ばったすいみんぐすくーる

公開中の映画作品を中心にネタバレ全開で独断レビュー。 映画興行収入などの映画情報も紹介。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『ブラック・スワン』レビュー

◆評  価   8.0点
◆おススメ度  A(特異な作品なので見ておいてよいだろう)

なんとも形容しにくい作品ではあるが、白鳥が黒鳥へと変化する様を独特の手法により、評判どおり見事に描き出したと評価できるのではないか。
おどおどしていた汚れを知らない少女が完全にブラック・スワンへと変化したラストは圧巻の一言。
過保護に育てられた完璧主義者の世間知らずが、自己の幼さ、純粋さ、完璧さゆえに精神を崩壊させていく過程が克明に刻まれている。

現実と妄想が入り混じり、観客を上手く混乱させている。
ニナと同様に、観客も何がなんだか分からなくなるのではないか。
それが監督の狙いどころだろうか。
何が現実で何が妄想かを完全に仕分ける必要はないだろう。
解釈が観客個々で判断できるのもよい。
観ているときには、初演のシーンは全てニナの妄想ではないかとも思ったが、それでは面白くないので、その解釈は止めて置きたい。

演出家の追い込み、代役リリーの存在、仲間の嫌がらせ、母親のわずらわしさなど、実際のところそれほど厳しいものとはなっていないと思われる。
演出家は肉体関係を迫ってくるわけでもなく、演出家として指摘する部分をきちんと指摘している。
嫌がらせのために、インポッシブルな無理難題を押し付けてくるわけではない。
代役は当然どの舞台にも用意されており、リリーは自分を蹴落とすどころか、賞賛したり、謝りにもきてくれている。
自分にないものをもっている自由奔放なニナに対して憧れと恐れを抱いているに過ぎない。
だから、あのような妄想も生まれたのだろう。
自分が笑われていると思っているだけで、仲間の嫌がらせなどはほとんど皆無であり、問題のあるレベルではない。
母親は過保護ではあるが、娘のことを何よりも心配している。
ブラック・スワンになりきれずに苦悩するニナが勝手に歪曲していく辺りが面白さとなっている。
自分の役を取られるのではないかという“恐れ”、母親の夢を奪い去った自分の存在が邪魔だったのではないか“恐れ”、演技を全うできないのではないかという“恐れ”が彼女を苦しめている。
物理的な問題や対人的な問題ではなくて、自分の心の中の問題が本作ではクローズアップされていることが面白い。
セリフにもあったが、自分を邪魔しているものは自分自身ということなのだろう。
もちろん、彼らの存在なくしてはブラック・スワンになり切ることはできなかっただろうが。

カメラワークもなかなかのものとなっている。
ダンスにあわせてカメラも踊っているので、臨場感のある動きとなっている。
鏡にカメラが全く映っていないので、かなりCG処理も施しているのではないか。
逆に、観客にそれと分かるCGも効果的に使用されている。

分かりやすい作品ではなく、感じ取るのはなかなか難しい作品ではあるが、他の作品とは異なるアプローチにより、テーマを繊細にリアルに見事に描き切っている。
監督、主演、撮影、振り付け師が一体となり、トータル的にレベルの高い作品に仕上がった。
スポンサーサイト

テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。