとって邪魔な存在になった。
自分の持っていない物を全てもっている憎しむべき存在、彼の存在のために、何も持っていない自分自身を嫌悪する存在になっていたと思う。

フレディメイズが持っていないもの(襲撃情報)を初めて有したときに彼の理性は吹っ飛んだ。理性を失ったギャングスターは手段を選ばなくなる。
自分がスーパーマンかキングコングになったかのように、ただ突っ走るのみである。
突っ走るものの、正義や物事の本質を大切にするよりも、スタイルのみにこだわるのが、ギャングスターの人間的な底の低さである。
そんな自己の限界を知ってか、苛立ちを隠せない緊張感のある男をポールベタニーが上手く熱演している。

一方、約30年後のギャングスターをマルコムマクドゥエルが演じている。
彼は「時計じかけのオレンジ」のアレックス役で有名な俳優である。
本作においては、すでに最初から落ちぶれた感がある。自分の人生が間違っていたと彼はもう既に悟ってしまっているかのようである。
ポールベタニーの演じる男とは、かなりイメージがかけ離れているように感じた。
このギャングスターという男は、周囲を見回して、思慮深く考えるよりもただただ突っ走るだけの男ではないのか。
冒頭のトイレシーンの描き方は違うと思う。
ギャングスターは自分のしずくがついたあのシャンペンを一気に飲み干す男ではないか。
本能の赴くままに突っ走ってその結果がどうなろうと気にしないのが若き日のギャングスターだ。

マルコムとしては、既に落ちぶれた男を演じていたのだと思うが、悲哀を感じさせるためにはやはり貪欲に突っ走る自分の生き様を貫く男でいて欲しかった。
たとえ、自分の人生が間違っていたとしても、その間違いを絶対に認めようとしない男であり続けて欲しかった。

【ギャングスターとフレディメイズ】
ギャングスターはすべてを手にしたはずの男である。
フレディメイズはすべてを失ったかのようにみえる男である。
しかし、すべてを手にしたはずの男は、地位も名誉も何も手にしていない。
手に入れたのは、表面の体裁(席を外した瞬間「誰だあいつ呼んだのは!」と言われる始末)と単なる物質(金)にすぎない。
自分を慕う部下もいなければ、自分を愛してくれる女もいない。

すべてを失ったかのようにみえるフレディメイズは、30年の監獄生活を経ても恋人カレンを失っていなかった。獄中では学士号も取得している。
失ったものはマンションや金など単に物質的なものだ。
失われた30年の間に逆に得たものも多いのがメイズの人生である。

そんな彼らの再会によって、ギャングスターが自分の人生の間違いに気付くような仕掛けの方がより面白いと思った。
本作では、既にギャングスターは負け犬であり、負け犬の遠吠えにしか聞こえない。

「俺はナンバーワンだ」と言い続けて身投げする姿を見る限り、監督の狙い自体は、恐らく自分の考えているものと相違はないと思うが、微妙に上手く描けていない気がする。
何かの歯車に若干狂いが生じている印象を受けた。

テーマ:DVDで見た映画 - ジャンル:映画

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。