ばったすいみんぐすくーる

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『ハート・ロッカー』レビュー

◆評  価   8.5点
◆おススメ度  B+(緊張感を味わいたい人にはススめられる)

アカデミー賞作品賞の全てが素晴らしい作品というわけではないが、たとえアカデミー賞という肩書きがなくても、評価したい作品。
完璧な作品とは言いがたい部分は多々見られるが、賞賛されてもおかしくはない。
戦争モノやイラクモノ作品が溢れている中で、他の作品とは異なるアプローチを試みて、独特かつ個性的な作品に仕上がっている。
声高々に野暮ったいメッセージをストレートに発するということも必要だが、本作のようなユニークなアプローチで戦争の現実や悲惨さを伝えるということも必要ではないか。
イラクモノ作品の多くは真正面からマジメに向き合い過ぎている感もあったが、本作のバランスは優れており、イラクの現実を描くだけではなくて、エンターテイメント的な要素も含まれている点も評価したいところ。

個人的に最大限に評価したいところは、針を刺されたように突き刺さる張り詰めた“緊張感”をビグロー監督が演出できているということだ。
ハエが目に入ろうと、口に入ろうと集中力を持続させる主人公たちのように、あまりに画面に集中しすぎたために、「自分が今どこにいるのか」「自分が今何をみているのか」かが一瞬分からなくなるほどの異様な緊張感で溢れていた。
数多くの作品を見ている自分でも、現実(ドキュメンタリー)なのか、虚構(フィクション)なのかを混乱するほどのリアリティ度の高い作品といえる。
敵が見えないという何ともいえない心理が疑心暗鬼を産み、周囲全てが敵にも見えてくるという“恐怖”、今まで普通に喋っていた仲間が一瞬で命を奪われるという“過酷さ”も描かれている。
いったい何と戦い、いつ終わるのかすら見えてこない。

また、戦争ジャンキーのリアルな姿も描かれている。
本作の冒頭に語られる「戦いは中毒症状を引き起こす」といった趣旨の引用も活かされている。
スナイパーとの壮絶な死闘の後に訪れたクレイジーなほどの“高揚感”も実にリアルだ。
恐らく爆弾ならば、どんなものでも判別できるだろうが、現実社会においては種類豊富なシリアルを判断することができないというのはユニークな皮肉となっている。

ただ、主人公をある種カッコいい英雄のような存在にも感じられたが、果たしてそれで良かったのかどうかという問題もある。
中途半端に英雄のような存在として描くよりも、もっとクレイジーさがあり、もっとぶっ壊れていてもよいのではないか。
彼には人間味や善悪の感情が残りすぎているような気がする。
マトモな神経を持っているようでは、この世界では生きていけないだろう。
メッセージ性という観点からすると、英雄的では弱くなってしまうのではないか。
さらに、本当の“現実”はこのように簡単に戦場に戻れるかというと、そうでもないような気がする。
もちろん中にはそういう者もいるだろうが、心身ともに癒すことのできないダメージを負うということも我々が想像できる“現実”である。
主人公は根っからの戦争ジャンキーでもよいが、サンボーンやエルドリッジ辺りには彼とは逆の役割を担わせてもよかったのではないか。
あまりゴチャゴチャさせると作風が損なわれるので、難しいところでもあるが、戦争ジャンキーの主人公によって他の兵隊の人間性などが喪失していくような過程も描いて欲しかったところ。
主人公のような戦争ジャンキーになって、無鉄砲な振る舞いで命を落としたり、戦争ジャンキーになり切れずに、恐怖を吐露させてもよかっただろう。
主題である“戦争ジャンキー”という扱いに対して、やや中途半端な仕上がりという印象は受ける。
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テーマ:映画館で観た映画 - ジャンル:映画

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