◆評 価 7.5点
◆分かりやすさ B (分かりやすいように製作はされている)
◆おススメ度 B+(ヴァイオレンス系映画好きにおススメ)
これはなかなか面白い一本。
全編がクライマックスというフレコミの映画は何本もあったかと思うが、まさに本作は全編クライマックスといえるのではないかと思えるような壮絶なバトルロイヤルが展開される。
ストーリーは結構入り組んでいるものの、監督であるジョー・カーナハン自身が脚本を手掛けているため、比較的分かりやすい映画に仕上がっている。
注意深く観ないと取り残される恐れがあるが、これだけ多くの登場人物がいながら、あまり混乱しないというのは、ジョー・カーナハンはなかなかの才能の持ち主だ。
また、敵・味方を問わず、各キャラクターを個性的に仕上げているというのも大切なポイントだろう。
ラスト間際における、思い切って作風の転換は、狙っての演出と思われる。
この狙いもなかなか面白い効果を挙げている。
一本の映画に色々な仕掛けを施すというのは大切なことだ。
しかしながら、ラストから逆算して考えると、カラザーズ(レイ・リオッタ)とメスナー(ライアン・レイノルズ)の刑事の「絆」が結構重要となると考えられる。
序盤に、彼らの関係が強固であることを示すワンエピソードあればさらに面白くなったのではないか。
冒頭に婆さんの尿ネタを披露して、二人の関係が上下関係にあるものの、なかなかフランクで堅いものであることをきちんと映画として示しているが、それほど感情移入できるほどのレベルには至っていない。
ここはもったいない部分だ。
一方、サイクス(アリシア・キーズ)とワッターズ(50口径を所持)のコンビはなかなか泣かせる。
彼らの強固な「絆」がヒシヒシと伝わってきたのは、サイクス(アリシア)の無邪気さが逆にいい効果を発揮しているからではないか。
サイクスは、ワッターズを信頼しきっているのではないのかと思わせる。
刑事コンビの方はというと、メスナーが銃弾を受けたカラザーズの体を必死になってエレベーターから引きずり出すシーンなど泣かせるシーンは用意されているが、高い効果を挙げているわけではない。
そして、なによりもベン・アフレックの存在がかなりよい。
あれが起きた瞬間は、「嘘だよね」「何かの冗談だよね」と当初は信じることはできなかった。
「まぁ、何か裏があるのだろう」とタカをくくっていた。
彼が腹話術状態になっても、「頑張って死んだフリしてるんだ。凄いねぇ」と思っていたら…。
その後、一向に何もない。放置プレイが続く。
ストーリーはかなり進み、一人がようやく湖から這い上がってきて、「大将待ってました。ようやく、ベンの出番か」とホッとしていたら、「オマエ誰やねん!」と全然違う奴が復活する展開には驚いた。
これは「X-MEN」のサイクロップスに匹敵する、なかなかハイレベルの展開ではないか。
そして、ラストあたりには、もう既に誰もベン・アフレックが出演していたことなど忘れてしまっている頃に、エンドロールのトップクレジットにいきなり‘Ben Affleck’と登場するのをみると、かなりの確信犯だなと実感する。
この使い方はなかなかのハイセンスである。
監督もベン・アフレックも遊び心をもっているのだろう。
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