ばったすいみんぐすくーる

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『J・エドガー』レビュー

◆評  価   8.0点
◆おススメ度  A(難しいかもしれないが、面白いアプローチ)

イーストウッド監督作品は正直言って苦手である。
しかもさらに苦手の伝記映画であり、アカデミー賞でも無視された作品。
面白いはずがないと思って敬遠していたが、いざ見てみると意外と面白い作品だった。

2時間程度の映画で人間の一生を描くことは難しいことだ。
しかも、“この人はこのような人物だ”と勝手に決め付けるわけにもいかないので、どうしても抽象的になってしまい、伝記映画はふわふわした当たり障りのないような映画になりがちである。
とりあえず“事実”だけを集めて、それを客観的に描き、観た者にその人物を決めてもらおうというように投げ掛けるしかない。
そのため、伝記映画には物足りなさを覚える作品が多い。

イーストウッドもそのように感じたのかどうかは分からないが、他の伝記映画とは異なり、面白いアプローチを用いている点が評価できる。
観ている際には、なぜこのように時間軸をあちこち動かして目まぐるしくしているのか、しかも時間軸がちょっとおかしくないかと思っていたが、ラストにはその仕掛けのカラクリが明らかになり、全てを解決している。
虚と実が織り交ぜられているので、時間軸に沿ってそのままストレートに描くことはしにくい。
また、グチャグチャに切り刻むことによって、フーバーの人生を浮き彫りにするとともに、その人生の“虚”を浮き彫りにしている。
“虚”を描くことによって、“実”を描くという逆転の発想には恐れ入る。
冒頭の爆発事件の際に『本当に家に行ったのですか?』というセリフがあり、イーストウッドは冒頭から既にヒントを贈っており、さすがだと感じさせる。

いずれにせよ、フーバー自身は自分が語った話を“虚”だとは思っていないのかもしれない。
彼のフィルターを通すと、事実が都合の良いように捻じ曲げられしまう。
誰でも共産主義者になってしまい、誰もがアメリカの敵になってしまう。
フーバーとはそのような人物なのだろう。
母親の影響などもあり、彼は“畏れ”のようなものにとり憑かれた臆病な男であるようだ。
本当の愛を受け入れることもできず、本当の自分自身を受け入れることもできない、寂しい男であることをイーストウッドはグチャグチャに切り刻むことによって上手く伝え切っている。
前知識も特に要らない、当時の背景も特に要らない、それでも対象者の人物をきちんと描き込んでおり、本物の伝記映画とはこのようなものといえるかもしれない。

フーバーをけなしているようには見えるが、きちんと描くところは描かれている。
フーバーの人生は“虚”だらけなのかもしれないが、クライドの涙、ガンディの忠誠心は“本物”だったと思いたい。
イーストウッド監督作品は苦手であるが、このような作品もあるので、見るのを止められない。

個人的にはディカプリオは「アビエイター」の方がよかったと思う。
演技自体の良し悪しは判断しにくいが、メイクにやや違和感がありすぎてしまったことが特に痛かった。
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

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