◆分かりやすさ −(ストーリーは理解するな)
◆おススメ度 −(リンチファンであってもおススメはできない)
当初より理解不能と言われていたが、理解をするというレベルではない。
単に、ローラ・ダーンとともに不可思議な世界を彷徨うだけの映画と思われる。
これこそ、理解するのではなく、感じる映画なのだろう。
「感じる」とはリンチが常々口にしている言葉だ。
それを体言した映画なのは間違いない。
ハリウッド女優であるニッキー・グレイス(ローラ・ダーン)が、いわくつきのポーランド映画「47」のリメイクである「暗い明日の空の上で」を撮影していくうちに、現実世界と映画内の世界、「47」の世界などが交じり合い、だんだんと訳が分からなくなる映画だと理解すればよい。
あとは、映像に身を委ねるしかないようだ。
難解だと言われる「ロストハイウェイ」や「マルホランドドライブ」は実は結構ストーリーはしっかりしているが、本作はストーリーらしきストーリーはないような気がする。
そのため、過去のリンチ映画とは一線を画するのではないか。
過去のリンチ作品が好きでも、本作を気に入る保証はない。
実際に鑑賞して得た映画の情報と公式ホームページの情報をまとめると以下のとおり。
「現実のハリウッドの世界」、「『暗い明日の空の上で』の世界」、「ポーランド女優のロストガールの世界」、「ポーランド映画『47』の世界」、「ウサギ人間の世界」の少なくとも5つの世界で構成されているのは間違いないようだ。
さらに二組の夫婦に着目すれば、少しは分かりやすくなるだろうか。
「現実のハリウッドの世界」
妻:ニッキー(ハリウッド女優)<ローラ・ダーン>
夫:ピオトルケ(町の有力者でデヴォンを脅す)<ピーター・J・ルーカス>
妻:ドリス役の人 <ジュリア・オーモンド>
夫:デヴォン(ハリウッド俳優)<ジャスティン・セロー>
「『暗い明日の空の上で』の世界」<主な舞台:50年代風の小さな家>
妻:スーザン(元娼婦?、ドライバーで刺されて死ぬ)<ローラ・ダーン>
夫:ファントム(サーカス団についていった動物の扱いの上手い男で、子どもができたと告白するスーザンに対して暴力を振るう)<ピーター・J・ルーカス>
妻:ドリス(ドライバーで刺した白いTシャツの女性、催眠術を掛けられたと警察に告白)<ジュリア・オーモンド>
夫:ビリー(スーザンと不倫する)<ジャスティン・セロー>
「ポーランド女優ロストガールの世界」<主な舞台:家でテレビを見ている>
妻:夫に殺されたポーランド女優<カロリーナ・グルシカ>
夫:クリンプ?(電球をくわえていた男で、ニッキーに撃ち殺される)<クシシュトフ・マイフシャク>
妻:?
夫:ラストに出てきた子供連れの男性か<ピーター・J・ルーカス>
「ポーランド映画『47』の世界」<主な舞台:雪景色>
妻:<カロリーナ・グルシカ>
夫:<クシシュトフ・マイフシャク>
妻:?
夫:?
「ウサギ人間の世界」
スージー(ナオミ・ワッツ)
ジャック
ジェーン
その他のキャラクター
○映画監督 キングスリー(ジェレミー・アイアンズ)
○助監督 フレディ(家賃に困っている様子)
○Mr.K 片方にグラスが入っているメガネをしている
○ホームレスの1名 裕木NAEは流暢ではない英語を喋る役柄で登場。特に意味はない。
どのシーンがどの世界に属するのかは、まず初見では判別不能だろう。
次回鑑賞する際には、この部分をジャッジしていくしかなさそうだ。
また、ポーランド編の登場人物の相関関係が不明。
クリンプとラストの子供連れの男性とロストガールとの関係がよく分からなかった。
夫に殺されたはずのロストガールがなぜ子供連れの別の男性と抱き合うのか。
当然、この子供は自分の息子だろう。
不倫のため、別の男の子供ができてしまったために夫に殺されてしまい、別の世界で、子供と父親と母親が再会できたということか。
要するに、「現実のハリウッドの世界」と「『暗い明日の空の上で』の世界」の世界がごちゃごちゃになったローラ・ダーンだったが、なんとか「現実のハリウッドの世界」に戻ってきて、ポーランド映画『47』の撮影中に自分と同じ境遇に陥って死んだロストガールの魂を救うというストーリーではないだろうか。
少なくとも、あと1回はみないと理解はできない。
深く考えてしまったために、リンチの罠に嵌まってしまったか。
恵比寿での鑑賞後の観客の反応は以下のとおり。
・拍手する奴 2人
・「訳分からないね」という奴 多数
・無言 多数
・恋人にヤツアタリする奴 1人
テーマ:インランド・エンパイア - ジャンル:映画

