ばったすいみんぐすくーる

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『ライフ・オブ・パイ』レビュー

◆評  価   9.0点
◆おススメ度  A(分かれば素晴らしい作品)

原作未読。
前知識もなかったので、緊張感かつ美しい映像で綴られたサバイバル映画だと感心していたが、ラストで現実を知り、打ちのめされた。
結局作り話かと一瞬思ったりもしたが、作り話であるため余計に観終った後は何があったのかを考えざるを得ない。
目に映る世界がそのまま現実の世界ではなく、現実を上手く包み込みながらファンタジックに描くことにより、観客も想像力が多いに働くこととなる。
悲惨な現実を描くよりも、本作の描き方の方が確かに神秘的なものとなった。

実際に何があったのかはよく分からない。
パイが語るように「何を信じるか」はその人次第であり、その答えはない。
トラと旅したと信じたとしても、その解釈が間違いとは限らないが、パイが語る2番目の話がほぼ現実であり、何かに置き換えることでパイは精神を保つことができ、生還することができたのだろう。
しかしながら、パイが語る2番目の話も真実とは限らない。
それ以上のことが繰り広げられたと考える者も多いことだろう。
サメに食べられたと語っていたが母親が最後にどうなったのか、オランウータン役が母親のようだが、実際には果たしてそうだったのか、ハイエナ役ということもあり得るのではないか、とも思ってしまった。
網で捕まえた大きな魚を殺す際の神への祈り、カツオのような魚のトラとの取り合い、ミーアキャットの暮らす酸性の島をヒントに想像するしかないようだ。

また、トラが振り返らなかったことをパイは嘆いていたが、パイの中にある狂気・本能は生還とともに、心の奥底に消え失せてしまったのだろう。
狂気・本能はパイという本来の姿ではなく、生き残るためにトラという本能を生まざるを得なかったものであり、生き残ることができれば消えるものということか。

主人公のニックネームであり、タイトルでもあるように本作は円周率のように無限に広がる映画だ。
簡単に割り切れる解のある映画ではなく、観た者によって、感じ方が大きく変わるのではないか。
動物でありながら動物ではない“人間”の神秘や奥深さを感じずにはいられない作品だ。
一面的ではなく多面的であり、深淵な映画を作り上げたアン・リー監督はやはり只者ではないようだ。
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

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