ばったすいみんぐすくーる

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『アレクサンドリア』レビュー

◆評  価   7.0点
◆おススメ度  B(興味深い映画ではあるが面白い映画ではない)

“宗教”と“学問”という難しい題材を扱っている割には、古代のエジプトで活躍した一人の女学者の生涯を通して比較的分かりやすく感じ取りやすい作品に仕上がっている。

ただ、“宗教”と“学問”を中立的に描くわけではなくて、“宗教”には人を救う力、人を導く力があり、貧者にパンを与えるシーンを象徴的に用いて宗教の優れた面を描いている一方で、“宗教”を“争い”“対立”“偏見”の種のようにかなり否定的に捉えており、“学問”を非常に高貴なものと捉えすぎているような気がする。
本作には、宗教にしがみつくことを否定するような啓蒙思想的な面がみられる。

もっとも歴史的に見ても、宗教が“争い”“対立”“偏見”の引き金になっていることは否定しようがなく、本作に描かれているようなキリスト教徒がアレクサンドリア図書館を攻撃し、キリスト教徒とユダヤ教徒が争い合いそして迫害し、そして同じキリスト教徒同士も争い合う姿を見ると、宗教とは何かということを考えざるを得なくなる。
宗教は人を幸せにするものであり、宗教自体を否定することは難しいが、なぜ信仰する神が違う者同士が共生することができないのかと思う。
宗教は、貧者を救うことは出来ても、愛する者や一人の女性すら救うことは出来ないということが、本作の伝えたい大いなる“矛盾”といえるだろうか。
ただ、元奴隷のダオスは彼なりの方法において、あのような形となっても彼女の魂を救うことが出来たといえるのかもしれない。
“愛”は“宗教”を超えるということか。

“宗教”をより醜く否定的に描く一方で、“学問”を追究しようとするヒュパティアの姿勢がより美しく描かれている。
醜い宗教間の争いとは離れた次元において、一人(仲間がいるが)宇宙の真理を探究しようとする姿には心が打たれる。
地動説や、ケプラーの楕円軌道の法則を常識的に知る我々にとっては、ややもどかしいところがあるが、当時の学者や哲学者の苦心する姿をしのぶこともできる。
宗教に固執する人間をアリのようなちっぽけな存在、宇宙の片隅の小さな小さな場所における醜い争いとして描き、宇宙からのシーンを多用することで、宇宙規模の大いなる真理や法則の大きさを対照的に象徴的に描き出している。

通常の歴史作品という見方で楽しむこともできる一方で、一人の女性が生きた証というヒューマンドラマという見方や、“宗教”と“学問”という現代の我々にも身近に感じることができるような深い作品にも仕上がっているといえるだろう。
他の作品とは異なるようなアプローチで描かれていることは評価できるかもしれない。
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

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